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~ 看守 「またお前か・・・。 まったく・・・、今回は長くなるぞ。」 ザウバー 「わりーな、世話になる。」 看守 「今度はここ、初日は独房だ。」 キィー バタン 翌日、ザウバーはワンボックスで移送され少年院 の中に居た。 ザウバー 「鍵なんか掛けなくても逃げねぇよ。」 看守 「決まりでな。」 カシャカシャ ザウバー 「まぁな。」 たたんであった布団を広げて横になる。 看守 「知っての通り、間もなく昼食だ。 独房ではここでとってもらう。後で運んでやる。 部屋が独房以外は前とスケジュール大きく変わら ん。」 ザウバー 「あぁ分かった。」 カツ コツ カツ コツ ザウバー ( ゾルダには悪いが、ここでは定期的に飯が食 えるんだよな。 ) ~~ ~~ ~~ 一時間半後、ザウバーは工場に居た。 看守-2 「ようし番号順に整列しろ。」 『はい』 ざっざっざ 看守-2 「点呼を取る。 1100番」 『はい』 「1101番」 『はい』 「1126番」 『はい』 「1129番」 『はい』 ・ ・ ・ 「1139番」 『 ・・・・ 』 「1139番!」 『 ・・・・ 』 「1139番 はザウバー、君だ。」 ザウバー 「お、おぉ・・・ はい。」 胸に記された数字を確認しながら。 看守-2 「早く覚えろよ。」 ザウバー 「はい。」 看守-2 「よし、 今日は昨日の続きを・・・( を進めてもらう)」 ザウバー ( ここも変わんねぇなぁ・・・・。 よくも飽きずに・・・ 相変わらずまだ木工やらされてるのかよ・・・。 他もにやらせる事あんじゃねぇの? ) 看守-2 「以上だ。 では 1139番 は 1137番 に続いて行ってくれ。」 『 ・・・・ 』 看守-2 「ザウバー、いいかね?」 ザウバー 「は、はい。」 看守-2 「よし、では配置に着いたら各自始めてくれ。」 『はい』 前の者に続いて作業台の並ぶスペースに到着。 順番に台の前に立つと、各自作業を始め出した。 ザウバー ( はぁ・・・、 まだ本棚かよ・・・売れるのか? それともタダ でくれてやんのかな? 手に職付けて社会復帰ったって俺は家具職人 にはなんねぇぞ・・・。 ) 独り懐かしんだり思うところに浸りながら作業を 進めるザウバーの後ろに、出来上がった成果品を 手に一人の男が立ち止まった。 院生-1 「ごぶさたしてますザウバー殿。 一号棟頭(かしら)やらせて頂いてます 708号 です。」 ザウバー 「おぅ、まだ居るんか。 数字は忘れたが声には聞き覚えがある。」 院生-708号 / 院生-1(改め) 「よろしくです。」 ザウバー 「俺が居る時は騒ぎ起こすなよ。」 院生-708号 「心得ております。」 ザウバー 「おぅ、頼むな。」 一礼して成果品置き場に足を進める院生-708号。 続いて同様に成果品を持った男がまた。 それを看守は見て見ぬ振りをしている。 院生-2 「ごぶさたしてますザウバー様。 三号棟頭(かしら)やらせて頂いてます 814号 です。」 ザウバー 「おぅ、お前もまだ居るんか。 わざわざ悪いな。」 院生-814号 / 院生-2(改め) 「いえ、よろしくお願いします。 尚、二号棟、四号棟の頭は別の作業場ですのでご 挨拶が遅れると申しておりました。」 ザウバー 「分かった。 そいつらにも伝えておけ、俺が居る時は騒ぎ起こ すなよと。」 院生-814号 「承知しました。」 一礼して成果品置き場に足を進める院生-814号。 若い看守 「なぜあの者の所では、私語を黙認しているんです か?」 看守-3 「あの者ザウバー、ここは常連でな。 各号棟の頭達も一目も二目も置いている。 あぁして初日の今もあいさつに行ってるんだ。ザ ウバーが居ると騒ぎが起きない。勝手を知らぬ新 入りが騒ぎを起こすとあのザウバーが納めてくれ るのだ。」 若い看守 「へぇー。。 あるんですね、そんな事って。」 看守-3 「なんとも不思議な関係なのだよ。 まぁ初めて来た日は大変だったがな・・・」 ~~~~~~~ ~~~~~~~ 院生-99番(二号棟頭) 「おぉてめー! うちの棟で随分と好き勝手やってくれてるそうじ ゃないか。ちょっとツラ貸せや。」 院生-81番(三号棟頭) 「ちと待てや。 締めるのはうちの棟のしきたり教えてからだ!」 院生-256番(四号棟頭) 「そうじゃねぇ、うちの棟が先だ!」 ザウバー 「うるせぇなぁ・・・。ピーピーギャーギャーと。 ここはプロレスのリングでも会議室でねぇ。わめ くんじゃねぇよ。 三人まとめてでいいじゃねぇか。 それで問題解決だろう。」 院生-81番(三号棟頭) 「俺はそれでも構わんが。」 院生-256番(四号棟頭) 「別にいいぜ、一緒でも。」 院生-99番(二号棟頭) 「そうか、俺もそれでいい。 じゃちと来いや。」 ぞろぞろと4人は裏庭へ向かった。 その裏庭では各棟の次席以下数名ずつが待機して いた。 そこへ、 『お疲れ様です』 ザウバー 「なんだ、湿気た面したメンバーがお揃いだな。」 引き連れてきた各棟の頭達は、それぞれの棟の者 が立つ場所に移動し振り返って止まった。 ザウバー 「派手な歓迎だぜ。オレは随分と人気者なんだな、 全然自覚してねぇや。 そう言やぁよ、 お前ら牢屋に入ってるじゃねえのか? 良く出ら れたもんだ。」 院生-99番(二号棟頭) 「ここは刑務所じゃねぇからな。」 院生-256番(四号棟頭) 「それに、事前に話しすりゃ新人締めるのは黙認し てくれんだよ。中の統制、しつけのためなら。 看守をボコる話や院の規律に背いたり逃げ出す話 じゃなきゃな。」 ザウバー 「中々話の分かる場所なんだな。」 院生-99番(二号棟頭) 「そう言う事だ。 さて説教、まず若い数字のうちからだ。 お前、うちの決まりに従わないそうじゃないか。」 院生-81番(三号棟頭) 「うちもだ。」 院生-256番(四号棟頭) 「こっちもだ。」 ザウバー 「わりぃな、オレは縛られるのが大嫌いでね。 悪いがてめえらの決めたルールに従うつもりは ねぇ。それに、オレが何したってんだ。」 院生-99番(二号棟頭) 「頭たるこの俺様より先に配膳に並んだろう。」 ザウバー 「はぁ~?」 院生-81番(三号棟頭) 「掃除道具、 てめーが手にしたのは俺のほうきだ。」 ザウバー 「なんだそりゃ?」 院生-256番(四号棟頭) 「このおれにぶつかっといてワビも無しか。」 ザウバー 「・・・ いつぶつかったよ。 なんなんだお前ら、随分とちぃせぇなぁおぃ。 何を言い出すかと思えば・・・。 がぁはははははは。 そんなことでオレを呼び出したのかお前ら。」 院生-256番(四号棟頭) 「院の決まりは絶対だ。そして各棟の頭が決めるそ れぞれの決まりも。 守れないやつはシメる。それだけよ。」 ザウバー 「お前らがシメる? このオレを? この人数でか? おぃおぃ笑わせてくれるねぇ、 各棟の全員連れて出直してきなっ!」 院生-99番(二号棟頭) 「おまえ、よほど死にたいらしいな・・・。」 ザウバー 「良く言われててよ、耳にタコってやつだぜ~。」 院生-81番(三号棟頭) 「1っの棟の説教じゃねぇ、3棟同時ってな初めて だ。覚悟しやがれ!」 ザウバー 「おぉ、ちょっと待て待て。。」 院生-256番(四号棟頭) 「今更泣き入れても遅せぇぜ。」 ザウバー 「泣きなんて入れるか。おまえらに警告だ。 この人数で本当にいいのかってな。」 院生-99番(二号棟頭) 「多すぎる位だ、心配すんな。」 ザウバー 「そうかい、(目付きが変わり、) じゃ決まりだな。いいぜ。」 院生-256番(四号棟頭) 「いわれるまでもねぇ! やれっ!」 院生-99番(二号棟頭) 「やっちまえっ!」 院生-81番(三号棟頭) 「説教開始だっ!」 頭の号令と共に各棟のメンバーが一斉に飛び掛か った! ~~ ( たったの15秒後・・・ ) ザウバー 「おぃおぃ、もぅ終わりかぁ~? 心がちぃせぇやつは体も丸まってちぃせぇなぁ。」 そこには地べたにうずくまったりはいずるように もがいていた先ほどの院生と各頭たち。 ザウバー 「次は全員連れてきな。 それでも"0"が足らないと思うぜ。 がははははは。」 寝転がる男達を後にするザウバーであった。 ~~ 翌日、 配膳所で食べ物をおぼんに乗せ、席に着いたザウ バー。 そこへ、ぞろぞろと集団が歩み寄ってきた。 近くに座る者はその場から回避を始めた。 院生-323 「お前、締めさせてもらうわ。」 すると左右と後ろから一斉にザウバーに襲い掛か ったのであった。 バシ ドスドス ゴス ゴン バキバキバキ バシバシ だが、 ザウバー 「おぉーい、事前に話したのかぁ?看守さんに。」 院生-323 「関係ない!」 バキバキバキ バシバシ ゴン ゴス バシ ドスドス 両手を上に挙げて手出しをせず打たせているザウ バー。 院生-323 「な、なんだこいつ・・・。」 ザウバー 「あとにしようぜ。 オレから看守に話しとくからよ。食ったら裏庭に 来いや。 今は飯だ、な。」 手が止まり院生-323に注目する。 院生-323 「仕方ない、引き上げるぞ。 あとでな。」 それを見ていた看守、 看守-5 「なんだぁ~? あいつ・・・」 ~~ その後裏庭で続きが行われたようだが、 ザウバー 「食事の時はダメだ。 食べ物を粗末にするのはもっとダメだ。 楽しみたいならいつでもいいぜ、相手してやる。 こういうのは嫌いじゃねぇんだ。 そぅそぅ、あとオレは縛られるのが嫌いでね。 自由にやろうや、な。」 話す足元には寝転がり苦しそうにもがく院生たち がごろごろと・・・。 ~~~~~~~ ~~~~~~~ 看守-3 「そんな事があってな。 院生全員がなんと寝床で数日から2週間の療養に なってしまった・・・。 それからというものザウバーは全ての院生とそし て我々看守からも一目置かれるようになり、毎度 院に入ると回りもトラブルを起こさない、起きて も丸く収めてしまうのだよ、彼は。」 若い看守 「なんか有難い存在なんですね。」 看守-3 「統率しているにも関わらずこちらには一切悪さを しない。不思議な男だ。」 その時、 看守-6 「1139号、1139号は居るか?」 ザウバー 「あ、確かオレだ。」 (手を挙げて応えた) 看守-6 「面会者だ。すぐに仕度しなさい。」 うなづくザウバー。 ザウバー ( オレに面会だと・・・? ) (ちっ、褒められたことはなんもやっちゃいねぇ)へ 登場する内容は実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 ● 第一章 1 話 へ ● 第二章 TOP へ ● 第三章 TOP へ ● 第四章 TOP へ ● Episode 03 Z へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年09月05日 02時52分31秒
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