2019年11月の記事一覧 | 神谷ちづ子・ついつい・一言

教皇のスピーチにメディアが期待したもの

バチカンのフランシスコ教皇が来日され、メディアは日本の一大事のように報道しています。私はイタリア贔屓ですから、教皇（今は法王と呼ばないらしい）の来日は大歓迎ですし、贅沢を慎み庶民の立場に立つ、気さくなお人柄の現教皇に、親しみも感じています。だとしても、このメディアの熱気はなんなんだ　と引っかかるわけです。世界中に13億人もの信者がいるカソリックの頂点の方ですから、その影響力は無視できないのは確かですし、バチカン市国という一国のリーダーであるわけですが、それにしても、一宗教のトップにこれほど大騒ぎするのだろうか日本のカソリック信者は、わずかな数でしょうし。羽鳥氏のTV朝日モーニングショーでも、長い時間を使って、教皇の来日、特にメッセージについて取り上げていました。で、ハハンと分かったんですね。教皇は原爆被災地の長崎、広島でもスピーチをされましたが、福島でもなさっている。で、原発について、「思うに最初の一歩は、天然資源の使用に関して、そしてとくに将来のエネルギー源に関して、勇気ある重大な決断をすることです。」と、原発廃止を訴えているのです。なるほど、テレビ朝日が大々的に取り上げたわけで。世界に大きな影響力を持つ教皇が、原爆の被害に遭った長崎と広島で、「原爆を廃止しよう」と訴えることは、無駄ではないし、意義もある。でも、本気で世界の核兵器廃絶を願い、廃止に推し進めようとするならば、核兵器所持を誇るアメリカやロシア、中国の国民や要人の前で訴えるべきでしょう。そうしない限り、不可能なわけです。原爆なんぞ一切持てず、原爆の被害に遭っただけの国民の前でしかも、原爆を落とした当のアメリカに、いまだ頭が上がらない日本で訴えたところで、なんの進展が望めましょうや。そして原発廃止を訴えるのもいいですが、だったら、原発を廃止するなら、どんなエネルギーで世界の電気を賄うのか、温暖化の問題はどうするのか、そこもしっかり示して欲しいもの。もっとも教皇のお仕事は、世界の平和を祈る事であり、メッセージだけで終わることも、立場上仕方ないことなのでしょうけれど、でも、「廃止」を訴えるだけなら誰だって出来る・・。日頃はなにかと斜めから見たがるメディアが、教皇のメッセージをもろ手を挙げてありがたがっている。なんとなく、教皇を利用したプロパガンダっぽい・・となんとも違和感を感じるのは、私だけなのでしょうかねぇ。

憶測とこじつけで世論を操作しようとする人達

フツーに考えてみる、ということをしようじゃないですか。総理大臣主催「桜を見る会」騒動の火が、その前日の、ホテルニューオータニでの安倍晋三後援会・前夜祭の会費が5000円ぽっちだった、ということに飛び火し、高級ホテルでの宴会が、そんな安く済むわけがない、安倍事務所が補填したに違いない、だったら公選法違反だ・・と大騒ぎになっている。チラと見たネットニュース(まぐまぐニュース）の記事でも、「鶴の舞をイメージした創作シャンデリアが配されたゴージャスというほかない広大な空間。その場にふさわしい高級料理が並べられたに違いない。この参加費が、たったの5000円。野党各党は信じられないというが、筆者も同じだ。」とありました。筆者の署名がないので、誰が書いたか分からないですが。この騒動の最初「銀座久兵衛の寿司が出ていた」と野党もメディアも騒いでいました。野党の誰だかが（名前を知らない）「よく見ると久兵衛の寿司まで出ているんですよ」とどや顔で語る映像が、出ていましたっけ。何人もの野党議員が「久兵衛の寿司まで出された」とツィートもし、結局、久兵衛は寿司を出していない、ということが明らかになって、彼らは一挙に口をつぐんだわけですが。私は「よく見ると」発言をテレビで耳にした時、久兵衛の寿司ってどうしてわかったんだろう久兵衛と寿司桶に書いてあったんだろうか・・と真剣に悩んだものです。そもそも、そういう会場の映像があったのだろうか　あったとして誰が提供したのか今になって分かったのは、全ての「会場に久兵衛の寿司」発言・報道は、憶測でしかなく、事実でもなかった、ということ。つまり、メディアも国会議員さんも、憶測・伝聞で大騒ぎしていたわけです。日本を代表するメディアと国会議員が。フツーに考えて、「高給」を誇る久兵衛が、800人以上もの人数が集まる立食パーティーに、鮨を提供するわけがない。ホテル内に久兵衛の店があるからといって、ホテルの宴会料理まで担当するわけではない。久兵衛ブランドを守るなら、フツーしないでしょ。冒頭に上げたまぐまぐニュースの記事でも「鶴の舞をイメージした創作シャンデリアが配されたゴージャスというほかない広大な空間。その場にふさわしい高級料理が並べられたに違いない」とありますが、これも憶測、もっと言えば思い込み、印象操作でしかない。不景気な今、どこのホテルも宴会場を、バーゲン会場にも提供するし、ほとんど料理の出ないレセプションにも、使ってますよ。そんなことは誰でも知っている。そもそも政治家なんて、政治資金パーティーを開いて、料理も飲み物のほとんど出ない宴会に、2万円も3万円も取っているじゃないですか。そうやって必死で金集めをしている政治家が、なんで好き好んで、久兵衛の寿司をだしたり、自腹を切って、こっそり宴会料金の補てんをしますかいね。しかも選挙基盤盤石な安倍事務所が、そんなことをする必要なんかまったくない。「桜を見る会」に参加できますよ～‥で十分に後援者サービスになっているわけだし。公選法に引っかからないよう、日頃から万全の策を整えているでしょうし。そういうことを、メディアも野党議員もきっと百も承知なんですよ。その上で、想像を膨らまして、大騒ぎする。少なくとも騙されやすい一般人を、安倍さん批判にする効果はありますからね。桜を見る会に安倍さんが850人もの地元後援会会員を招待していたことは、やはりやり過ぎでした。また、代々、政治家の「有権者対策」に利用されていた、ということも、やはり問題でしょう。中止するいいタイミングにした方がいい。ただ、私みたいな一般庶民ですら「そこは違うでしょ」ということをことさら取り上げ、報道、国会議員という権威が騒ぎ立てるというのは、あまりに情けない。いや、情けないを超えて、危機感すら感じますね。発言力のある人達が、事実を無視して、恣意的発言しかしない、ということに。もっとフツーに考えようよ、といいたいですよね。敢えてフツーに考えてないんでしょうけど。世の中は大変なことになってますよ。国際政治もガタガタだけれど、少子化問題、環境問題、まったなしの難題が山積みです。桜を見る会と沢尻エリカ騒動で、毎日大騒ぎしている日本って・・。やっぱり、どこかおかしいでしょ。

「桜を見る会」、この機会に止めたらいい。

政府主催の「桜を見る会」がやり玉にあがっています。野党も、よくぞ目をつけたな、と思いますね。私らなんとなく、ああまた、この季節か、今年は誰が呼ばれたのぐらいにしか意識していませんでしたものね。いくらお金が掛かって、誰が呼ばれて、なんていちいち考えもしなかった。野党や反安倍さんのマスコミが一番責めているのは、安倍首相の後援会関係者が約850人も招待されていて、これ、公費を使った選挙運動だろう、ということ。へぇ、それも知らなかったなぁ・・ですよね。で、いろんな所が、徹底的に調べ出したのでしょう。そうするとあの会の招待者がかなりいい加減に選ばれていることが分かって来た。みなさん、不用意にSNSで発信しているみたいで、三原じゅん子議員は「今年は母や叔母たちも参加し喜んでおりました」と記載し、「へぇ、三原さんのお母さんや伯母さんってどういう功労者なの」と皮肉られているし、安倍昭恵さんは「地元の皆さんともお会いでき」みたいなことを綴っているらしい。（昭恵さんて毎回、何かある度に余計なことをしちゃっている印象ですが）「僕の枠は5組で」なんぞと書き込んでいる議員さんもいるのだとか。バカですね、みなさん。脇が甘すぎる。ネットの世界で書き込んだことは、必ず掘り返されて利用されちゃうのに。毎年「桜を見る会」の時期になると、芸能人が高そうな着物でめかし込んで、安倍さんや昭恵さを囲んではしゃいでいる様子がニュースになり、私なんぞは、新宿御苑にちょこっと行くだけのために、ヘアメイクして、着物着こんで、ご苦労なこっちゃ、そんなに公園にいくのが嬉しいんかい安倍さんと写真撮りたいんかいと見てましたけどね。今年は18000人も集まったんでしょ、あの新宿御苑に。有名人を間近に見られる、うまくすると一緒に写真を撮れる、という喜びが一般人にはあり、芸能人の方々は「こういう会に呼ばれるボクあるいはワタシ」という、ちょっと箔が付く感じがあるんでしょう。年々、予算は増えていて、今年は5520万円もこの日のために使ったそうです。で、新宿御苑は「桜を見る会」のために、前々日から関係医者以外立ち入り禁止となるらしい。 5520万円も使ったところで18000人で割れば一人当たり3000円ちょい。警備やその他の経費を引けば、料理なんてどの程度のものか想像つく。それでも人は、喜んで出席するんでしょうかね。私には、何が嬉しいのか、さっぱりわからんけれど。こういう会に乗じて、政治家や権力者が自分の権力を誇示し、特権として、うまく利用するということは、おそらくず～～っと当然のこととして続いていることで、今更安倍さん一人を批難して済むことではないと思いますけどね。いい機会だから、総理大臣主催の「桜を見る会」は止めたらいい。生産的なこととも思えないし、一般人として、短い桜の時期、新宿御苑を一部の人達に占領されるって、腹立たしいことこの上ない。あそこは、みんなの公園でしょうに。あるいはどうしてもやりたいというなら、TVで誰かが提案していましたが、会費制でやればいい。そうやって浮く5000万円は、それこそ治水工事や被災地支援や文化財保護に使えばいい。 5000万円って、国家予算からしたらわずかな額ですけれど、いざ使うとなると、大きな額です。そういう英断を下せば、安倍政権も、もう一期続くことが可能になるかも・・。

昭恵夫人の正殿の儀ドレスの騒動から学ぶこと

即位礼正殿の儀の際のファーストレディ・安倍昭恵さんのドレスが、世間の顰蹙を買って、それがいまだ尾を引いているらしい。ネット記事に、あの袖口がラッパのように開いたドレスをデザインしたデザイナー・継枝幸枝さんの弁が載っていました。いわく「テレビを見て初めて、昭恵さんが私のデザインした服を着て下さったと知り、驚きと同時に嬉しかった」「「明るい色が好ましいとされているので、あのドレスの色合いは皇室行事でもお召しになれます。ミニスカートといわれていますが、膝が隠れる程度の丈があるし、そもそもミニスカートがダメという規定はありません」デザイナーの名前が明らかになって（ご当人もサロンのHPにドレスの写真を載せたらしい）、それが賞賛としてでなく、誰があんなドレス作ったんだと言う批難になって、あちこちからクレームまで来て、どうも困っているご様子です。正殿の儀用のドレスとして勧めたわけでもなく、昭恵さんが気に入って購入し、昭恵さん自らあの日のドレスに選んだわけで、デザイナーさんとしては、クレームつけられても困惑するわよねぇ。お気の毒としか言いようがない。世間の人も、そういうことを理解してものを言ったり行動して欲しいもの。私も過去に数回、皇居に伺う機会がありまして、それで少しは知っているんですが、通常ドレスコードは、宮内庁からなのか、ちゃんとお達しが届くんですね。今回は昼の儀式だったので女性は「ロングドレスかデイドレス、着物なら半襟は白」となっていたようです。普通は紫と全身黒は避けるよう、との指定もあります。昼の集まりだと大抵、ロングの必要はない、とわざわざ書いてありますが、正殿の儀という最上級の格式ある式典ですので、洋服ならせめてロングドレスを、という暗黙の期待値があったのだと思います。ただ2000人も参加する式典ですから、参加者に大きな負担が掛からないよう「デイドレス」というのも入れたのではないか「デイドレスでもいいんですよ」という感じで。だからデイドレスでもドレスコード違反ではないんです。あのドレスは見るからに上等な絹で作られていて、どこに出てもおかしいものではない。ただ、安倍昭恵さんは、総理大臣夫人であるわけです。その辺の、幸運にもご招待を受けたという、一般人ではない。それも即位礼という、天皇ご夫妻にとっては、最大の重要儀式で、皇族方も皆さん、十二単と言う最高位の正装で出て来られる中、各国要人や前総理大臣夫妻の前でファーストレディとして立ち居ふるまう立場にあった。おそらく昭恵夫人は「夜は着物だから昼間はワンピースで」と単純に考えられたのだと思います。そしておそらく、前総理夫人方々など他の女性達と「ねえ、何を着て行かれる？」というような情報交換もすることなく、「忙しいし、行事は次々あるし」とあのドレスを選ばれた。お気に入りでもあったのでしょう。そしてそういうお人柄なのでしょう。つまり、あまり格式ばったことは考えたくない、という性格というのか。先輩総理夫人と並ばれて、「しまった」と思ったと思いますよ。目に見えるようです。先輩奥様達は、冷たい視線を送ったでしょうし。でも同時に「何がいけないの」と反発も抱えられたのでは。私も若い頃から、「大使公邸にパンツスーツで行った」と先輩夫人から総攻撃を受け、「千家のお茶会にもパンツスタイルで行った」などなど、人生散々叱られてきたので、今回の「昭恵夫人ワンピース事件」はついニヤニヤとしてしまいます。ドレスコードで迷う時は、自分が思うよりも格上のものを選ぶ。ま、これが散々叱られて恥をかいて達した我が教訓でしょうか。「そういうのって、粋じゃないよね」と思わず、「面倒」という思いも抑え、主催者が「まあ、ここまでちゃんとした格好で来ていただいて」と感激するくらいにしておくのが賢明というか、問題がない、ということです。世間は自分が思う以上に「何を着ているか」を見ているってことですよね。人生、いろいろ、大変です。