目の変化びと

歩いて食べる

あるいてたべる

本牧のヴィーナス（妹尾アキ夫）

「本牧のヴィーナス（1）」の朗読を iPod に入れて、食べながら聞いていると、いい感じです。ただ、残念ながら、個人的には「本牧のヴィーナス（2）」（「本牧のヴィーナス」の後半）はあまりおもしろくなかったです。iTunes を開き、iTunes Store で「妹尾アキ夫　本牧のヴィーナス（1）」で検索すると見つかります。その後見つからなくなったので、追加します。■2023年11月24日追加「本牧のヴィーナス」の朗読を聞ける場所を見失っていたのですが、いまのところ(2023年11月24日)、ここで聞けます。​「本牧のヴィーナス」の朗読（クリックしてね）ただ、話全体が好きというわけでもなく、僕が好きなのは、今回の朗読だと、前半の16分くらいまでです。

達成の哀しみ

『達成しようとする衝動には、つねに恐怖の影がつきまとう』（生と覚醒（めざめ）のコメンタリー　2巻：クリシュナムルティ（著）：p315：春秋社）『「私はこれを達成した。次にはあれを達成しよう」というふうに、あくせくしている人々を、老いと死とが粉砕する』（ブッダの　真理のことば　感興のことば：p166：岩波文庫 ）

おはなし336

『　　　象形文字の旅　上空に網の目状に張りめぐらされたロープを見上げ、あんなに高いところを移動してきたんだな、と思う。　ロープは一辺10mほどの正方形の網の目を無数に作ってどこまでもひろがり、空いっぱいに張りめぐらされている。　乗ってきたロープウェイはやがて視界から去り、いまはロープの網の目だけがひろがり残っている。　過去には、多数のロープウェイたちが四方へと行き交っていた時期があったのかもしれない。　僕を乗せ、空中をさまよっていたロープウェイは5分ほど前、ふいに停止する。静かになり、ロープウェイの運行音を聞いていたと気づく。

おはなし335

拾ったものを、ところどころ飛ばしながら読みはじめる。『　象形文字の旅　　　　　　　　　　　　　　ナカタひろし　上空に網の目状に張りめぐらされたロープを見上げ、あんな高いところを移動してきたんだなと思う。　ロープは一辺10mほどの正方形の網の目を無数に作ってどこまでもひろがり、ここから見上げる空いっぱいに張りめぐらされている。　ここまで乗ってきたロープウェイはようやく視界から去り、いまはロープの網の目だけがひろがり残っているのだけれども、

おはなし334

卵を切らしたので買いに行く途中、公園の水飲み場の近くのゴミ箱の封筒を拾った。封筒には「象形文字の旅」と書かれており、中身は何十枚かの印刷物であった。少し読んでみたところ、どうやら小説のつもりらしい。ペンネームはたしか、ナカタひろし、だったと思う。少し省きながら読んでみる。『上空に張りめぐらされたロープを見上げ、あんな高いところに、さっきまでいたんだなと思う。

散歩写真

おはなし333

カエルがクラゲを狙っているような気がするとき、「雨が降りそう」「という気配でもなさそう」「というと、雨でなければお出かけですか？」「いやちょっと…」「卵を切らしたとでも」「じつはそうなんです」

道順

　　　　　道順その道なら、あの路上は、危害が多い。裏返しにされることもあるという。歩いていて、思い出した。こわいことだ。電車に乗って考える。移動しながらのほうが、力が出て、都合がいい。勢いがついて、転ぶと道が紛れる。道順は矢印が知らせてくれる。通夜のようだ。危険な方角は避けよう。道だけが危険なわけじゃない。あの海はどうだ。魔力は蒸気となって拡散していく。危険は霧となって、足をくじく。この痛みは、祭りでもかまわない。遊びなら、いっそう、うずく。風で冷やせばいい。新しい土地へ向かう。土地が新しかったり古かったりするのは、だまされているみたい。水の色を確かめて渡る。水に沿って順に泳ぐ。

散歩写真

木の葉

電信（flickr）

おはなし332

「クラゲをください」「ミズクラゲ飼育セット」「あ、いや、冗談ですよ」「じゃあ、何が欲しい？」「わたしが欲しい何かを教えてください」カエルはクラゲを食べたのだろうか？カエルが水の中でクラゲと並ぶとき、カエルとクラゲの匂いがしたのだったか？

順序付けられた旅行風景

　　　順序付けられた旅行風景出発は何度も試みられた。もう何度も出発した。それでも、出発する。動かないことさえも、出発と数えられる。もうすでに、何度も到着した。派手に飾り立てられた到着。一目で到着したのだと分かる姿だったにもかかわらず、そのときの服装は忘れられている。休憩するための場所を、映画館で探す。画面の端ばかりを睨んで、横たわる場所を探す。画面中央では、騒がしい儀式が行なわれている。旅行であることを否定するための旅館。横たわって眠ることは禁じられている。旅館の図書室で、旅行の継続を勧める本を探す。旅行案内書を繰り返し読むと、旅行が可能だと書かれている。刺激的で魅惑的な旅行についての解説。それでも、もう一度、出発する。

おはなし331

「クラゲコーヒーをください」「クラゲまんじゅうをください」「どうしてクラゲを食べるのですか？」「カロリーが少ないのです」「このクラゲ、目がありますよ」「そうだね」

孟宗と七面鳥（北原白秋）

「孟宗と七面鳥」の朗読を iPod に入れて、買い物に行きながら聞いていると、いい感じです。iTunes を開き、iTunes Store で「北原白秋　孟宗と七面鳥」で検索すると見つかります。無料です。

遠い感じ

人間のことは遠いと感じるときいわゆる人間としての他人のことは遠いと感じるときいわゆる人間としての私のことは遠いと感じるときそういうのはよくないと決めつけず、遠い気分いいまま、歩いて買い物に行って作って食べて歯をみがき横たわって…

「運」

「運も実力のうち」とか言うけれど、じつのところ、「実力も運のうち」なんだろう、たぶん。まだ家にテレビがあったころ、テレビを見てたら、サバイバル訓練の達人みたいな人が取材されてて、いろんな技術を披露したあと、「生き残るのにもっとも重要なことは？」と聞かれて、「運です｣と答えたのを見ていて、妙に感心したのを思い出しました。

おはなし330

「クラゲを食べる」「誰が？」「知らない人が」「いつ？」「知らない時に」「どこで？」「クラゲレストランで」「クラゲ定食をください」「クラゲデザートをください」

無人島

　　　無人島私たちはみなたったひとり　無人島に生まれたったひとり　無人島で生きてゆくひとり　ひとつひとり　ひとつ無人島に住んでいる無人島の幻影が重なって人は人と出会う私たちは無数の幻影が行き交うのを眺めつつひとり　私だけの無人島を生きていくたったひとつの無人島に無数の人の幻影が生き交う

金盥

　　　　　　金盥扉がひらく射しこむ光にきらめいて部屋いっぱいに金盥がひろがっている縁まで水は膨らむ扉を抜け走りこみ　脱ぎ捨て金盥の縁に軽やかに　飛び乗り金属の円周を走る足首はもつれ　水に落ち遠い底に影が揺れる遠い水面から響いてくるあなたの身の生きている　音僕はようやく底まで沈みあなたの影にそっと触れる

おはなし329

散歩していたら、水の気配を感じる。このあたりは水族館だったのかもしれない。「キノコとクラゲは似ている」「どちらも食べれる」「キノコがクラゲを食べるの？」「ちがうよ」「クラゲがクラゲを食べる」（クリックしてね）にほんブログ村

窓、地面、等（flickr）

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梨の実（小山内薫）

「梨の実」の朗読を iPod に入れて、そうめんを食べながら聞きましたが、おもしろい話です。iTunes を開き、iTunes Store で「小山内薫　梨の実」で検索すると見つかります。無料です。■その後いまのところ（2018年10月18日）、iTunesでは聞けないようです。その代わり、YouTubeで聞けます。梨の実（小山内薫）（クリックしてね）

水映（flickr）

山の雪（高村光太郎）

朗読をiPodに入れて、ぶらぶら散歩しながら聞いていると、いい感じです。これまで、高村光太郎の文章には、ちらっと目を流したことがあるものの、ピンときたことがない（まあ、私は、だいたいのところ、以前読んでピンときた文章でも、年を取るとおもしろさがわからなくなっていること（まれに逆あり）がよくあるのですが）のですが、「山の雪」を聞いていると、いいなあ、いい感じだなあ、と思いました。iTunes Store　で、「高村光太郎　山の雪」で検索すると見つかります。無料です。

地下プール

　　　　地下プール三十五段のはしごを落ちて薄暗いプールに沈む水は肌にぬくい見えない天井から水面に垂れ下がった電話が斜めからぼんやり照らされて鳴る青く濡れた手首で受話器を握る耳を思い切り押しつけても地上からの通話は雑音ばかりで聞き取れない受話器を水の中に沈め地上の声を水に閉じるプールの底のふたを開き繰り返し深い水に落ちる

おはなし328

食べ物と、散歩するのは、数少ない妥当な行為と感じる。あるいていると、水の気配を感じる。このあたりは水族館だったのかもしれない。どくきのこがある。

おはなし327

「だって、これって、写真じゃない？」「だって、これって、写真じゃない？」「そりゃまあ、そうかもしれないけど、それで？」こんなことをしていて楽しい。ルール少なめの『おはなし』をしていて楽しい。

現代日本の開化

「現代日本の開化」は100年前、1911年の、夏目漱石の講演です。朗読をiPodに入れて、ぶらぶら散歩しながら聞いていると、いい感じです。iTunes Store　で、「夏目漱石　現代日本の開化」で検索すると見つかります。無料です。■その後いまのところ（2018年10月18日）、iTunesだと、無料のはなくなってしまい、有料でしかも機械が朗読する気持ち悪いのしかないようです。ただし、YouTubeで聞けます。「夏目漱石　現代日本の開化」（クリックしてね）