ピタン・・ ピタン・・ ピタン・・
鉄道下の薄暗い地下通路、天井から壁からと染 み出た水が足元を湿らせている。 カン コン チャリン カンコン その通路の奥から男たち5人がゆっくりとした 足取りでこちらに近づいてきた。 男-A 「お前か、俺の弟分を可愛がってくれたっての は。」 ( 通路の真ん中で右手で鉄パイプを持ち、右 肩をポンポンと叩きながら ) 男-B 「なんだお前、この国のもんじゃねーな。」 ( 一歩後ろ左側を両手で金属バットを持ち首 後ろに乗せながら ) 男-C 「それに丸腰たぁいい心がけだ。詫びに来る礼儀 だよなぁ」 ( 一歩後ろ右側を丈夫そうな鎖を左手に巻き 付け一端を右手で回しながら ) 通路の反対側の階段下にポツンと独りで壁に寄 り掛かったまま腕組みをしている少年。声を聴 き瞑っていた目を開き男達に顔を向けた。 ●少年A 「ほぉ 随分と連れてきたんだな、中々の歓迎ぶり だ 嬉しいねぇ。」 逆光で顔が良く見えず、高校生位だろうか。普 通の大人よりは少し大柄で多人数を前にしても 動じず堂々とした態度だ。 男-B 「こんなやつにやられるたぁよ、佑二もだらしね ぇなぁ。」 男-C 「詫び入れんなら今のうちだ。とっとと跪(ひざ まず)きやがれ!」 両者の距離が4m程に接近した所で足を止める 5人。 ●少年A 「おまえら、なんか勘違いしてねぇか?」 男-C 「はぁ~?」 男-A 「ん・・・?」 男たちに睨みを利かせながら、 ●少年A 「俺がいつ謝ると言った。愛でてぇやつらだな。 聞いた話じゃよ、あんたらの舎弟が年下の中坊 たった独りに3人で寄って集ってカツアゲして たって話だぜ。ガキにゼニをせがむたぁなんと も哀れすぎてな、その時にたまたま通りすがっ た弟が見て見ぬふりを出来なかったらしいんだ 。」 ( その時 男たちの後ろ、向かってきた通路の 奥から、 ) 『柄ぢゃねぇのに止めちまったんだよな。』 その声に慌てて後ろを振り向いた5人の男達。 ●少年B 「弱い者イジメってのが嫌いでね。兄貴も俺も よ。にしてもなんて弱さだアイツらは。」 男-C 「お、おぃ・・・ もう一人おんなじやつが現れや がった・・・。」 男-A 「なんだお前。」 ●少年B 「仕返ししたきゃってこの場所伝えたが、のびて たんじゃねぇのかよ。しっかりと聞いていやが ったとはな。」 男-c 「わ、詫びに来たんじゃねぇのかよ・・・。」 ●少年A 「だから、誰が詫び入れるって言ったんだよ。」 男-B 「なんだとぉっ!」 男-A 「生意気だ、叩き伏せろっ!」 男-B 「くそぉぉぉ このヤロー!」 ●少年A 「ひでぇ勘違いだぜ。待て待て、やるのは俺じゃね ぇよ。」 制止したが少年Aに向かって走り込み、両手で金 属バットを振りかざして渾身の一振り! ボコーン★ ●少年A 「だからやるのは俺じゃねぇって言ってるだろ。」 カラン カラカラ・・ そこには折れ曲がった金属バットを落とし、シビ レで指が震えてる上に驚きで膠着(こうちゃく)し たまま動けなくなった男-Bが居た。 拳を当てた伸ばしたままの腕を引き寄せながら、 ●少年A 「おぉ~痛て・・・。 よっおまえら、ゴングは鳴らしといたぜ。」 男-A 「なんてやろうだ・・・ バットをへし折りやがった ・・・。 おぃあっちだ、佑二をやった本人のあい つをやっちまえっ!」 後ろに居た2人が再び振り向き、後から来た少年 Bに向かって仕掛けた! 『このやろー!』 『よくも佑二さんを!』 ボコっ ドスっ ドサ彡 ドサ彡 ●少年B 「おまえら、こんなんじゃ仕返しになんねぇだろ ・・・。舐めてんのか?」 ●少年A 「ふっ。。」 チャリン 男-C 「くっ・・・」 振り向き後ろの二人に続いて走り出そうとしてい た足が止まった。 チャリンチャリン ●少年B 「おまえ、散歩途中で愛犬にでも逃げられたんか~ ? 鎖で繋がれるのがよほどイヤだったんだろう な、こんな飼い主じゃよ。」 男-C 「て、てめぇ 言わせておけば・・・ このおんのぉ ぉっ!」 右に持つ鎖を勢いよく振り回し、少年Bに向かっ て掴む鎖を開放した! ヒュン ヒュン ヒュン ピシュっ 少年Bは素早く身を交わし 右手の肘をやゃ曲げ て上に持ち上げて飛んできた鎖を腕に絡ませたっ !その腕を後ろに勢いよく引き、体が飛ぶように 引き寄せられた男-Cの顔面にそのままげんこつを お見舞いした! ズガン★ 『ぐわっ』 ドサン彡 体が宙に浮き床面に叩きつけられた! ●少年B 「こんな狭いところでこいつを振り回すってなぁ褒 められたもんじゃねぇ。まっ俺には関係ねぇけど よ。」 男-A 「なっ・・・」 ●少年B 「おまえさん硬そうな棒持ってんじゃねぇか、何し てる早く来いよ。」 男-A 「くっ・・・」 ●少年B 「おぉおぉどぅした? 俺は丸腰なんだぜ?」 ●少年A 「ダメだ、こいつらビビっちまってる。 もぅ終わりだ。」 そういうと目の前にいた男-Bの胸ぐらを掴んで男 -Aに向かって投げつけた! 『うわぁ』 ドスン彡 ドタドタ・・・ 避けられずにそのまま二人が倒れこんだ。 カラン ゴロゴロ・・ ●少年B 「止めるなよ兄貴、まだ喰い足んねぇよ・・・。」 ●少年A 「こいつらじゃ腹いっぱいにはならねぇ。」 男-Aの脇を通り過ぎ少年Bに歩を進めていた時、 片手を床に付き、転がった鉄パイプをもぅ一方 の手で掴みながら、 男-A 「待ちやがれ! このまま帰れると思うなよ・・・」 ●少年B 「バカかこいつ・・・。折角兄貴が終わらせてくれた のにまだイキがっていやがる。」 男-A 「うるさい、弟分のケジメはまだ付いちゃいねぇ ・・・。」 ●少年B 「長生きしねぇぞ お前・・・。」 男-A 「黙れ!」 立ち上がって鉄パイプを振りかざし、なんと少年 Aに飛び掛かったっ! \ガス★ ●少年A 「痛てぇじゃねぇかよ。俺が何したってんだ・・・。」 男は後ろ向きのままでいた少年Aの右肩に振り下 ろしていた。モロに当たるも淡々と語る少年A。 そして、 男-A 「くぅ・・・」 顔を後ろに向け、 ●少年A 「もめごとは弟より俺の方が好物なんだぜ。おまえ 、俺たち二人を相手にしてぇのか?」 男-A 「う、うるさい!」 と男-Aが怒鳴った瞬間! ●少年A 「うるせーのはてめーだっ!」 少年Aは男-Aの顔を鷲掴みにし、勢いよく顔面を 壁目掛けて叩きつける! 目ん玉をおっびろげて絶叫の男-A! 『ぎゃゃゃゃ!』 そして男-Bが折れ曲がった金属バットを投げつけ てきたっ! ダン! ブチブチブチ ゴツン ズルズル・・・ バサ が 壁に左足を当てて髪の毛を引いて腕を止めた 少年A! しかし髪の毛が引きちぎれてブレーキになり弱 まったものの、顔は壁にゴツンと当たって気絶。 そのまま顔は壁伝いにスベッて床に転げたのだ った。 一方の投げられた金属バットは少年Bが間に割っ て入り手套で叩き落していた。 バシっ ガラン~ ゴコン そして、 ●少年B 「兄貴が終わりだと言っただろうがっ!」 言い終わる時には男-Bを蹴り飛ばしていた! バシっ ゴスン★ バサン彡 壁にブチ当たり 床に転げた男-B。既に意識は無 かった。 手にするブチ抜けた髪の毛を払いのけ、 ●少年A 「行くぞゾルダ。」 ゾルダ/少年B(改め) 「あいよ。」 (あ、あいつらは・・・) ーへ スマホ画面用にチャレンジ中 PCの方、ごめんなさい m(_ _)m 登場する内容は実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 ● 第一章 1 話 へ ● 第二章 TOP へ ● 第三章 TOP へ ● 第四章 TOP へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年01月29日 01時12分09秒
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