どらむすこの姿勢と呼吸法

　私は小学校一年の時からプロ志向でした。

　一番好きな事を職業にすると決めていました。

　ですから自分は何が一番好きなのかをずっと模索していました。

　小学校は電車通学でした。

　毎日電車に乗っているうち、自分は電車の運転手になろうと思いました。

　帰りは車内が空いているので必ず運転席の後ろにへばりつき

　たくさんの運転手さんの技を盗もうとしました。

　ほとんどの運転手さんを覚えており自分なりに評価をつけていました。

　どの地点で時速何キロにするか等をずっとチェックしていたおかげで

　今でも線路の継ぎ目を通過する音を聞くと速度がわかります。

　小学校高学年になってからは皆で遅くまで遊ぶようになったので

　いったん家に帰り自転車でもう一度学校まで戻る生活になりました。

　往復２０キロを毎日走るうち、どんどん走るのが速くなりました。

　中学一年生のある時、車を追い越したのですが踏み切りで追いついてきた運転手さんが

　「お兄ちゃん速いねぇ！」と褒めてくれました。

　気を良くした私はそれ以来車を追い越す事を日課にしました。

　高校生になってからは競輪の選手を目指し一時は東京都で一位にまでなりましたが

　試合中の怪我でしばらく自転車に乗れなくなってしまったので

　リハビリ期間中にドラムを始めました。

　ドラムを始めてみて驚いたのですが

　それまで自分が夢中になってやってきた事が全てドラムに役立つのです。

　小学校時代には毎日乗った電車の線路の継ぎ目の音を覚え

　日曜日に手足でその音を再現して遊んだ事。

　中学校時代初めて手にした秒針付き腕時計で秒数当て独り遊びをしていた事。

　自転車競技選手時代に培われた、ぶれない様に一直線に走る集中力、

　ペダルをこぐピッチを微妙にコントロールするテンポ感覚と体力。

　これから先自分がどこへ向かっていくのか私にはわかりませんが

　その時のベストを尽くす事が自分をより良い未来へ導いてくれると思います。

　とにかく「やりたい事をとことんやる」です。

　小学一年の時、友人が好きな事に夢中になっている姿を見て

　私は素直に彼がその道のプロになるものと思っていましたが

　「これは趣味だから・・・」という冷めた言葉が返ってきたのが私には理解できませんでした。

　そのように割り切れるなんて私に比べれば相当頭が良い子だったと思いますが

　21世紀は趣味と実益が大切だと思います。

　既成の価値観にとらわれることなく好きな事を目一杯やれば良いと思います。

　いま私は職業のプロを超えて「人間のプロ」を目指しています。

　人生を賭けた大きなプロジェクトです。

　人間のプロになるために何が必要かを問い続けていこうと思います。