水掛不動尊が見る街は
にほんブログ村 大阪千日前 法善寺。この寺の水掛不動尊ほど、有名な石仏も少ないでしょう。何度も参拝した水掛不動尊ですが、手元に良い写真はありません。理由は参拝が、決まって夜だったからでしょう。次の写真は、法善寺のホームページから引用しました。私は水掛不動尊に水を掛ける時、これは”苔の水やり”と思っていました。不動明王も、矜羯羅童子(こんがらどうじ)も制吒迦童子(せいたかどうじ)も、皆、全身を苔で覆われています。その苔の種類は、大半はアオハイゴケです。その他に、ヤナギゴケ,ツクシナギゴケモドキ,ジョウレンホウオウゴケ,ゼニゴケが生えています。ゼニゴケ以外は、渓流に育つ苔。特にジョウレンホウオウゴケは、絶滅危惧種です。その苔が街中で、水掛不動尊を覆うのには理由があります。ひとつは、水掛不動尊に掛ける水が、井戸水だということ。水道水の塩素などを含まない、自然な水です。もうひとつは、水掛不動尊が24時間参拝可能なこと。絶えず参拝客が井戸水を掛け続け、渓流に似た環境ができていました。水掛不動尊に水を掛けるようになったのは、戦後間もない頃。焼け野原となった大阪に、寂しくたたずむ不動明王。復興の願いを込め、その不動明王に水を掛けたのが始まりとされます。今は顔も苔で覆われ,眼も見えない水掛不動尊。水掛不動尊が最後に見たのは、焼け野原の大阪なのでしょう。人が水を掛ける限り、水掛不動尊が大阪の街を見ることはありません。水掛不動尊が次に見るのは、人がいなくなった大阪の街。いつか、それほど遠くもないかもしれない、かつて日本と呼ばれた小さな国の、ひとつの街の未来の姿。【 亀 苔盆栽 】 < ↓ ランキングクリックはこちらから > にほんブログ村