ねたまれ、だまされ、殺されて
秋田には、与次郎という名のキツネの伝説があります。これは、その与次郎狐のキャラクター像。今日は、与次郎狐の伝説をお話ししましょう。*****佐竹義宣公が、秋田に久保田城を築いた時のことです。庭に一匹の大狐が現れました。その狐は義宣公に訴えます。「築城により、私は住処を失いました。 代わりの住処を下さるなら、貴殿のお役に立ちましょう。」何をしてくれるかと義宣公が問うと、俊足の飛脚になると狐は答えました。実際、その狐は俊足で、江戸往復を6日で駆ける飛脚となりました。義宣公は喜び、その狐に住処と「与次郎」の名を与えました。しかし、それを喜ばない者もいました。間右衛門は、宿場への飛脚の宿泊が減ったのは、与次郎のためと逆恨み。与次郎の殺害を企て、罠を仕掛けました。罠を見抜いた与次郎でしたが、捕らえられて殺されました。死の寸前、与次郎は最後の力で御状を空に飛ばし、飛脚としての役目は果たします。間右衛門らは、与次郎の死肉を食らい、奪った金で祝いの席を設けました。しかし次々と乱心するものが村に現れ、村人は狂い死にしました。惨状を耳にした幕府は、与次郎を神社に祀りました。すると村の惨劇は止みましたが、間右衛門らは一家全滅してしまいました。義宣公は与次郎の死を悲しみ、与次郎稲荷神社への参拝を欠かしません。手厚く祀られた与次郎でしたが、時すでに遅しでした。*****海外では、キツネは狡猾な動物として語られます。しかし日本の物語では、狐をねたみ、だまし、殺すのは、常に人なのです。【与次郎稲荷神社】*****「楽天商品」