珍念8
珍念「言葉がただの音や形だったら、伝達の手段として使えないじゃないですか!」師匠「だから、伝達の手段として使うため、意味づけするのです」珍念「何が言いたいのですか?」師匠「意味づけされた言葉を伝達の手段として使うのはとうぜん必要なのですが、にもかかわらず、根本的には「言葉は言葉にすぎない」ということを知っていないと、混乱してしまうのです」珍念「何がどう混乱するんです? そんなの、「言葉は言葉にすぎない」だとか言いだすほうが混乱しますよ。言葉を伝達の道具としてきちんと使わないから混乱するんだ」師匠「たとえばですね、「悩み」という言葉がありますが、「悩み」という言葉に実体があるわけではありません。文字としては線や点ですし、音声としては、「ナ・ヤ・ミ」です。 にもかかわらず、「悩み」という言葉をあるとき知ってからは、悩みの感情みたいなものと「悩み」という言葉とを、あたりまえのようにくっつけてしまうのです」珍念「だけど、「悩み」という言葉を使わなくったって、悩みの感情はありますよね」師匠「その「悩みの感情」について調べてみるとき、「悩み」という言葉を使わず、調べてみるのです」