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さて、午前中から新居近くの公園でたっぷり子どもたちの身体を動かしてきたので、責務は終了。 実は今夜は、会社先輩に誘われて、初めて文楽を見に行く計画である♪ お誘いは前々からいただいていたのだが、チケット手配が3か月前ということで予定が立たず、なかなか参加できずにいた。 今回は、突然都合が悪くなった人が出たということでピンチヒッター。夫は明日からまた海外出張なのだが、第三部のみで午後5時~8時という時間帯がよかった(子連れ家庭ではもう帰宅して飲み始めている時間。笑)のか、すんなり留守番を引き受けてくれた。いつもながら感謝。 というわけで行き先は国立劇場。 かつて、こりすさん(違?)の踊りを見に行ったことがある以外は、足を踏み入れたこともない場所である。 (何を着ていくかと悩んだ末、ジャケットと春コートでほんの少しフォーマルにしてみたのだが、女性は和装かカジュアルスタイル。中途半端に気合いを入れてしまった……笑)。 演目は、「天網島時雨炬燵(てんのあみしましぐれのこたつ)」。 「心中天網島」の改作で、遊女小春と女房おさんの義理対決(三千世界にないという立派な女房が、小春を死なせないために身請けの金を工面する) → でもダメ男は結局小春と道行き心中、という、あの話である。 一般教養、予備知識のない私にも嬉しいことに、太宰治にはずばり「おさん」というタイトルの短編まであるので、この話には馴染みがないでもない。 義太夫独特の節回しが聞き取れるのか不安だったが、それも昨今はなんと舞台なのに字幕が出るというではないか。ええ字幕??? それって、興ざめじゃないのか??? 不安なままに開幕。 シンプルな舞台に、思いっきり黒衣(くろご)が立っていて、演目と出演者を紹介。 舞台袖のなんというところか、小さな席がくるりと回転したかと思ったら、太夫(たゆう)と三味線の登場である。 心配された字幕は、舞台両側のやや上方にあり、見ようとしなければ見えない工夫。ううむなるほど。でもついつい見てしまう初心者の私。 アイヤコレ アイナア ムゝスリヤ チエゝ コリヤなんといの ……衝撃的な文字遣いだが、これがまた音声になるとスゴイ。ええ。美しい!? サアなんというか、コリヤ吃驚みたいな(笑)。 私は落語も聞かないので余計に衝撃だったのだが、義太夫も一人で何十人と声色を使い分ける。 地の文は節がついた語りで、セリフは完璧な演技。遊女が本心を押さえて愛想づかしを言う、とかの複雑で高度な場面もあったが、もう圧倒的に聴き惚れる。 ↑あとで人に聞いたら、文楽にも番付のようなものがあり、前半の聴きどころを語った人は人間国宝86歳だったそうである。ちなみに小春は19歳の設定。驚愕。 人形もまたスゴイ。 堂々と人形遣いが舞台に立っているのは世界にも例を見ない人形劇です、とパンフに書かれてあったのだが、立っている人形遣い(しかも3人で、うち2人は黒衣だった。)など全く目に入らないから不思議。 証文を破いたり刀を抜いたりと派手なところもあるが、普段でも小春の立ち上がる様子などひとつひとつが優雅というか自然というか、人柄を現して生々しい。 すごいじゃないか文楽!! でもなあ……太宰にもまして回りくどく情が義理が道理がというどろどろシュラバ(いや切り場というそうですが。笑)が続く筋は、ここだけの話、 なかなかずっしりと胃にこたえたよ……。笑 ご一緒したS製本の社長など、文楽は小学校一年生のときに見たのが最初と言っていたが、それもなんだか大変な環境のような気がしました……。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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