J.クリシュナムルティとの1001回のランチ
(キッチン日記/J.クリシュナムルティとの1001回のランチ:p150/p151:マイケル・クローネン(著):高橋重敏(訳):コスモス・ライブラリー)『彼女は静かに会話の成り行きを見守っていたが、クリシュナムルティの方を振り向いた。「推理小説などはどうですか? 何かお読みになりましたか?」 彼は彼女の質問にすぐには答えずに、戸惑った表情で彼女を見た。彼女は素早く言葉を繰り返した。「あのー、神秘もの、探偵ものなどですよ」 喜びのひらめきが彼の眼にやどった。「ええ、スリラー」と彼は答えた。「スリラーを読むのは好きです。あなたはどうですか?」「私もです、神秘小説はすばらしい。お気に入りの作家は誰ですか? クリシュナジ?」「アガサ・クリスティは随分読みました。レックス・スタウトの著作もいいですね。彼の名前、あの太った探偵の名は何でしたっけ?」「ネオ・ウルフです」「そして彼の助手、あのへまな奴…」「アーチーです」と彼女は言った。「レーモンド・チャンドラーはどうですか、何か読まれましたか?」「誰のことですか?」「彼はフィリップ・マローを作り上げました。がっちりした私立探偵で、四十年、五十年代にロスアンジェルスに住んでいました」「ああ、判りました。彼のはみんな読んだと思います」』 ああ…レイモンド・チャンドラー…大好きな「長いお別れ」「プレイバック」… アガサ・クリスティ…大好きな「アクロイド殺人事件」…初めて読んだときの衝撃!…「オリエント急行殺人事件」「ABC殺人事件」「そして誰もいなくなった」…