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再婚したいと思った相手がいた、と書いた。
一歳年下の俳優。舞台がメインだったが、NHKの朝ドラに主要な役で出ていて、取材で出会った。 彼の少年のような懸命さに魅かれた。ピュアな人に思えた。 一年間ほど付き合い、やがて彼は私の落合のマンションへ引っ越してきた。 荷物がとても少なくて、わずかな服と台本くらい。服は季節のものだけで、あとは実家に置いてあったようだ。 落合のマンションは2DKで40平米位だったが、家賃は確か15万円くらいだったか。 当時はなかなかなかったペット可の物件を探して、やっと辿り着いた部屋だった。 彼が転がりこんできた時、家賃を折半しよう、と私は申し出た。 するとびっくりしたような顔で一言。 「一人で住んでいた時と同じ金額なんでしょ? なんで半分出さないといけないの?」 「だって、二人で住むんだもの。半分っこするのは普通じゃない?」 この件を彼は九州の実家に電話で話した。大学進学と共に上京したので、頻繁に連絡をするようだ。 父親からのメッセージがあり、それは「順子さんは、ずるか女(おなご)ね」Σ(・ω・ノ)ノ! 元々払っていた金額が変わるわけじゃなし、息子に負担させるのはおかしいと。 母親やその他親族も同意見のようだ。 彼の両親はともに公務員。とくに父親のほうはかなり人望が厚い人物のようで、 暮れに挨拶に伺った際、春に定年を迎えるが、その後も残ってほしいと、数人が説得に来ていた。 多勢に無勢・・・ 価値観の違いは仕方ないのか。 確かに一人増えても、今まで払ってきた家賃の金額はまったく変わらない。 しかも光熱費も同じ理由で払う必要がないと言うし(実際はけっこう増えてしまったが)、 それならせめて食費だけは、朝食と夕食とで月に3万円を入れてほしいと話したら、 これは彼も彼の両親も首を縦に振ってくれた。 当たり前だと思うが。 でも、最初に「ずるい」と思わせてしまったことが後を引いたのか、ある時のことだった。 夕飯に「お刺身が食べたい」と彼が言い出し、二人で魚屋さんへ行き、約1200円分を購入した。 すると帰りしな急に不機嫌な顔をして、「やっぱりジュンはずるい」と言う。 「どうして?」と聞き返すと「1日1000円取っておいて、2人で2000円だとして、…余るじゃないか」 つまりは2000円の予算で1200円の刺身を買ったが、差額ははおまえがポケットに入れているのだろうと? 呆れて言い返す。 「じゃあ、お米代は? 味噌は? 醤油は? バターは? 野菜は? 豆腐や納豆は? 乾物は? 調味料とかもすべて入れて、一食に幾らかかっているか明細を出してみようか?」 むくれたまま、彼は渋々と主張を引っ込めたが、この件は実家の両親へ報告したのだろうか? 九州と東京。かなり離れているのに彼の父親は「わしは家長だ」と常に言ってきたし、 あげくに二人で映画を観に行ったと報告すると、 「息子は俳優だから映画を観るのはいいが、あんたは観る必要がなか」と言い切る。 こうやって両親ともに、何かと口を出してくるのには、かなり参ってしまった。 でも、彼にしてみれば、それはごく当たり前の家族の形だったようだ。 (続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年02月23日 11時00分08秒
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