「いだてん」の喫煙シーンがけしからん!と抗議する人たち
NHKの大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』。 さすが、宮藤官九郎 と言いましょうか、画面展開の粋さ、台詞のよさは秀逸で 毎回面白い。ただ、これまでの大河ドラマと作りも時代も違うせいか、 視聴率は伸び悩みらしい。 面白いのにね~。 で、ドラマの中で喫煙シーンが随分出て来るんですね。 特に生田斗真さん演じる三島弥彦がバンバン喫煙している。 (この役、斗真さんの当たり役で、実にいい演技をしています) これ、きっと何か言い出す人がいるだろうな・・・とハラハラしていたら、 案の定、公益社団法人「受動喫煙撲滅機構」がNHKに抗議したそうです。 申し入れ書には「『いだてん』に受動喫煙シーンが頻繁に登場するため、 受動喫煙の容認を助長したり、出演者・スタッフの受動喫煙被害を招いたりしている」として、 (1)『いだてん』において、受動喫煙のシーンは、今後絶対に出さないでください。 (2)『いだてん』で、受動喫煙場面が放映されたことについて、番組テロップなどで謝罪をしてください。 の2点を要望しているのだとか。 そもそも公益社団法人「受動喫煙撲滅機構」ってなによ・・とHPを調べてみると、 具体的に何をやっているのか、もう一つ、よく分からない団体で、 理事長が田中潤氏という「東日本大震災 雇用・教育・健康支援機構」の理事長をやっている人。 理事の一人が(2人しかいないが)あの参議院議員で、希望の党の居残り組になった松沢成文さん。 松沢さんと言えば、「みんなの党」が自滅し次世代の党に入った途端、選挙で党が壊滅的に大敗してバタバタと幹部がいなくなったものだから、いつの間にか幹事長にもなり、地方選の応援に行くと、必ず「受動喫煙を撲滅しなくては」という演説をされていた方。 今はその話じゃないのだけれど・・と少々困ったものでしたが。 で、話を戻すと、そういう抗議ってどうなんでしょうね。 昔、煙草を吸う姿、というのは、かっこいいものでありました。 美しく渋い男の必需品みたいに思われてもいた。 私もマリーネ・ディートリッヒが物憂げに煙草をくゆらす姿に憧れたものだけれど、 どこに行っても灰皿があり、何の違和感もなかった時代が確かにあったのです。 そういう時代を映画やドラマが描こうとしているところに、 受動喫煙の容認を助長したり、出演者・スタッフの受動喫煙被害を招く、 と言われても、困るの一言ではないですかね。 ましてや「謝罪しろ」とか受動喫煙のシーンは絶対に出すなとか、 やり過ぎでしかない。そんな権利、どこにあるの・・でしょ。 喫煙するシーンを見て、ザワザワする気持ちは分かりますけど。 その理屈を通すと、ヤクザ映画も身売りのシーンも差別のシーンも描けなくなる。 暴力を容認したり、差別を招いたりする・・ということになる。 殺しが出て来る刑事ものも論外だろうし、花魁の世界だってどうなの、ということになる。 機構にも「それだったら時代劇で人を斬るシーンも削除しろというのか」 「遊郭のシーンはどうなのか」といった批判が届いたそうです。 でも「歴史上の事実なら何でもいいということになれば、差別表現とかセクハラとか そういうのもありになるのでしょうか。人を斬るシーンなら血がドバっと出たり、 内臓が飛び出たりというのはテレビでは配慮されてやらないはずです。 ところがそうした配慮はせずに、たばこだけが堂々と出ているのは変ではないでしょうか」 と反論しているそうで・・。 「歴史上の事実であればなんでもいい」わけではない。 でも、最近の差別だ、なんとかハラだ・・とことさら騒ぎ立てる傾向も、 非常に危険だと思いますね。 どうも社会全体が不寛容になっている。 ちょっとのことで苛ついて、問題だと大声を上げる。 食べ物のせいかしらん・・なんて思ったりもしますが。