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アンチエイジングの鬼

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2009年03月20日
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みなさん、こんにちは。
今日から三連休で、うららかな春の日のすばらしいお天気です。

私は明日は施術院があるのですが、今日は休みで、夫と息子と三人でチャヤマクロビオティックでランチしてきました。
このあと、また表参道まで自転車で行きます。
うち、基本的に移動は電動自転車ばっかりなんですよね。
真冬はさすがにきついですが、12月はまだ南青山の会社まで時々自転車で行っていました。
自転車だと、意外なお店を発見したり、街がスローに見えてとても面白いし、風を感じれるのが良いです。
これからの季節は、特に自転車日和ですねー
もちろん完全遮光サンバイザーを装着していますけどね!

さて、私はオーガニックコスメのプロデュースをしているので、基本的に良い化粧品原料をいつも探しています。
先日も横浜で開かれた化粧品技術展に、面白い素材はないか探しに行きました。
各ブースで資料を頂いて、心躍らせて見るのですが、、、

cj
↑だいたいが、こんな感じで失望してしまいます。
こういう植物エキスには、たいてい防腐剤としてフェノキシエタノールとかピロ亜硝酸塩Naとか入ってるわけです。
しかもこれはキャリーオーバー成分として、法律上は全成分表に表示しなくていいので、一般消費者には知る由もない成分です。


キャリーオーバー成分とはエキス抽出される際に用いられたり、原料を安定する目的で配合されたりする原料のことで、これは全成分表に記載しなくてもいいのです。


キャリーオーバー成分としては、アルコール、安定剤、酸化防止剤、防腐剤などがあります。
一つ一つは微量ですが、それらが複数原料入っていると結構な量になります。

bg
↑防腐剤がないエキスとなると、こんな感じでBG抽出エキスになります。

BGとは1,3-ブチレングリコールのこと。
MSDSという化粧品原料についている化学物質安全性データシートを見るとこのような記載があります。

第四類第三石油類(水溶性)
取扱上の注意;
皮膚:大量の水で洗ってください。
眼 :15分以上流水で洗った後、医師の診断を受けてください。
吸入:新鮮な空気を吸わせて下さい。


BGの製造方法
石油から作られるエチレンに水を付加し、エタノールを合成する。
エタノールを酸化してアセトアルデヒドを合成する。
更に、アセトアルデヒドを化学合成して、アルドール縮合物という物質を
作り、これに水素を添加。

BGは皮膚刺激は少ないとされ、防腐効果もあるので植物エキスの溶剤としてよく使われていますが、立派な石油系原料です。
最近は石油系でないBGも少しづつ登場しているようですが、表示には書いていないので判別不能。
すごく悪い成分とは思っていませんが、私のブランドでは使わないことにしてます。

ここ2年くらいの傾向としては、こういう展示会に行っても、オーガニックコスメブームを受けて全体の1割くらいにオーガニック原料が出てくるようになりました。
昔では考えられないことです。
今回は、特にオーガニック原料が今までで一番出ていたように思います。

eco
ところが↑「おっ!オーガニック認定原料だ!」と心躍らせて見てみると、、、

eco2
↑なんと驚くことにキャリーオーバーに安息香酸Naが入ってるんですねー

さっき書いた植物エキスはオーガニック原料じゃないからまだ分かるんですが、オーガニック認定原料なのに安息香酸Naってひどくないですか?

安息香酸Naってパラベンに比べて、食品添加物だから、口に入っても大丈夫なくらいの安全な成分ってイメージがあるようで化粧品の防腐剤として最近よく見かけます。
でも、平成18年にビタミンCと結合すると発ガン物質であるベンゼンを形成することが問題となって、英国食品基準庁がベンゼン濃度が高い飲料4種類を回収したり、日本でも厚生労働省が調査に乗り出して、国内ではある1つの商品だけに基準値を超えるベンゼンが検出されて、回収となりました。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/07/h0728-4.html



ところがそれだけでなく、最近欧州連合で、安息香酸ナトリウムがDNAを損傷させて肝硬変やパーキンソン病などを引き起こす研究結果が発表されたのです。


シェフィールド大学のピーター・パイパー教授は、生きたイースト細胞に安息香酸ナトリウムがどのような影響を与えるのか実験して見たところ、細胞のミトコンドリアのDNAの重要な部分にダメージを与えていることを発見しました。
安息香酸ナトリウムのDNAへのダメージは深刻で、ミトコンドリアの機能を完全に停止させてしまうそうです。
また、英国食品基準庁が、注意欠陥多動性障害の子供には保存料として使われる安息香酸ナトリウムと一定の食品着色料の混合物を与えるのを避けるのが有益という消費者向け勧告を出しました。
日本でも、安息香酸ナトリウムと食品着色料のコンビの清涼飲料水なんてたくさんありますから、お子さんに与えるのはやめといたほうが賢明ですね。
皮膚への害としても、皮膚、粘膜、目、鼻、喉に刺激があり、変異原性、染色体異常の報告もあります。


しかもアンチエイジングの鍵を握る、我らがミトコンドリア様の息の根を止める恐ろしい成分なんて、我々鬼も避けたいですよね。


eco3
↑さて、これも、オーガニック認定原料ですが、、、、

eco4
↑よく見るとこんなことが書いてあります。

●国際規格基準にあったオーガニック原料に由来する植物より抽出しております。

●抽出溶媒は、天然由来の植物性グリセリンと水を使用しております。

●防腐剤は、食品グレードの安息香酸Naとソルビン酸Kを使用しております。



ソルビン酸K?嘘でしょ?
目を疑います。
ソルビン酸Kも確かに食品添加物です。
パンやハム、練り製品などのよく含まれていますが、細菌やカビの繁殖を抑えて、食品の腐敗を防ぐ働きがあります。
しかしソルビン酸Kには、遺伝子に傷をつける毒性や、発がん性、染色体の一部を損傷したり、位置をかえたりする性質があることが指摘されています。
なんでこんなキャリーオーバーがOKとなってるんでしょう?

そもそも植物エキス原料を世界中に流通させることに無理があるんでしょうね。
だから防腐に必要な化学物質はある程度許容されているのです。
私から見るとこういうオーガニック認定は農薬に対してはすごく厳しいけど、こういうことにはかなり緩みがあるんだなーという印象です。

もちろんオーガニック認定原料がすべてこうだというわけではありません。
普通の原料に比べると、かなり厳格な基準がたくさんありますから、基本的にはとても信頼しています。
オイルや精油は通常まずキャリーオーバーはありませんし、エキスでも必死で探せば防腐剤フリーのものがあります。
ただ、確かにエキスは保存が難しいのは事実。そういう意味でも植物エキスは国内の無農薬の植物からオリジナル抽出するのが一番安心かなーという結論に今は達しています。
化粧品原料も、トレーサビリティがしっかりして、出来るだけそれを作っている人の顔が見えるのが結局一番なので、行けるところには必ず生産者を訪ねて行きます。

オーガニック認定原料で防腐剤フリーしかもBGフリーのものになると、出来るだけフレッシュなものをすぐ送ってもらって、すばやく製造するということが必要です。
あと、ローズ水の防腐剤なしというものを探すのに、私も苦労したのですが、意外とフローラルウォーターにキャリーオーバーがあるのです。
これは化粧品開発に携わらなければ、分からないことでした。

もちろん菌汚染したらそれも害なので、肌への優しさと防腐の問題の両立は本当に大切です。
でもこんなケミカルな保存料使わなくても、最近は防腐に有効でしかも肌に優しい植物エキスが結構出てきてるんですけどね。

しかし、キャリーオーバーっていやですね。消費者もこれじゃ選びようがないですから。
海外のオーガニック認定コスメはキャリーオーバーも表示するように義務付けられている物もありますが、日本でも全成分表に、今後キャリーオーバーも全部表示するように義務付けて欲しいです。


キャリーオーバーの世界を知ると、コスメの裏側が見える!
さぁ、自転車で街に行ってきまーす!




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Last updated  2009年03月22日 18時35分02秒
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