カテゴリ:第四章 4-364 ~ 420 話
『ぬわ~~~!』 『ぎゃ~~~!』 ↓スタン彡 和恵姉さん 「次っ!」 彡ピョーーン↑ ゆうすけ [そうだ、利江ちゃんっ!] 利江 [分ってるわっ! まっかせてぇぇ~!] 「タロちゃんっ! いっけーーーーっ!!」 利江が指差す先、タロが湧き出る黒い煙をキツく睨みつけ吼えるように大きく口を開けたっ! 次の瞬間っ! 煙がモクモクと湧いていた中腹辺りが、広く上下に一瞬で氷ついたビル。 煙がピタッと止んでしまう。 そして崩れだしていた柱も、凍りついたお陰でしっかりと頑丈に上からの荷重を支えていた。 ゆうすけ 「お見事~♪」 自衛隊小隊長 「す、凄い・・・・」 しばらくすると、隣のビルから自衛隊員と共に無事救助される人質達の姿が見えた。 ゆうすけ 「す、すいませんでした、小隊長・・・。 結局ビルを爆破させてしまって・・・。」 自衛隊小隊長 「仕方がないさ。 人質が無事だった上、犯人も捕まえることができた。 それに、彼らの本当の目的である宝石強盗も見抜いて阻止できたのだからな。」 ゆうすけ 「 ・・・・ 」 (違う、何か、何かが引っかかる・・・) ~ ~ ~ 翌朝の福の島駅、 スウラン 「着いた~♪」 チーラン 「電車の旅 悪くないが・・・」 (駅前でキョロキョロとしている。) ブッブー 車の往来がそれなりに激しい駅周辺。新幹線の停まる駅だけあり通勤ラッシュとも重なり、人 通りも多めだ。 チーラン 「少し田舎になるぞってゆうすけが・・・。 くそ、荷物持ち過ぎた・・・。」 大きなリュックの両脇に、ヤカン、鍋、お玉などをぶら下げていたチーラン、ちょっとばつが 悪い感じで恥ずかしそうにしている。 リュックの上に拳法着だけを結わって運ぶスウラン、荷物の量が少なめで対照的な二人。 スウラン 「こんなところでも、大少林拳 やっているあるか。。。」 チーラン 「なぁ、早くタクシー 乗る!」 スウラン 「タクシー 高~い! バス 乗るよ、バス。」 チーラン 「そうだけど・・・ ちょっと恥ずかしい・・・ なぁ バスやめてタクシー。 な。」 スウラン 「ダメダメ、節約するある。」 チーラン 「頼むよ・・・」 スウラン 「もぉ~。。。 でもお金そんなに持ってない。」 しっかり者のスウランとは対照的に、口を尖らせて膨れっ面のチーラン、少し考え始めた。 しばらくして手の平で拳を叩いて、 ポン♪ チーラン 「いい考えある~♪」 スウラン 「何々~?」 チーラン 「軽くアルバイトするよ。」 スウラン 「アルバイト・・・?」 チーラン 「そっ♪ アルバイト~♪」 ~ ~ ~ チーラン 「さぁさぁ~、みんな見るよろし。 本場中華皇国の武術見せるあるよ~♪」 スウラン 「どなた様も、見るよろし~☆」 チーラン 「お目に止まったら見物料を少し置いていくあるよ~♪」 スウランが、チーランのリュックから鍋を取り外し、二人と通行人の間に置く。 『交通費ピンチ! 少しだけでいいある』と記載した紙も添えて。 スウラン 「ここに入れる、よろし あるよ♪」 駅に足早に進めていた人々の何人かが足を止めて、二人の行動に注目し始めた。 二人は和恵のお下がりであるチャイナ服に着替えてあり、2mほど距離を置いて並び、通行人に 向かってスッと立った。 チーランは、明るいブルー地に、白の刺繍のチャイナ。スウランはシ ョッキングピンクの地に黄色いと白の刺繍を施したチャイナを着ている。 脚の横には、裾から腰の脇まで見事に割れたスリット。 立ち姿でもチラリ、チラリとその綺麗 な御み脚が覗いている。 チーラン 「いくあるよっ! これが本場中華皇国、大少林寺の少林拳あるっ!」 蹲踞の姿勢を取り、そして二人同時に掛け声と共に始まった! 『ハ~、ハッ、ハッ、ハッハッ!』 『ハッ、ハッ、ハッハッ!』 『ハッ、ハッ、ハッハッ!』 力強く足を地面のコンクリートに踏み込み、スパっ スパっ と素早く拳を左右打ち込む。 そして向きを変え、逆の足を踏み込み拳を左右打ち込む。 女の子の掛け声と、綺麗な色合いのチャイナ、深く割れたスリットから見えるバランスの取れた 美形の脚に、通行人の足が次々に止まり始め、二人の動きに見入っていた。 程なくして二人は動きを止めて蹲踞の型に戻り、すっと自然体の姿勢になる。 通行人からまばらではあるが、拍手が点々と沸き起こった。 そして二人は、一度お互いを見つめるように立った後、クルっと回って背中合わせに。 続いて一歩、二歩、三歩・・・とそのまま二人同時に歩き始めた。 七、八歩くらいで同時に停まり、再び二人が元居た地点に振り返り、お互いに向き合った。 チーラン 「これからお互いに拳を交えるある。 試武とはいえ真剣に戦う。 本来、これ見世物違う。 でも、交通費無い。気持ちでいい 見物料置いていくよろし。 ・・・では始める・・・。」 二人同時に蹲踞の姿勢を取り、目を瞑り精神統一。 7,8秒の時間が過ぎる。 そして目を開けた時には、二人は真剣で鋭い目付きに変わっていた! さすがは各修行房を卒業した上級の上、最上級の使い手となっていたチーランとスウラン、試武 とはいえ、手抜きをしない意気込みが伝わる。 周りを囲む人の壁が、どんどんと厚くなり、二人が動き出す次の瞬間には、駅前ロータリー全体 にまで広がりを見せていた。 そしてっ! 『ハァァァっ!』 『ハイィィィ!』 互いに相手に向かって素早く突進っ! 『ハィッ!』 彡ビュー ガシ★ パシっ パシっ パシっ ビュー パシっ 彡ビュッ 『ハッ!』 『ハァァィ!』 ガシっ★ 彡さっ 最初にチーランが左足を空中で反動を付けて右足で下から蹴り上げる。 受けるスウラン、 それを右に交わして手套を打ち込むも、チーランの左腕にガードされた。 そのまま手套の打ち合い、それに合わせたガードが交互に続き、トトンっとリズム良く後ろに 下がった チ-ランが、後ろ足を前に伸ばし、突然強烈な手套を打ち込んだっ! それを横から叩くスウラン。 『おぉぉ!』 観衆から驚きの声が沸きあがり、数箇所から始まった拍手が、あたり一面に広がった。 彼女達が合間見えていたスペースの横の公衆トイレ付近から、清掃員の格好をした作業着姿の 男が、手にした二つの長い柄のモップを見つめてから二人を見た。 そして間合いを計りそのまま二人に投げ入れたのだった。 『ほれっ♪』 ヒョイ~ パシっ バサ、バサ、クルっ パシっ チーランは目線を変えずにその場でモップを手にし、スウランはステップして少し下がって足で 反動を付けて空中で回転しながらキャッチした。 そして二人同時にその手にしたモップをクルクルと体の回りで回し始め、棒術を披露し始めた。 ビュン ビュン ビュビュン ビュン ビュン ヒュン ヒュン ヒュヒュン ヒュン ヒュン 『おっ、やるなぁ。。。』 『すげーーぞーー、ねぇちゃん♪』 突然のサプライズに、湧き上がる観客。 再び拍手喝采が湧き上がる。 そして、 -つづく- (もっと上まで~~♪) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年10月06日 13時41分33秒
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