尾身会長が感情的になってどうする!
分科会の尾身会長が、IOCバッハ会長再来日について、「挨拶ならリモートで出来る、あの方は銀ブラまでしたんでしょ・・」と怒りの会見をした、とメディアが大喜びで報道していましたっけ。 国民感情としては、そうでしょう。でも、バッハ会長が一人、再度日本に来ようが、感染拡大にはつながらない。我々庶民が感情的に「けしからん」「許せん」と怒るならともかく、コロナ対策の科学的判断の頂点であるべき人が言っちゃあ、まずいんじゃないか。 政府との間に、何かしらの軋轢があるとしても、分科会は、あくまでも「科学データに基づいた判断」で発言してもらいたいもの。 少し前、知事さん達が「ロックダウンを」と声を揃えていましたっけ。でも「ロックダウン」と言いながら、具体的に何をどうするか、という提示は何もなかった。具体的なイメージがそもそもないのでしょう。このレベルのロックダウンをすれば、経済的損失がどれほどになり、でも、それを何日続ければ、感染はこれだけ抑えられる・・という数字やグラフを出せる人も、一人もいなかった。 つまり、言うだけ。「私は言いましたよ、感染対策への危機感をガンと出しましたよ」という政治家としてのアリバイ発言でしかなかった。政治家はそんなもの、と言ってしまえば、それっきりですが、仮にも地域の行政の責任者であるならば、パフォーマンスでなく、現実的な策に頭を使うべきです。 おそらく誰がやっても、抑えられなかったろうコロナ対策の全てが今や「菅総理が悪い」と決めつけられて、少々、気の毒な感じがします。冷静に判断すれば、ワクチン接種はかなりのスピードで進んでいるし、オリンピックも、まあ、取り敢えず無事、終了させた。この感染爆発と言われている最中ですら、アメリカやイギリス、フランスよりは日本の感染拡大は、まだ、抑えられている状況ですし。でも、そういう数字的な判断は、メディアも国民感情もしてくれないわけです。「目に力がない」「棒読みだ」「発言に心がこもっていない」と怒りの矛先は、非常にあいまいで感情的な当人の印象論ですものね。 メディアも、ワイドショーなんか、さかんにグラフや表を示して、「専門家」とされる医者なんかを呼んで、いかにも科学的に分析している風を装っていますが、自分達が持って行きたい方向に都合がいい数字だけ並べ、都合が悪いものには、触れないし、センセーショナルな方向へ、持って行こう、行こうとしてますよね。 感染者数が「同じ曜日の過去最大になった」と大騒ぎし、1週間前より減ると「重症者数が過去最大に」といい出し、「安心できる状況では全くない」と医者に言わせて、ほらどうよと得意になっている。 なんだか、一億総・非科学的になっていませんかね。それは日本が「科学教育」に力を入れてこなかったせいでもあるし、世の中の判断というのは、科学や数字や法律だけで決められないことが多いのも確かではありますが、こと、ウィルス対策というのは、科学的データに基づいて、判断しなくちゃ、誤るのではないか。 人ってのは、疲れて来ると、冷静な判断が衰退するものですが、まずは、専門家、分科会の先生方に、改めて、ポピュリズムや、ご自身の政治的立場や、売名に走らない、冷静なデータに基づく判断をしていただきたい・・と思うばかりですよ。