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中国の有名な映画監督、陳凱歌(チェン・カイコー)の作品に『北京ヴァイオリン』というハートウォーミングな現代映画がありました。
DVD『北京ヴァイオリン 特別プレミアム版』 物語など作品解説はこちら 映画館で観た時は、この監督もこういう“お涙直球もの”を撮るんんだー、というのが正直でダイレクトな感想でした。もちろん映画としての水準はさすが大監督、しっかり保っています。が、不朽の名作『さらばわが愛 覇王別姫』には遠く及ばない作品だと思っていました。なんだかありきたりなホームドラマのような印象だったんです。 バイオリンの話なので音楽は本当に素晴らしく、物語の印象より強かったくらいです。 北京ヴァイオリン / サントラ 残念ながら読んではいないんですが、当時は映画のノベライズ本も出ました。 北京ヴァイオリン そして2004年に製作されたテレビドラマ版が今年春からNHK衛生第2で放映されています。 番組サイトはこちら 2時間足らずだった映画が同じ原案を元に24回連続ドラマになったんです。 そりゃあ、こちらの方が作りも丁寧、登場人物や事件の描き方も緻密なはず。 この放映にあわせて、キネマ旬報からテレビドラマの方のノベライズ小説が出ました。 『北京バイオリン』キネマ旬報 伊藤卓 著 『北京バイオリン』キネマ旬報 伊藤卓 著 いやぁああ、面白かったです。映画を見ていなくてもドラマを見ていなくても、普通に小説として読むに値します★★★★ 著者の伊藤卓さんはアジア文化研究家。香港映画に関する著書はたくさんありますが、ノベライズは本作が初めてだそう。素晴らしい ノベライズというのは文学の中でも少し特殊です。映画の字幕、テレビの吹き替え台本の通りではただのシナリオ採録でしかありません。そこに流れる空気をいかに文字で表現するか。まるで映画を見ているようにテレビをみているように情景が思い浮かぶ文章は、まさしく著者の創作の力量にかかっています。 話は脱線しますが、私が「まるで映画のようだ」と思いながら読んだ小説で印象深いものを2つ挙げるとしたら、景山民夫著『遠い海から来たCoo』と浅田次郎著『蒼穹の昴』でした。ご参考まで。 そして間もなく、テレビドラマ版『北京バイオリン』のDVDがリリースされるとか。 北京バイオリン DVD-BOX(1) ひとつの題材で、こんなにいろいろ出るなんて やっぱり陳凱歌(チェン・カイコー)って大監督なんですね(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.08.14 17:44:51
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