カテゴリ:絵本・本
久しぶりおすすめお姫様絵本。第15回。
今日はお姫様でなくてお后様だけど、ロシア民話「ことひきにばけたおきさき」という話を紹介してみる。 新星出版社「おんなのこのめいさく むねキュンセレクション25話」という本に収録されている。 この本はタイトルや表紙からもわかるとおり、よくある女の子向け名作を集めた寄せ集め絵本。そしてこの手の本によくあるように、現代的な絵柄の絵本である。一口に現代的といっても、ラノベ風だったり萌え絵風だったり、ゆるキャラだったり、アニメ塗り絵だったりするけれど、こちらはご覧の通り少女漫画風、それもTHE低年齢向の少女漫画絵だ。りぼんとかなかよしちゃおにありそうな絵だなと思ったら、それもそのはずで実際りぼんやなかよしちゃおで漫画を描いていたりもする人達だった。漫画家さんたちか~。 そしてそういう漫画によくみられるように画力はそんなに高くはない。扉絵とかは綺麗なんだけど、挿絵としてはあんまり・・・。書き分けができておらず、男も女も同じ顔で年寄もただほうれい線つけだし、顔漫画で顔以外はポンコツだし、正直いって下手な絵が多い。 これに比べたら世界名作ファンタジーのアニメ絵本のいかに絵が上手いことか。あのシリーズ絵、達者だよね。アニメ絵だと言って馬鹿にするなよ、めっちゃ絵上手いからな。 まあアニメ絵絵本はアニメーターさんらが書いているから画力が高いけど、こちらは少女漫画さんたちなので、拙いのも致し方ない。似たような女の子向け名作集はいろいろあるけど、ここのは突き抜けて低年齢少女漫画風だと思う。他はもっとラノベ風というかカワイイイラスト系に感じる。 そしてお話はとにかく恋愛押しで、恋愛恋愛の恋愛脳の人がいっぱい。恋バナ大好きな少女漫画みたいな人が多く、いかにキュンキュンさせるかに力を注いでいるように思う。 そんなわけで対象年齢は小学校低学年ぐらいかな。園児だと恋愛話が多くてよくわからない恐れあり。こういう本を購入するのは園児持ちが多そうだけど、楽しめるのはなかよしとかりぼんとかを読み始めるぐらいの小学校1.2年ぐらいかなと発言してみる。 オペラ座の怪人やロミオとジュリエット、アイーダのように大人びた話もある。 オペラ座の怪人。これ絵がイイネ、中二病全開。少女漫画絵のよいところを存分に発揮。 なお時代考証は重視してないらしく、はちかづきひめの母も畳をしきつめた部屋に寝ているし、姫の着物も小袿とかじゃないけどこれであっているの?だし、若君は烏帽子を脱いでいるし、奥方や姉嫁たちは家で桂冠かぶっているし、ファンシーな世界。歴史的にあっているのか不明。たぶんロミオとジュリエットなども日本人の私達にはわからないけど、衣装や調度品などいろいろおかしいんだろうなと思う。 一方文字に関しては、似たようなものの中でこの本が一番文字量が多い。たぶんだけど。 似たところで、 があるけど、それよりも文字が多いような気がする。 こういう寄せ集め名作集はとにかく短くまとめられているので、ちょっとでも文字情報多いほうがいいと思って新星出版のにしたんだ。 西東社のシリーズはラノベ風の小奇麗な絵が多いんだけど、とにかく話が短くてね、空間が多くて物足りないのでやめておいた。全体的に軽い。ライトすぎ。改行も多すぎるし行間もあきすぎだし字間も広くてちょっと文字が好みではなかった。シリーズで何冊もでていて知られていない話も取り上げてくれるのは嬉しいけど、ちょっと軽すぎだよなあ。 それに比べたら、新星社の「おんなのこのめいさく」はキラキラした少女漫画絵が紙面いっぱいにバアアアアン!と展開され、文字も3段組にしたりしてつめていたりして、なんか詰まっている感があり、うっかり中身があるような錯覚を受ける。だから私はこっちにしたんだ。 本当こういう寄せ集め本に対していつも言っているけど、収録話数を半分にして、長さを倍にしてほしい。あと赤毛のアンや若草物語、オズ足ながハイジ秘密の花園みたいな長い児童小説を入れるのやめてくれ。あんな長いもの入れてどうするんだダイジェスト版にすらなりゃしない。なぜこんなにいっぱい入れすぎるのか。 なお正確にいうと私が見た中で一番文字が多いのは だけど、こちらは真面目な正統的な絵本って感じで、上記のキラキラ絵本達とは系統が違う感じがした。挿絵も有名な絵本画家さんばっかりで、話もへんにカットしていないものだし、セレクトも上とは異なり教科書に載りそうな短編だった。作者も花岡大学・あまんきみこ・浜田廣助・宮沢賢治・小川未明など、教科書でおなじみの面々。 あと似た傾向でナツメ社 こちらは同じ系統で少女漫画絵。こちらは本当定番中の定番という超有名どころを集めている。だいたい表紙で判定できるように作ってくれてあるよね。 文章はこっちのほうが断然いいんだよな。文は立原えりかさんが書いていて好み。 とまあ似たようなものもいろいろあるけど、「新星出版社おんなのこのめいさく むねキュンセレクション25話」で私が気に入った話を紹介したい。(前置き長かった) ことひきにばけたおきさき タイトルがおもいっきりネタバレ。 このタイトル文字いいね、色使いが美しい。 ロシアのみんわだってひらがなで書かれると可愛い。 絵は松本夏美さん。 昔のりぼんっぽい絵柄だなーと思ったら、昔りぼんで漫画書いていたことある漫画家さんだそうだ。 王様は一人で旅にでて他国の王に捕まってしまう。 美形やわ。トキメク・・・ 少女のような綺麗な少年だと思ったら、既婚者らしい。うぉおおお・さすが少女漫画!年齢書き分け回避。なんちゃってロシアの帽子が恰好いい。これは時代考証的にあっているのかどうなのか、おいらにはわからぬ。 お后様も青いお帽子が素敵。この衣装好みやわ。手紙は鳩が運んできてくれたの? 美少女だけど人妻。 うほっこれは他国の王様が欲しがるよねー。 夫を救うために髪を切って、お后様は少年琴弾きに変装して潜入。 グラスを傾けたまま音色に聞き入る他国のダンディな黒髭王様、違いがわかる男らしい。もふもふの毛皮がよい。 夫は釈放された。 あれ、髪伸びている、長い間投獄されていたのかな。 ロン毛でもますます美しく、ちっとも不潔な感じがしないのは少女漫画あるある。 少年の正体にちっとも気が付かない王様。おまえの妻だよ顔丸出しじゃん、気づけよ。 もしかしてこの人、間抜け?アホの子美形ってやつ? 城はもっとたまねぎっぽい屋根にしなくて大丈夫か。ロシアってたまねぎみたいな形だよね(よくしらない) 文字がたくさん。 やっと気が付いた。 「ああこれはどうしたことか」 ああこれはどうしたことか! ぷぷぷ って、阿保ですか。 そんなところもかわいいのですが。 最後は自分を助けてくれたのが妻だったと知ってハッピーエンド。 王の妃機知で夫を救うという気持ちの良いお話だった。こういう女性の知力と勇気と行動力を称える話は女の子向け本にぴったりである。 編著は廣嶋玲子さん。この人は銭天堂(読んだことない)の作者だそうで売れている人なのでどんだけ文が上手いのかなって思ったけどあれれ?そうでもないのもあった。話書いたのは別の人かな。一つ一つの話に誰が書いたのかは書かれていない。くるみ割り人形の文はひどかった。くるみわりは絵も話もちょっとひどすぎ、読むに堪えない。文は上のナツメ社の立原えりかさんのほうがずっとよい。 あとこの本の造りが大変好みだった。 ハードカバーじゃなくてソフトカバーだし、本もパカッと開いて閉じないし、大きさもちょうどいいし、厚すぎない紙で軽くて持ちやすい。 そしてなにより透明ビニールカバーが素晴らしい。 普通の本のカバーだと、はがれてきちゃって子供が扱いにくくいつもやっかいに思っていたが、こちらは外れない、子供がめくってもとれない、そして本を守ってくれる、素晴らしい。 他の本も真似してもらいたいと思う。 本当この透明ビニールカバーいいよ。 字体とか文字サイズもちょうどよくってこちらも好みであった。 この本はシリーズ2冊目っぽい。3冊目はもう出ないのかな。こういう名作集は、最初の巻は有名な話が多くて手持ちとかぶりまくるけど、続巻がでるとそれほど有名でない話や持っていない本も増えてきて嬉しいのだけどな。また出してくれたら嬉しいなと思う。 シリーズ1冊目はこちら。 こっちのほうが超有名が多いかな。手持ちとかぶりまくりなので第3弾出しておくれ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.06.19 09:50:04
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