ビートたけし(談)
ビートたけしさんのインタビュー記事からの引用です。こういう「常識(?)」が語られるのを聞くのは、新鮮です。『今の社会は、夢を持てとか、自分らしさを生かせとか、やたらとそういうことを子どもたちに強調する。道徳の授業もそうらしい。夢に向かって努力することが生きる喜びになる、なんて書いてある。 貧乏だった時代には、そんなこといわなかった。清貧が、あの時代の道徳だったはずだ。最近の道徳の教科書に、そんな言葉は見つからない。清く貧しく美しくなんてのは、もう流行らないらしい。節約とか節制なんて言葉もあまり見かけなくなった。時代が変われば、道徳は変わるのだ。 夢を追いかけるといえば聞こえはいいけれど、それはつまり輝ける明日のために今日を犠牲にするということだ。 ほんとうのことをいえば、人も羨むその「輝ける明日」なんてものは、いつまで経ってもやってこないというのに。 人がほんとうに生きられるのは、今という時間しかない。その今を、10年後だか20年後だかの明日のために使ってどうしようというんだろう。昔はそういう人間を、地に足が着いていないといった』