「そう言えば、昔の日本はそうだったよね」って思った。
北野武氏の言葉。 コピペです。
ヨーロッパでは「映画界の巨匠」として知らぬ者はない北野武・監督。
新作『アウトレイジ ビヨンド』も好評だ。
もちろん日本では芸人・ビートたけしとしてずっと以前から国民的人気者だ。
そのたけし氏が生活保護の不正受給問題などが噴出する現代日本社会への
思いを語る。
* * *
デモで日本車をぶっ壊したり、デパートに押し入って商品を盗んだりしている
中国人たちを「レベルが低い」「下品でしょうがねえ」と見下している日本人は
多いよね。
だけど本当に笑っていられるか、オイラはわからないと思う。
昔はあった「品格」みたいなもんが、この国でもどんどんなくなってるからね。
街を歩いてみれば、みんな「みっともないこと」を平気な顔でやらかしてるよな。
たとえば、最新ケータイを手に入れるために徹夜したり、有名なラーメン屋に
1時間以上も行列したり......。
今じゃ当たり前の光景だけど、昔の日本の常識じゃ、これは「みっともないこと」
だった。
安いものに飛びつくのだって、昔はどんなに貧乏でも、周りから
「あの家、安い店に乗り換えやがった」
なんていわれるのが嫌で、少々高くても近所のなじみの店で買ったわけだよ。
それがこの頃じゃ、老若男女問わず10円でも安い店に群がる。
オイラの母ちゃんは、食い物屋に並んだりするのが大嫌いでね。
「いくら安くたって、いくら旨くたって、並ばなきゃ食えないなら食うな」って
言われたよ。
「もってけ泥棒、みたいなものを買って得したっていう根性が気にくわない」
って叱られたこともある。
貧乏だったけど、「自分たちはカネのために生きてるわけじゃない」って
誇りみたいなもんが確かにあったんだ。
もちろんあの頃だって、本音では安い方がありがたかったに決まってる。
だけど、やせ我慢してでも「精神までは落ちぶれない」って踏みとどまろうと
していたんだね。
ところがいまや、みんな貧しさや格差に開き直っちまってるよな。
生活保護の不正受給なんて最たるもんだよ。
どうやったって生きていけないって人のためには重要な制度だと思うけど、
「できれば受けたくない」「人様の世話になりたくない」って気持ちが失われて
しまえば、あとは「もらえるものはもらっとけ」って話になっちまう。
※SAPIO2012年11月号より
最近の日本人って自分が思うに、昔の日本人が絶対的に持っていた
「 慎(つつし)み深さ 」がなくなっていると思う。
相手に対する思いやりやさりげない優しさって言うのがなくて、
例えば満員電車の中で、人に迷惑をかけようがマナー違反だろうが、
携帯で喋りまくったり、人の背中や肩にケータイを押しつけてゲームだか
メールをやってるのまでいる。
たけし氏も言うように、自分さえよければ周りの目など、周りの迷惑など
まったくお構いなし。
正しければいい、だけではない、と思う。
相手を敬い、思いやる 心 がなくては、いくら正しくても
まともに進みはしない。
だけど、もう日本も社会も会社も、この路線で動いている。
慎みの心を持たないけれど、「正しい」ことばかりが優先されて
心はどんどん置き去りにされていく。
日本人らしさを失った日本人は、どこへ行くんだろ?