森氏引きずりおろしを仕掛けたのは?
この1週間、TVでは朝から晩まで、一般紙、スポーツ紙では紙面をやたら使って、「あってはならない発言」「許されない差別」と口を極めて批判され、森喜朗会長が辞任にまで追い込まれた。目を三角にして怒ってみせていた方々、白いスーツでアピールしていた女性議員さん、天下の大犯罪のように「女性差別」だと断罪し、記事を書き続けていた記者さん達はさぞかし、清々しくいい気分なのでしょうね。 私は今回の現象におぞましさを感じ、吐き気がしそうでした。TVに出ている人の中に「差別発言なんでしょうかね」と疑問を持つ人が誰一人いない。「とんでもない女性蔑視」だという前提で発言しないと許されない空気になっている。よって森さんが嫌いな人は、とことん批判し「老害」などと言ってのける。そこまで、とは思わない人も、枕詞のように「発言自体は断じて許されないことですが」と付ける。そうでもしないとTVには絶対出してもらえないし、うっかり擁護したら、今度は自分に火の粉が飛んできそうな空気になっていたわけです。 森氏の発言の詳細を私は何度も読んでみましたが、「女の話は長いから、女は会議に参加してもらいたくない」といったわけではない。軽口レベルのさほどの発言でないことが明瞭なわけです。 もちろんジェンダー学的には、問題はあるのでしょう。組織のトップの発言としては、不適切だったのかもしれない。うっかり「女性が」なんて、言うべきではなかった。もう少し、脇を締めて言葉を選ぶべきでした。でも、少なくとも森氏ご自身的には女性を蔑視したつもりはないし、(女ってのは、面倒だからな、ぐらいには思っているのでしょうけど)これにいちいち腹立てていたら、世の中動かんよ、ぐらいのレベルです。一億総出で批難して、天下の大悪人扱いし、これまで無償で(だそうです)尽力してきた会長ポストから、今の時点で引きずりおろす程、女性を傷つける発言だったとはとても思えない。 「女性の話は長い」と言われて大きく傷つく女性が果たしているのか私は若い頃から、女性差別にはかなり敏感に反応してきましたが、そんな私ですら、「そんなことはない、男だって話は長い」で突き放してお終い程度の発言としか思えません。 一体、どうしてここまでの騒ぎになってしまったのか今朝のテレビで二宮清純氏が「内堀も外堀も埋められてしまいましたから」辞任は当然、と言ってましたが、なるほど、と思いました。森氏は見事に戦いに負けたのでしょう。 メディアは「世界からも批判を受け」、日本の恥だと非難していました。でも、世界に向けて、発信したのは他でもない日本のメディアです。しかも、森発言を悪意に切り取った記事を、さらに悪意に脚色・翻訳している。 ロイターの記事を見ましたが、“If we increase the number of female board members, we have to make sure their speaking time is restricted somewhat, they have difficulty finishing, which is annoying,と森さんが発言した、となっています。これ、according to the report from the Asahiつまり、朝日によれば・・なんですね。朝日の記事を、ロイターはそのまま利用していて、独自に取材なんかしていない。 Annoyの単語がありますが、森氏の発言に、annoy(不愉快)と訳すような言葉はどこにもないですよ。あとになって盛った言葉でしかない。 朝日が悪口振りまいて、「ほら、海外からもこんな風に言われている」と嘆いて見せている。これ、マッチポンプそのものですよね。 スポンサーからも森氏に対しクレームが出たようですが、どうやらスポンサー企業に抗議のメールや電話が随分と来たらしい。 仮に森氏の発言が女性蔑視に見えたとしても、冷静に考えれば、即スポンサーに抗議というのは、異常でしょう。 謝罪の記者会見で、森氏は記者の発言に怒ってしまい、それで余計、世間の反感を買ってしまったわけですが、若造にあんな言われ方をしたら、誰だって怒るわなぁ、と思いましたよ。それでも怒っちゃ、負けなんでしょうけれど、敢えて仕掛けた記者がいた。 なんか、嫌~な感じがしませんか大きな勢力に巧みに仕掛けられている、というような。 今や、メディアがここぞと狙いを定めれば、簡単に人なり組織を社会的に葬ることが出来る社会になっている。彼らは巧みに(嘘とは言えない範囲で)事実を曲げられるし、印象操作はお手の物。しかもそのメディアは、正義面をしてこれが国民の意思だ と主張する。それも、公共の電波や紙媒体を使って、朝から晩まで一色に。事態がひっくり返っても、その後の責任は一切、負わない。そしてそのメディアを頭から信じ、仕掛けられたとおりに動く人達がいる。 恐ろしい世の中になっています。