朝ドラ「あさが来た」が好評だったわけ
NHKの朝ドラ「あさが来た」が終わってしまって、寂しい限りですが、全156回の平均視聴率が23,5%と、歴史ある朝ドラの中でも、今世紀最高を記録したのだそうですよ~。視聴率なんて、どうでもいいような気がしますが、快挙といえば、相当な快挙だそうだし、それだけ大勢の人が楽しみに見続けた、という証ではありましょう。好評だった理由はおそらくいくつかあって、一つは脚本がしっかりしていて、一人一人の人生が上手に描かれ、視聴率狙った無理やりなシーンなんかを入れ込むような愚かなことをしなかった・・ということでしょう。もう一つは、俳優さん達がそれぞれに役になり切り、味があり上手く、観ていて心地よかった、ということもある。最近、「人気者」というだけで、演技のイロハも知らないような素人を、いきなり主役クラスに持ってくるようなドラマ多いですからね。で、もう一つ言えるのは、ドラマの中の人間関係が、なんとも温かく、みんながみんなお互いを大事にしあっている・・それが素直に視聴者に伝わり、共感を得られた・・ということではないかなぁ・・と考えたりするわけです。私達は、所詮、「温かい人間関係」に触れ、ほっとしたいのではないか。朝ドラなんて、間違いなく毎回、「家族の絆」や、「生きる希望」などをテーマにしているものだけれど、脚本家と演出家が、その辺をよく分かっていないと、いきなり父親を失踪させたり、倒産させたりと、刺激的な人生展開をさせてみたりするわけですが、現実はそうではなく、人生なんて小さいことの積み重ねで、日常のちょっとしたことが家族の絆の確認だったり、人間関係を深めることに繋がっていくものなんですよね。その辺を、しっかりつかんで作っているドラマは成功し、分かっていないドラマは、失敗している・・のじゃないか。そんなことを考えたりしています。「あさが来た」は、あの波乱に富んだ維新から明治に映る時代を生きた、女傑の話ではありましたが、描かれていたのは、夫婦の思いやり合い、家族のふれあい、雇用関係を超えた、雇い主と従業員の温かい交流・・でありましたもんね。そういうドラマを好ましく感じ、支持する日本人の感性は、まだまだ捨てたもんじゃないの・・とも安心したものですが。