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6月7日の朝にいきます

6月7日の朝にいきます

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2024年07月18日
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​​​​歌手のマネージャーをしていた時代のこと。
担当していた女性歌手が先輩歌手に対して「〇〇さん、それ、さまさかです」と言った。
えっ?「さまさか」? それって「逆さま」って言いたいの?
「△△ちゃん。あなたこそ逆さまよ」と思わず言って、周囲から冷たい目で見られた(;´∀`)

現在はあまり使われていないようだが、昔は芸能界用語として、逆さ言葉が当然のように遣われていた。
例えば「メシ」は「シーメ」。「蕎麦」は「バーソ」。
「なあ、シーメ、バーソでいい?」と言われたりする。

他にも数の数え方は、ドイツ語の音階に習い、
1「Cツェー」2「Dデー」3「Eエー」4「Fエフ」5「Gゲー」・・となる。
「デーマンゲェーセンをトッパライで」と言うのは2万5千円をその場で払う、の意味。

元々はジャズマン用語だったようで、バンドの演奏者たちが遣っていたのだと聞く。
私は、慣れるまでに、少し時間がかかった。
言われたことを、常に逆さまにして意味を探る必要があるからだし、
特に下ネタをこれで言われると、さすがに下品だと顔をしかめてしまって、怒られたりもした。

特別意識・・よく「芸能人」に対して「一般人」という言い方をするが、
仲間うちだけで通じる言葉を使うのは、
「自分たちは選ばれた特別な人間だ」との優位意識を持っているからだと感じてしまう。

例えば撮影の際など、ADさんが公道で車の往来を止める。
口では「すみませ~~ん」と言ってはいるが、当然のような顔でいる時もあるし、
ドライバーが「仕事の納品で急いでいるんだ」と言っても「すぐに済みますから」と返したりして、
ああ、スタッフまでもが有名人や特別な立場の人間になった気分なんだな、と呆れたりした。

でも、そういう自分はどうだったのか?
思い返せば20代の若い身空で、ハイヤーに乗って取材現場へ行った。
ハイヤーは ~車のことはさっぱり解らないが~ それでも高級車だろうことは理解できる。
すれ違う車の中から覗かれ「あれっ、誰だっけ?」「有名人?」「偉い人?」
そんな眼を向けられると、少し気分がよかったのは否めない。

自分は特別。一般人ではなく、特別な世界に在籍する、選ばれた人間。
そう勘違いした時期もあったように思い、今考えると恥ずかしい。

逆さ言葉は、もうあまり遣われていないようだが、
いわゆる「有名人」「テレビに出ている人」の中には、残念ながら特別意識を持っている人がまだまだいる。
友達の中の、いわゆる「有名人」の何人かは、
知らない人と目が合っただけで「嫌だわ。また見られた」という顔をするし、
お世話になってるスタッフにさえ「あなたとは格が違う」という態度を見せる人もいる。

ただ、本当に実力がある人は、実に謙虚だったりもする。
亡くなった志村けんさんが「まだまだ僕を知らない人が、日本国中にいっぱいいる。
だから地方へもできる限り出かけて行くんだ」と言ったと聞いた。

私は現場を離れてしばらく経つが、それでも特別扱いされることが時々ある。
そんな時、謙虚でありたい。
そして謙虚で美しい精神を持つ人をみるたびに、そこから学びたいと思う。
人の目を気にすることなく、本当に大事なことを極められる自分を作り上げたい。









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最終更新日  2024年07月18日 12時30分08秒
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