カテゴリ:絵本・本
おすすめお姫様の本 第16回
はちかづきひめは女の子向け名作集によく入っている定番話なので、これまでいろんなところで見たけど、この本が一番のお気に入り。 過不足なくよくまとまった絵本だと思う。そしてなにより上品。 「はちかづきひめ」のわたくし的鑑賞ポイントは2つ。 一つは最後の嫁対決のところで、はちかづきが琴や歌詠みの腕前をさらりと披露して周りを圧倒させるところ。ここがこの話の最高潮。このシーンこそが一番の盛り上がり場。だからこれがカットされている絵本は駄目。他を端折ってもここは端折ってはいけない。そうしないと、ただの財宝もっているだけの美人になってしまってそれでは足りない。そうではなくて、ちゃんとしかるべき家の出身で教養もある娘で、宰相殿にふさわしい人物あるということを表現しておく必要があると個人的には思っている。 一方若君のほうから見ても「やはりただものではなかった。私の目に狂いはなかった、ひとかどのじんぶつであったかー」と宰相殿の株を上げるのに必要な箇所になってくる。 これをカットしてある本がしばしばあるけど、これがあるとないとでは話の雰囲気がだいぶ違ってきてしまう。ないと両親がただ持参金いっぱいだったから、結婚許してやったみたいながめつい人物になってしまうでないか。 琴が得意という設定を投げっぱなしにするなよ。本によっては出だしに琴が得意とアピールしておいて、その設定をいかさずそのままスルーして宝がいっぱい出てきて美人でしたで終わるものもあってずっこける。 もう一つはやはり長谷観音様。 もうこの時代のお話の萌えポイントといったら長谷観音である。観音様観音様観音様!昔ばなしではおなじみの長谷観様であるが、長谷観音にお祈りするところのなんとまあ美しく敬虔なことか。もう観音様がでてくるだけで話の美しさがアップする。信仰心の薄い現代人にとって神々しい気持ちになる大切なアイテム観音様。 この話は、観音様にお祈りして授かった子が最後観音様にお礼参りにいくところまでが一区切りである。 だからちゃんと最初と最後に観音様がでてきてほしい。 こちらの絵本はこの点が描かれていて大変よろしい。 最後は観音様にふれ綺麗に話をまとめてくれる。 では本文を見ていってみよう。 お優しそうな両親。 いらっしゃいました ・・・言葉使いが丁寧で上品。 観音様お守りください。 千代紙みたいな和紙をはりつけた絵が典雅で美しい。 風呂焚き女に転落。でもこの絵で美しい人ってわかるよね! 宰相殿のご両親。底意地悪いではなくて、常識的な感じの顔に描かれているところが好み。だって意地悪じゃなくてやんごとなき身分の息子が下賤な風呂焚き女で乞食風情と一緒になったら心配だし。 これこれこのシーン。 おおおっなんと、となっているこのシーン!このシーンがないとね。 おまかせあれと堂々と琴の腕前を披露するはちかづきの顔が良い。 対して姉嫁様や奥方様方が意地悪な顔つきでなくお優しそうなのがよい。 これもすべてかんのんさまのおかげ 謙虚で信心深くて泣けてくる。 最後お父様にあえてよかったね。 お父上、目じりの皺に大そう苦労したことがうかがえる。涙 最後みんな幸せになってよかった。 長谷観音様ありがとう。 この本は小学館の日本おはなし名作全集8という本に収録されている。手元の本は1989年発行になっている。 【中古】 いっすんぼうし 日本おはなし名作全集8/立原えりか,池田浩彰 【中古】afb 文は間所ひさこさん、絵は奈良坂智子さん。 このはんなりとした絵を書いた奈良坂さんは他にどんな絵本を書いているのかなーと調べたら、なんとプータンのいまなんじだった。全然気が付かなかったよ。雰囲気違うね。 ハードカバーの古い本だけど、たぶん図書館においてあると思う。 奥方や姉嫁がいじわる顔に描かれている絵本もあるけど、こちらはそんなことなくて上品で読後感がよい、。キワモノっぽく書かれやすいお姫さまだけど、この本は品があっていいなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.07.02 10:44:10
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