魂が減ってゆく - 数え歳とお正月 -
どうしてか、不思議でならない。かつて日本は、数え歳だった。生まれるとすぐに1歳、正月が来ればひとつ歳をとる。数え歳が数えるのは、”魂”の数。生まれた子には、当然だが魂がある。だから数え歳では生まれてすぐに1歳で、魂のない0歳の子はいない。正月が来ると年をとるのは、正月に魂を得るからだ。魂を取り入れるために、餅を食べる。餅は米の精霊、つまり魂が宿る神聖な食べ物だからだ。つまり、正月が来るたびに、私たちは餅を食べて魂を得る。年々、魂の力に満たされ、英気が養われるはずなのだ。それなのに、なぜだろう。歳を重ねるたびに、英気が失われてゆく気がする。魂が失われてゆく気がする。正月には餅もしっかりと、食べているにも関わらず。そういえば、正月はお年玉の時でもある。お年玉も本来、"年の魂"。つまり、お年玉は魂なのだ。あぁ、そういうことなのだ。正月は親族の子供らに会うたびに、お年玉を取られてしまう。大切な魂を、子供らに取られてしまう。いくら餅を食べても、魂が減ってゆく。そう、それが理由なのだ。正月に、子供らが笑みに満ち、大人たちの英気が失われてゆくのは。