カテゴリ:第四章 4-364 ~ 420 話
爆発物処理班長 「空輸だから、どうにもならんだろう。 それに航空自衛隊が護衛してくれる手はずに なっているから。」 こういち 「分りました。」 椿 勇姿 「では我々はせめて今晩はこちらに泊ることにしよう。」 こういち 「はい。」 ~~~ ~~~ ~~~ 大きな夕日が、学校の校舎と肩を並べて辺りを赤く染めている。 多くの生徒が下校する中に、ゆうすけとタロを従えた利江の姿があった。 利江 「こういち君、今頃どうしてるのかな・・・」 ゆうすけ 「午後の授業中に椿さんからメールが入ったよ。 無事に謎の飛来物を自衛隊が監視の下、ヘリで搬送は無理らしく、明日朝一で陸路で 搬送だって。」 利江 「いまどき謎の・・・なんて・・・なんか不気味ね・・・。」 ゆうすけ 「航空自衛隊もスクランブル発進で追尾しようとしたらしいが、 F15-J イーグル で も追いつけない程の速度だったらしい。 レーダーの捕捉で追尾がやっと。 おかしいのは、そんな速度の飛行物体が、なぜステルス機能を持たずに堂々と移動し ていたのかってこと。 速いってことは、最新鋭だよ。 でも行動が相手に筒抜けなんて・・・。 つまりロジリアン帝国や中華皇国のものではない訳で。 それも手元の資料にも無い タイプときてるんだから始末が悪いさ。」 利江 「じゃ、どこの国の???」 ゆうすけ 「それが分らないから謎なのさ。 こういちは、本当はその機体の調査のために出動依頼を受けた訳じゃないからね。」 利江 「椿さんと一緒だったわよね。」 ゆうすけ 「うん。 実はその地域に不穏な動きがあったのさ。 その飛来物と関係しているかは分らないけど・・・。 今晩からはしばらく向こうで 寝泊りすることになるね。地元の人との密着生活が始まる。」 利江 「何か格闘・・・と関係しているの・・・? 同行が椿さんだから。 ゆうすけ 「鋭いね、おれはそう睨んで椿さんに同行してもらったのさ。」 利江 「また始まるのかな・・・。 戦いなんて・・・無い世界になればいいのに。」 ゆうすけ 「おれもそう願いたいさ。 でも、欲望を持つ人間が次から次へと現れる。 そして時 代は繰り返される・・・。 愚かなことだが。 よくある犯罪なら警察に任せておけばいい。 でも、最近では武器を使用する犯罪も 増え、そして国家転覆を目論むヤカラも現れかねないから、こういち達の力が必要に なってきている。 そして・・・」 その時、 タロ 「Garuuuu・・・・」 利江 「どうしたの? タロちゃん・・・。」 険しい目付きで右横を睨むタロに、振り向いて近寄る利江。 その目線の先を追ったゆうすけが、 ゆうすけ 「見て! 利江ちゃん!」 大きく指差すゆうすけ。 利江もその指の先に目線を向ける。 すると・・・ 『た、助けてくれ~~~!』 100m 程先、二階の窓から身体を乗り出し、ススだらけの顔で大声で助けを呼ぶ中年男性 の姿が。 その周りからは、真っ黒な煙がモクモクと立ちこめていた。 ゆうすけ 「火事だっ!」 近くの住人も気が付き始め、表に出てその様子を伺い始める人が現れ始めていた。 利江 「行こう、ゆうすけ君っ!」 ゆうすけ 「おっけ!」 利江 「タロちゃん、行くわよ!」 タロ 「Gaooooh!」 ~ 『お~い、119番に連絡してくれ~!』 『だれか、水だ、水! バケツでぶっ掛けろっ!』 『バケツじゃとても無理だ、消火栓からホース出してくれっ!』 近隣の住民も大騒ぎして、何か自分達で出来ることを探している。 そこへゆうすけ、利江、タロの2人と一匹が到着する。 と、その瞬間っ! ぶおっ ぶおっ くすぶっていた建屋の中から、突如大きな火の手が上がったっ! 窓ガラスから煙と一緒に勢いよく炎が燃え上がる。 パチパチ ゆうすけ 「くそ、消防車はまだか、早くしないとあの人が助からないっ!」 『助けてくれ~~!』 (背中に迫る炎に紛れて、大きく手を振り大声で叫ぶ。) その時、利江がタロに向き直った! 利江 「大丈夫、任せて♪ 行くわよ、タロちゃんっ!」 そしてタロの名前を叫んで、素早く燃え盛る家を指差したのであったっ! 利江 「タロちゃん、あそこっ!」 利江が指差す先、タロがキツくその家を睨んで吼えるように大きく口を開けたっ! その瞬間っ! なんと、今まで炎にまみれていた家が、一瞬にして凍りついてしまったのだった。 そして驚くことに、大声で手を振り助けを求めていた人は氷付かず、そのまま手を振り続 けていた。 ゆうすけ 「うまいぞっ、タロっ!」 利江 「タロちゃん、上出来~☆」 (と、タロに抱きついたのであった。) タロは照れくさそうに、 タロ 「 Cuuuu♪ v(^Ж^) 」 突然の出来事に大騒ぎしていた近隣の住人もあっけに取られ、大きな炎に包まれていた家 が、突如として氷付く姿を見て、口を大きく開けたまま手足と共に止まっていた。 ゆうすけ 「後は到着する消防隊の方にまかせよう。」 利江 「そうね。 タロちゃん、お利口ちゃんね~♪」 (タロの顔をゴシゴシと撫でる利江。) タロ 「 Cuuuu♪ (*^Ж^* 」 (まんざらでもない様子のタロ。) ゆうすけ 「凍らせちまったから地元の消防に連絡だけは入れとくか。」 二人と一匹は、凍りつく家と近隣住民を横目に、その場から立ち去ったのであった。 -つづく- (うん、やる~~~♪) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月07日 13時40分28秒
コメント(0) | コメントを書く
[第四章 4-364 ~ 420 話] カテゴリの最新記事
|
|