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■ ドラマ 永久の彼方へ

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2009年08月06日
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カテゴリ:第三章 301 ~ 363 話
.
陳南家 殺流伝承者 Ryuichi
  「そ、そうか・・・・。
   じゃおれの力不足ってやつではないのか・・・・。」

 右肩を左手で押さえ、右手をぶら~んとさせ、起き上がりながら語る Ryuichi。

こういち
  「あぁ、親に流れていた血の違いさ。
              生まれた後の、おいら達の[差]じゃない。」

 その言葉を聞いて、全身の力が抜ける Ryuichi。
 そのまま右肩を押さえながら後方に倒れて、大の字になって寝転んだ。

陳南家 殺流伝承者 Ryuichi
  「ははは。。。
   ありがとよ、なんだかすっきりしたぜ・・・。
               親の血か。。。  あははははははは。」

 こういちは Ryuichi の姿を見てから、そのまま振り向いた。
 すると、目の前から赤くデッかい夕日をバックに、こちらに向かって走ってくる利江の
 姿があった。

 大粒の涙が、キラキラときらめかせながらバックの赤い色に吸い込まれるように。。。
 そしてこれ以上はないって程に大きく手を振りながら。

[神霊巫女]利江
  「こーいちくーーん~♪」

     「 こーいちくーーん~♪ 」

        「 こーいちくーーん~♪ 」

 こういちは照れることなく、笑顔で両手を横一杯に広げた。
 そして飛びつく利江を真正面からガッチリと受け止め、利江の身体をしっかりと抱きしめた
 のだった。

 大粒の涙が止まらない利江。
 一時も、そしてそのまた一時もといつまでも離すことなくきつくこういちを抱きしめる利江。
 顔をこういちの左肩に乗せ、安らかな笑顔で泣いている。

 そう、あの真っ赤に燃えるような大きな夕日をバックに、すっぽりと包まれている二人。
 そのシルエットがずっと一つになっていた。
 利江の心のわだかまりを残す事無く、そして利江の思いをそのまま反映しているように。


 そしてようやく、利江から口を開いた。

[神霊巫女]利江
  「倒したのね。。。 おめでとう。。。」
こういち
  「あぁ。。。 このお守りダイヤのお陰さ。」
[神霊巫女]利江
  「ん~ん。 (首を横に振り、否定する。) あなたの使命を全うしようとする心が、
   そして、何があっても屈しない強い気持ちがこの結果に繋がったのよ。
   ペンダントはその補助程度。 でもちょっぴりだけ恩返しが出来たみたい。」

こういち
  「恩返し・・・?」

 こういちは利江の両腕を両手で支えたまま、利江を自分の前にして聞き返した。

[神霊巫女]利江
  「そうよ。 塾の帰り道での出来事よ。
          (ちょっと戸惑いながら)初めて・・・会った時の。」

こういち
  「初めて・・・?  違うよ、初めてじゃないよ、あの時利江ちゃんとは。」

 はっ!? とする利江。

ゆうすけ
  「まさかお前・・・」

 いつのまにか二人の元に歩み寄っていたゆうすけ達。

こういち
  「まさかって・・・ゆうすけは知ってるの?」
ゆうすけ
  「あ、いやそのぉ・・・・」  (急にもじもじ始めるゆうすけ。)

 この時利江の目線が、衣服の剥がれ落ちて肌があらわになったこういちの左肩を見つめ
 ていた。

[神霊巫女]利江
  「こういちくん・・・その傷跡って・・・」

 こういちの左肩には、ヒトデが被さっているような傷跡が残っていたのだった。

こういち
  「車と・・・。
   [超鋼筋]を使わずにケンカして出来ちゃったやつ。綺麗に治らなかったんだよ。」

 これで確信した利江。 再びこういちに抱きついた。 そして、

[神霊巫女]利江
  「ありがとう・・・。 痛かったでしょ・・・・  (再び涙をこぼしだす利江)」

 こういちの肩口で顔を見ないまま、つぶやく利江・・・

 そして・・・


[神霊巫女]利江
  「ねぇ・・・
             私、こういち君のお嫁さんになってもいい・・・?」


 そう、あの日二人で交わした答えがこの先にある。  利江は最後のキーとなる、その
 日から今日まで、ずっと、ずっと忘れること無く心に刻まれているあの日の、決め手と
 なるキーをささやいたのだった。

 ゆうすけがたたずを飲んで見守る。
 ちょっぴり不安げな利江。 涙が止まるほどの緊張が漂う。


      どきどきハートドックン、どきどきハートドックン・・・


 心臓の鼓動が鳴り響く・・・。
 利江にはこの間合いが1時間にも思える程とても長く感じた。

 そしてこういちが口を開いた。


こういち
  「なんだよ、約束したじゃん。
      『いいよ。二人が大きくなったらね♪』って あの日 に。。。」

ゆうすけ
  「こういちっ♪」

 その言葉を聞いて、もうこの上無い涙を再びあふれさせた利江。
                    もう顔はぐしょぐしょだ泣き笑い
 その涙が太陽の光を受け、とてもまぶしくきらきらキラキラきらきらと輝いていた。
 爽やかな風に、やさしくなびく利江の髪。

 ( 出会えた。。。
   私の念願の王子様(ひと)に。。。)

 利江の心は安堵感だけではなく、自分の幼い時からの夢、希望、願い、その想いと、
 そして今までのこういちと過ごしてきたワンシーン、ワンシーンが走馬灯のように
 次々と思い描かれていく。。。

 それでも力を振り絞り、でも泣きじゃくりながら、

[神霊巫女]利江
  「うん・・・(ぐしゅ)、
      や、約束(ぐしゅ)したわよね。。。(ぐしゅ)ちびちゃん。。。」

こういち
  「あぁ。 おいらが、一生守るべき女性(ひと)だもの。」

 次々と心に心地よく降り注ぐ言葉に、両手でこういちの衣服をギュっと握り締める利江。。。
 もう言葉にならなかった。


ゆうすけ
  「やっぱこういちかよ~~~。 お前、覚えていたのか・・・?」
こういち
  「初めて好きになった女の子との約束だからね。 忘れるもんか。」

和恵姉さん
  「おーおー、ついに告白したな♪ ちび少年。
   そっか、[超鋼筋]使わなきゃそんなケガくらいするか。 ど~もそれがふに落ち
   なかったのよね。」
こういち
  「なんで姉ちゃんまで・・・・
   あの時は、瞬時に車中の女の子への衝撃を和らげなきゃって思って。。。」

和恵姉さん
  「思い出したわ。 利江ちゃん、ゆうすけ君。
   そういえばこういちが、肩と拳を痛めて帰宅した日があったわ。
   たまたま私の家に来ていたときにね。」

こういち
  「だからなんで姉ちゃんとゆうす(けが)・・・」
和恵姉さん
  「あぁぁぁっ! 利江ちゃん泣かせてるぅぅぅぅぅっ!
   こういちが悪いっ!」
ゆうすけ
  「こういちが悪い!」
[近衛軍長 補佐]チーラン
  「こういち 悪いっ!」
リツコ
  「こういち君が悪い!」
[神霊巫女]マーシャ(南 志津)
  「こういちが悪いっ!」
タロ
  「COooooooo。。。」

こういち
  「いやだからおばさんまで・・・」

 利江と和恵、そしてゆうすけがマーシャを見た。
 急に後ろ向きに振り向いたマーシャ、そして、

[神霊巫女]マーシャ(南 志津)
  「さぁ、私は[大竹林寺]に戻らねばなりません。
               みなさん、お達者で・・・・。」

 涙目が見えないように振り向いたのか、[大竹林寺]本堂に戻るために振り向いたのかは
 誰にも分らない。

 そして一歩、また一歩と歩を進めるマーシャ。 そのとき、



                                 つづく




第363話 永久の彼方に -6 へ





  ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。

    また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。





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最終更新日  2020年09月07日 13時26分25秒
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