瞑想
(瞑想:p83/p85:クリシュナムルティ:星雲社)より引用『瞑想は ほんとうに単純なことだ それをむずかしくしているのは わたしたちだ わたしたちは そのまわりに 観念の織物をつくりあげる「瞑想とはこれこれのものだ」とか… しかし 瞑想は そのようなものではない 瞑想は あまりに単純で わたしたちの眼をすりぬけてしまう わたしたちの心は きわめて複雑で 古びたものになっていて 時間にもとづいているからだ このような心が ハートのはたらきを支配すると やっかいな問題がもちあがる しかし 瞑想は おどろくほど やすやすと 自然におとずれる あなたが 砂のうえを歩いているとき 窓から外を見わたすとき さりゆく夏の陽に燃えたつ 雄大な丘をながめているときに… なぜ わたしたち人間は こうも苦しみに苛まれているのだろう 眼には 涙をうかべ 唇には 偽りの笑みをうかべ あなたが独りきりで 丘を歩き 森のなかを歩き 白く長い砂浜を歩くことができるなら その独りきりのなかで 瞑想とはなにかを知るだろう あなたが 独りであることをおそれず 世界にくみせず なにものにも執着していないとき 独りであることのエクスタシーがうまれる 今日の朝おとずれた夜明けのように それは静かにやってくる まさにその静寂のなかで 黄金に輝く道が照らしだされる それは はじめからそこにあり いまも現前している そして いつもそこに ありつづけるだろう』