もっと多くを - 観音像 -
観音像には、その時代の流行がありました。初期の観音像は、聖観音ばかりでした。聖観音とは、ひとつの顔と2本の腕を持つ、人と同じ姿の観音様。次に、十一面観音が流行りました。11の顔と、2本の腕を持つ観音様。11の顔は、観音様が人を救う時の、それぞれの顔を示しています。よく見て、諭し、あるいは叱り、さらには笑い飛ばして、人を救うのです。続いて、千手観音が流行りました。千の手のひらには、それぞれ眼があります。千の眼と、千の手で、人を見て救うのです。最も多くの人を救う、千手観音。千手観音は、平安時代中期には千手観音は、観音信仰の中心となりました。ひとつの顔より、十一の顔を。十一の顔より、千の眼と千の腕を。観音様をグロテスクに変えたのは、救われたいという人の欲なのです。