サマータイム導入騒動でみえてしまうこと
自民党が、サマータイム導入の是非を検討する研究会を開き、「東京五輪での導入は困難」との認識を示したとのこと。まあ、当然だし、導入強行なんて暴挙に動かないだけの理性があってなによりではありました。しかし、遠藤利明・五輪組織委員会副会長は、「気持ちとしては導入したいが、物理的にシステムの問題や国民の反応を見ると、なかなか難しい」と未練たらたらの様子。まあ、発案した側だから、そういうしかないのかもしれないけれど、仮にも五輪大臣をやった人がその程度の認識なのかと、悲しくなります。ちょっと考えれば、五輪の暑さ対策のためにサマータイム導入なんて、愚策以外のなにものでもないのに。怖いな~と思うのは、発案があの森喜朗氏で、政界を引退した一老政治家の気侭な、全く科学的根拠もない思い付き(としか思えん)が、総理大臣を簡単に動かし、与党を動かし、日本中を巻き込むくらいの騒動にまでなってしまう、という現実でしょうか。産経新聞だって、当初は「すわサマータイム導入」と浮足立っていましたものね。なんか嬉しそうだった。国民も賛成多数だという、世論調査を持ち出すマスコミもあった。その後の世論調査では、反対多数になっていて、いったい、あの時期、誰がどういう風にあの数字を出して来たのかほんと、不思議。 五輪組織委員会に関係している人の話のまた聞きなんですが、森氏が何か言うと、誰も逆らうことはできない雰囲気があるのだそうです。なるほど、オリンピックの準備が、なにか、スムーズじゃないわけです。安倍総理だって、森さんの発案だったから、「検討を指示」したわけでしょ。しかし、町工場じゃあるまいに、一国の運営が一政治家の思い付きで左右されているらしい・・って恐ろしいことではないか。サマータイムがうっかり導入、ということになっていたら、とんでもない大混乱になっていたと思いますよ。デメリットだらけで、メリットなんか、ほとんどないのに。それを、森氏に、それこそ忖度して、国が動く。マスコミも、一時、「導入決定」みたいな調子で報道していましたし。政治家とその周辺にいる人達の、レベルが低すぎる。この件、「導入なんて、とんでもない」という国民のコメントが殺到し、それらを考慮しなくてはならなくなったのは、せめてもの幸いでした。国のトーンも一挙に衰えましたしね。それにしても・・と思うわけです。今回、分かりやすい暴挙だから、愚かさがよく見え、政治のレベルの低さが見えたわけですが、微妙な国際問題や交渉問題など、専門知識がないと判断に難しい多々の政策に関しては、私達は政治の決定の是非関して判断しにくく、抗いにくいところがある。どうしますその他の重要案件も、このレベルで政治的判断がなされているとしたら・・。しみじみ、政治家を、安易に選んではいけない・・と思いますね。もう、選んじゃっているけど・・。