裏金の使い方を聞いてみたい
最近よく見る、夕方の報道番組の特集に、無人直売店の集金箱に、お金をごまかして入れる客・・というのがあります。TV局のスタッフが隠しカメラを備えて、客の様子を窺い、ごまかした客を厳しく追求するという、毎度のパターン。 よく見るので、人気があるのでしょうネ。先日も、農家の無人直売店を舞台にやってました。追求されるのは、300円の野菜を取って20円しか入れない年寄りとか、200円のサツマイモに、5円しか入れなかったオバサンとか。 確かにこれだって立派な窃盗であるわけだし、農家側にしてみれば、許せない行為なんだとは分かります。こういう特集をすることで、犯罪防止に繋がることも理解出来る。 しかし、わずか200円、300円のことで執拗に追求され、さらには警察まで呼び込み「署まで来てもらいましょう」と引っ張られ、そういう現場を舐めるように撮られ、全国に晒されるのも、なんだかなぁ・・と見ていてなんとも気持ちがザワザワする。顔はだしませんが、捕まるのは大抵、弱々しい年寄りですしね。後味は、ヒジョーによろしくない。 一方で、自民党の裏金問題が、大きく報じられているわけです。裏金工作は歴史的にず~っとあっただろうし、メディアも政治家さん達もみんな、当然のことと認識していたでしょ・・と思うよね。 それが今回、告発があって、一気に注目されることになった。しかも、クロ濃厚は、自民党最大派閥の安倍派だという。メディアも、おそらく政界も、安倍派を潰す絶好のチャンスとばかり、日々、お祭り状態。 でも、おそらく裏金工作については、他の派閥も野党だって、絶対やっていると思うのに、検察もメディアも、そこまでは追求しないらしい。かつ、1000万円以下の場合は、起訴されない見込みだのと、平然と語られている。どうやら、安倍派の幹部が一人、二人、人身御供のように起訴され、それでお終いになるらしい・・。 分かっていることですが、世の中というのは、不公平極まりない。わずか200円、300円お金をごまかしたということで、「ここまでやるか」とばかり、追求される人もいれば、1000万円なら少額だし、と見逃される人達もいる。窃盗と不記載という、罪状の違いだと言うのでしょうが、お金をごまかした、ということでは、同じでしょう。ましてや、政治家さん達は公人であり、立場上は、絶対、清く正しくあらねば示しが付かない方々なのだし。 それに、思うんですね。今回の裏金疑惑で、その使い道が元政治家さん達の言葉として、チョロチョロ出てきていますよね。「地方議員から、応援してもらいたければ、持ってこいといわれる」とか、「うちの派閥に入らないかと300万、積まれた」とか。 要するに、そういったことに、使われてきたわけで。秘書の人件費や事務所の運営にお金が掛かるのだと言い訳してますが、そこはごまかしだよね。メディアと国民がこの機会に注目すべきは、裏金の存在もさることながら、そういった使い道だと思うのですけどね。 でも、コメンテイターの先生方もメディアも使い道については、深く追求しようとしない。 あうんの呼吸というのがあるのでしょう。業界のさじ加減・・というような。 そして、わずかなお金をごまかした一介の庶民は、天下の大罪を犯したみたいに、追求され晒され、面白おかしく報じられる・・。 一人、殺すと殺人だが、数万人殺害すると、英雄になる・・と言われたりしますが、200円ごまかすと窃盗となり、数億ごまかすと、政界の大物と持ち上げられる。 パン一個盗んだ罪で投獄された、レ・ミゼラブルの話をふと思い出しましたよ。