暗香
暗香曜日のわからない 晴れた朝に したくは隣の部屋でする大きな音を出さぬよう 強く耳栓をして 左手で右手の親指の痙攣を隠しながら 床に散らばった黒い荷物を並べ換えていく 黒い靴下は手前に 黒い歯ブラシは垂直に黒い天井から 黒い荷物を照らす器具が かすかに揺れ ぶら下がっている 黒い荷物はますます黒く 輝いていく空気が流れていく と感じる身体の緩やかな移動による微風 と呟く部屋から出掛けるまえに 外で起こっている事を覗きに行く外では 夜 が行われている物語を受け入れていく 優しい気持ちに接して 不安になる甘い 匂いが 満ちていく