NHK意識調査のバカげた所と意義ある所
数日前、BSニュースでNHKの「日本人の意識」調査の結果について 結婚することについて「必ずしも必要はない」と考える人の割合が 68%に上った・・ということを大きく報道していました。 「好きなライフスタイルをそれぞれ自由に選んでいいという 考え方が広がった結果ではないか」みたいな専門家の解説も付けて。 意識調査って、多岐の項目があるだろうに、結婚は必ずしもする必要がない、 という人が増えた・・というのを第一に挙げるのは、 そこが最大注目ですよ~、ということを喚起のつもりなんでしょう。 それを聞きながら、はてどういう聞き方をしたのだろうと気になりました。 この意識調査は5年ごとに個別面談方式で行っているもので、2018年の調査は 16歳以上の人5400人に聞いて、有効数は2751人だったというもの。 で、気になったその結婚に対する意識というのは、 問:リストには、結婚についての考え方がのせてありますが、 あなたのお考えは、甲と乙のどちらに近いでしょうか。 甲:人は結婚するのが当たり前だ 乙:必ずしも結婚する必要はない しかし・・そう聞かれたら大抵の人が「必ずしもする必要はない」を選ぶよねぇ。当たり前だ、と言われたら、さすがに抵抗があるし。 甲の所を少し変えて「結婚できればした方がいい」としたら 数字は大きく違っていたのではないか 解説によると:「必ずしも必要はない」と答えた人の割合は、 この質問を始めた平成5年以降増え続け、今回は前回の調査より 5ポイント増加して、これまでで最も高くなりました。 年代別にみますと「必ずしも結婚する必要はない」と答えた人の割合は 30代が最も高く88%に上った一方で、最も低いのは70歳以上で、43%でした。 ・・とのことですが、年々増加している、という点だけ「なるほど」とは思うけれど、 適齢期の30代の多くが「必ずしも結婚する必要はない」と回答するのは 心情的にもあまりに当然で、質問自体が愚問でしょ、と思うよね。 「結婚が当たり前だ」なんて言っていたら、友達、いなくなるだろうし。 陳腐な質問は他にもあります。 リストには、異なった4軒の家庭の様子が書いてあります。 あなたはどの家庭が最も好ましいとお考えですか。 東さん:父親は一家の主人としての威厳をもち、 母親は父親をもりたてて、心から尽くしている 西さん:父親も母親も、自分の仕事や趣味をもっていて、それぞれ熱心に打ち込んでいる 南さん:父親は仕事に力を注ぎ、母親は任された家庭をしっかりと守っている 北さん:父親はなにかと家庭のことにも気をつかい、母親も暖かい家庭づくりに専念している 回答は北さんが47,0%で最大で、西さんが次で26,5%だったわけですが、 この4つを並べれば、「父親はなにかと家庭のことにも気をつかい、 母親も暖かい家庭づくりに専念している」をフツー選ぶでしょ。だって、当然のことですもん。 結果が決まり切っているくだらない質問としか言いようがない。 もっとも、なかなかに面白い数字もありました。 あなたにとって欠かせないもの・・という質問に(複数回答可) ケータイやスマホ、ネットの数値が増えていることはまあ、当然として、 新聞と答える人が、1983年には81,1%もいたのに、 2018年になると51,8%に大幅減少していたこと。 本と答えた人が83年には33,8%だったのが18年には27%と減少はしているものの、 世間で言われている程激減しているわけではないのと大分違う。 もうひとつ面白いのは、友人と話をする、ことを欠かせないものに上げた人が、 83年には66.1%だったのが、18年には55,8%と減っていることでしょうか。 家族と話すという項目が減っていないのに、ちょっと意外。 これだけ、せっせとラインだなんだで朝から会話してるのにね。SNSでの会話は会話に入れていないのかも。 ニュース性としては、こっちの方が大きいような気がしましたけどね。 で、もうひとつしみじみとインパクトがあったのが、天皇に関する質問で、 (そういうことを質問すること自体、失礼な話だとは思いますが)、 尊敬を感じる人が83年は33.3%が18年には41,0%、好感を感じる人が20,3%→35,8%, 無感情が42,7%→22,2%、反感が2,2%→0,2%・・という数値だったこと。 天皇に対する国民の気持ちは、どんどん「親しみ」になっているんですね。 今の天皇皇后両陛下が、どれだけ国民に尽くしてくださったか、 その証でありましょう。国民はちゃんと見ている。 そういう事実が確認できただけでも、このある意味、 無駄に見える調査も、意義があるのかなぁ・・と 思ったものでしたが。