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■ ドラマ 永久の彼方へ

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2021年02月17日
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 地下通路の階段を上がりながら、

ゾルダ
「なぁ兄貴。」

●少年A
「なんだ。」

ゾルダ
「俺が最初の二人をとっちめた後に笑ってたろ。」
●少年A
「ふっ、あぁ にやけちまったな。
 いつもイケイケのゾルダが、速攻で全員を片付け
 なかったからよ。」

ゾルダ
「ちぇ、
 俺だって少しは大人になってんだぜぇ。それに今
 日のやつらじゃ気合い丸で入んねぇし・・・。」
●少年A
「だな。」

 階段を上がる二人。その時外では、

男-F
「俺たちが行くまでも無く、もぅのびてんじゃない
 っすか?」
男-G
「あの佑二さんが顎割られてるんだ、念のための加
 勢は必要だろう。」

男-H
「あっ・・・」

男-G
「どうした?」
男-H
「あいつです! 佑二さん達を遣ったのは!」
男-F
「なにっ!」

 階段を上がり終えた兄弟二人と6人の男達の目が
 合った。

男-G
「同じ顔が二人・・・ どっちだ!」
男-H
「わ、わかりません・・・。」

ゾルダ
「なんだぁ?」

男-F
「うっ・・・ ち、ちょっと待て・・・。
 あ、あいつらは・・・」
男-G
「お前知ってんのか?」
男-F
「し、知るも何も・・・あいつらは・・・ あいつらは今
 ここいら界隈(かいわい)をにぎわしている 泣く
 子も黙らす鬼の『撃爆兄弟』っす!」

 『な、なんだって!! 』

●少年A
「俺たちに何か用か?」

男-H
「い、いぇ何でもありません・・・。」
男-G
「た、只の通りすがりで・・・。」
男-F
「す、すいませんでした・・・。」

●少年A
「そっか。」

 二人はそのまま通り過ぎていった。


男-G
「まさか・・・ 佑二さんをやったのって・・・」
男-F
「おぃ、急ぐぞ。」
男-H、-I、-J、-K
 『は、はい。』

 しばらくして地下道から、
 『うわぁぁぁぁぁぁ』


 歩道を歩く二人、

●少年A
「ゾルダ、あそこに見える空手道場は入ったことあ
 ったか?」
ゾルダ
「あそこは・・・覚えがねぇ・・・かな。」
●少年A
「じゃあそこで腹ごしらえしていくか。」
ゾルダ
「あいよ。」

 二人は信号を渡り、道場の看板のあるビルに入っ
 ていった。

 道場では、

「右!」『オスっ』
「左!」『オスっ』
「振り向いて前蹴り!」『オスっ』

指導者
「よーしヤメ! 少し休憩にするぞ。」
 『オスっ』

 そこへカウンター越しに、

ゾルダ
「すんませーん。」

 振り向きながら、

指導者
「ん?」
ゾルダ
「お忙しいところ悪いんすけどお願いがあって。」
指導者
「なんの用だ。」

ゾルダ
「ちょいと し合ってほしいんすがね。」

指導者
「なんだ? 唐突に・・・。」

 ゾルダの後ろから、

●少年A
「見学でも稽古付けでもない。無論喧嘩でも無い。
 試合してほしいんだ。」

指導者
「急だな。だが試合をしたいのなら、ちゃんと手順
 で踏んでからにして欲しい。
ゾルダ
「どこでも言われるなぁ・・・。」
●少年A
「悪いなおれら宿無し文無しなんですよ、勝ったら
 シャワーとたらふく飯食わせて欲しい。だが負け
 たら一日便所掃除でも床掃除でもなんでもする。
 訳はそれだけだ。」

指導者
「文無し・・・か。その歳で、親や親せきとかと同居
 もしておらんとは。
      ( 少し考えて・・・ )
 いいだろう、負けたら一日掃除係ってのも気に入
 った。その時はバイト代を払ってやろう。」
●少年A
「頼む。」
ゾルダ
「ただしおれらが勝ったらタダ飯だぜ。」

指導者
「勝てれば・・・の話だがな。

 勝村、庄司、相手してやれ。私と奥田、飯乃木は
 審判だ。」
 『オス!』

●少年A
「決まりだ。ゾルダ、着替えるぞ。」
ゾルダ
「あいよ。」

 肩に背負っていた胴衣を下ろし、二人は道場の隅
 っこで着替えを始めた。

指導者
「その年期が入った胴衣・・・、少しは経験あるんだ
 な。」

●少年A
「褒められる程はやっちゃいない。一階の見習いよ
 りはマシだがよ。 あんた名前は?」
指導者
「穂村だ。」
●少年A
「黒帯、段位は?」
穂村指導者/指導者(改め)
「五段だ。」
●少年A
「大したものだ。穂村五段、頼みがある。」
穂村指導者
「なんだ、まだあるのか。」

●少年A
「試合だがよ、ここの全員とやりたい。」

穂村指導者
「なんだと!」
●少年A
「まぁおれらより体重が同等以下の軽いやつは除い
 ていい。」
穂村指導者
「それは断る。キミ達の実力も知らない上、20人相
 手になど無茶もいいところだ。」

 着替え終わったゾルダが、

ゾルダ
「おれたちゃ二人、半分で済む。
 あと寸止め無し。ただしこっちはグローブをはめ
 る、でそっちは防具付けてでいいぜ。」
●少年A
「こっちが一敗でもすりゃ一日なんでも係りだ、穂
 村五段も出てくれ。それでいいだろ。」

穂村指導者
「一敗でも?
 その人数で・・・ この私も含めて・・・。防具や保護
 グローブもこちらには・・・。それなのに寸止めは
 開放と・・・。係りが決まりだぞ。」
●少年A
「それが約束だ。」

穂村指導者
「 ・・・ 分かった。
 キミ達がそれでいいのであれば。」
●少年A
「助かる。 準備はできたぜ。」

穂村指導者
「 ・・・ 変な子たちだ。
 よし、これから練習試合を始める!」

 道場の奥にここの練習生がずらりと並び、奥田、
 飯乃木はイスと赤白の旗を手に持ち出し対角線上
 に置いて腰掛けた。穂村指導者は中央に立った。
 一方の二人は、練習生と対面する形で座った。

穂村指導者
「一番手、前に!」
 『オス!』

 練習生の列奥の右端の者が大きな声で答えた。
 二人はというと、ゾルダが立ち上がった。
 二人、試合場の両脇で『オス!』の掛け声で腕を
 腹下で組んで横に引きながら一礼。続いて中央に
 歩み寄り主審にも同様に掛け声と一礼をした。

穂村指導者
 ( この者、礼儀作法はわきまえておるようだ
   な。 )

『始めっ!』

 一番手の練習生、体格はほぼゾルダと同じ様に見
 える。体の前に握りこぶしにした両手を前後に構
 え、軽やかな足取りで間合いを計っていた。

穂村指導者
 ( この練習生はまだ始めて1年、同期の中では
   型をしっかりと会得している。この者の力量
   を計るにはもってこいだ。 )

 一方のゾルダ、同様の構えはしているものの足取
 りは相手の居る向きに体を向ける程度で大きな動
 きが無い。
 少年A、足はあぐらを組み腕組姿勢、目をつぶっ
 たままだ。

 『ふん!』
 口火を切った一番手練習生、一歩踏み込み、右の
 ローキックが飛ぶ!
           ​ガツ★​
 そして一歩引いて体制を整えた。

穂村指導者
 ( この者、動けない、
   反応すら出来ていない・・・ 本当に大丈夫なの
   か? )

 続いて腹、胸への正拳突きがモロに当たった!
     ドス★ドス★
 からの右のミドルキックも!
               ガス★

 が、ゾルダは一向に動かない。

穂村指導者
「おぃ、だ大丈夫なのか?」







z003話 噂の兄弟 03
(何なんだこいつ・・・)
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  ※ このドラマはフィクションです。
登場する内容は実在する人物、団体等とは一切関係がありません。

    また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。




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最終更新日  2021年11月05日 16時55分10秒
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