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■ ドラマ 永久の彼方へ

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2021年02月26日
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  ~

看守
「またお前か・・・。
 まったく・・・、今回は長くなるぞ。」

ザウバー
「わりーな、世話になる。」

看守
「今度はここ、初日は独房だ。」

       キィー バタン


 翌日、ザウバーはワンボックスで移送され少年院
 の中に居た。

ザウバー
「鍵なんか掛けなくても逃げねぇよ。」
看守
「決まりでな。」

       鍵 カシャカシャ

ザウバー
「まぁな。」

 たたんであった布団を広げて横になる。

看守
「知っての通り、間もなく昼食だ。
 独房ではここでとってもらう。後で運んでやる。
 部屋が独房以外は前とスケジュール大きく変わら
 ん。」

ザウバー
「あぁ分かった。」

   紳士靴 カツ コツ 紳士靴  カツ コツ​

ザウバー
 ( ゾルダには悪いが、ここでは定期的に飯が食
   えるんだよな。 )


 ~~
   ~~
     ~~


 一時間半後、ザウバーは工場に居た。

看守-2
「ようし番号順に整列しろ。」

 『はい』  ざっざっざ

看守-2
「点呼を取る。
 1100番」  『はい』

「1101番」  『はい』
「1126番」  『はい』
「1129番」  『はい』
  ・
  ・
  ・
「1139番」  『 ・・・・ 』

「1139番」 『 ・・・・ 』

「1139番 はザウバー、君だ。」

ザウバー
「お、おぉ・・・ はい。」

 胸に記された数字を確認しながら。

看守-2
「早く覚えろよ。」

ザウバー
「はい。」

看守-2
「よし、
 今日は昨日の続きを・・・( を進めてもらう)」

ザウバー
 ( ここも変わんねぇなぁ・・・・。
   よくも飽きずに・・・
   相変わらずまだ木工やらされてるのかよ・・・。
   他もにやらせる事あんじゃねぇの? )

看守-2
「以上だ。
 では 1139番 は 1137番 に続いて行ってくれ。」

『 ・・・・ 』

看守-2
「ザウバー、いいかね?」

ザウバー
「は、はい。」

看守-2
「よし、では配置に着いたら各自始めてくれ。」

 『はい』

 前の者に続いて作業台の並ぶスペースに到着。
 順番に台の前に立つと、各自作業を始め出した。

ザウバー
 ( はぁ・・・、
   まだ本棚かよ・・・売れるのか? それともタダ
   でくれてやんのかな?
   手に職付けて社会復帰ったって俺は家具職人
   にはなんねぇぞ・・・。 )

 独り懐かしんだり思うところに浸りながら作業を
 進めるザウバーの後ろに、出来上がった成果品を
 手に一人の男が立ち止まった。

院生-1
「ごぶさたしてますザウバー殿。
 一号棟頭(かしら)やらせて頂いてます 708号
 です。」

ザウバー
「おぅ、まだ居るんか。
 数字は忘れたが声には聞き覚えがある。」

院生-708号 / 院生-1(改め)
「よろしくです。」

ザウバー
「俺が居る時は騒ぎ起こすなよ。」

院生-708号
「心得ております。」

ザウバー
「おぅ、頼むな。」

 一礼して成果品置き場に足を進める院生-708号。
 続いて同様に成果品を持った男がまた。

 それを看守は見て見ぬ振りをしている。

院生-2
「ごぶさたしてますザウバー様。
 三号棟頭(かしら)やらせて頂いてます 814号
 です。」

ザウバー
「おぅ、お前もまだ居るんか。
 わざわざ悪いな。」

院生-814号 / 院生-2(改め)
「いえ、よろしくお願いします。
 尚、二号棟、四号棟の頭は別の作業場ですのでご
 挨拶が遅れると申しておりました。」

ザウバー
「分かった。
 そいつらにも伝えておけ、俺が居る時は騒ぎ起こ
 すなよと。」

院生-814号
「承知しました。」

一礼して成果品置き場に足を進める院生-814号。


若い看守
「なぜあの者の所では、私語を黙認しているんです
 か?」
看守-3
「あの者ザウバー、ここは常連でな。
 各号棟の頭達も一目も二目も置いている。
 あぁして初日の今もあいさつに行ってるんだ。ザ
 ウバーが居ると騒ぎが起きない。勝手を知らぬ新
 入りが騒ぎを起こすとあのザウバーが納めてくれ
 るのだ。」

若い看守
「へぇー。。 あるんですね、そんな事って。」

看守-3
「なんとも不思議な関係なのだよ。
 まぁ初めて来た日は大変だったがな・・・」


 ~~~~~~~ ~~~~~~~

院生-99番(二号棟頭)
「おぉてめー!
 うちの棟で随分と好き勝手やってくれてるそうじ
 ゃないか。ちょっとツラ貸せや。」
院生-81番(三号棟頭)
「ちと待てや。
 締めるのはうちの棟のしきたり教えてからだ!」
院生-256番(四号棟頭)
「そうじゃねぇ、うちの棟が先だ!」

ザウバー
「うるせぇなぁ・・・。ピーピーギャーギャーと。
 ここはプロレスのリングでも会議室でねぇ。わめ
 
くんじゃねぇよ。

 三人まとめてでいいじゃねぇか。
 それで問題解決だろう。」

院生-81番(三号棟頭)
「俺はそれでも構わんが。」
院生-256番(四号棟頭)
「別にいいぜ、一緒でも。」
院生-99番(二号棟頭)
「そうか、俺もそれでいい。
 じゃちと来いや。」

 ぞろぞろと4人は裏庭へ向かった。
 その裏庭では各棟の次席以下数名ずつが待機して
 いた。

 そこへ、

 『お疲れ様です』

ザウバー
「なんだ、湿気た面したメンバーがお揃いだな。」

 引き連れてきた各棟の頭達は、それぞれの棟の者
 が立つ場所に移動し振り返って止まった。

ザウバー
「派手な歓迎だぜ。オレは随分と人気者なんだな、
 全然自覚してねぇや。

 そう言やぁよ、
 お前ら牢屋に入ってるじゃねえのか? 良く出ら
 れたもんだ。」

院生-99番(二号棟頭)
「ここは刑務所じゃねぇからな。」
院生-256番(四号棟頭)
「それに、事前に話しすりゃ新人締めるのは黙認し
 てくれんだよ。中の統制、しつけのためなら。
 看守をボコる話や院の規律に背いたり逃げ出す話
 じゃなきゃな。」

ザウバー
「中々話の分かる場所なんだな。」

院生-99番(二号棟頭)
「そう言う事だ。
 さて説教、まず若い数字のうちからだ。

 お前、うちの決まりに従わないそうじゃないか。」
院生-81番(三号棟頭)
「うちもだ。」
院生-256番(四号棟頭)
「こっちもだ。」

ザウバー
「わりぃな、オレは縛られるのが大嫌いでね。
 悪いがてめえらの決めたルールに従うつもりは
 ねぇ。それに、オレが何したってんだ。」

院生-99番(二号棟頭)
「頭たるこの俺様より先に配膳に並んだろう。」
ザウバー
「はぁ~?」
院生-81番(三号棟頭)
「掃除道具、
 てめーが手にしたのは俺のほうきだ。」
ザウバー
「なんだそりゃ?」
院生-256番(四号棟頭)
「このおれにぶつかっといてワビも無しか。」

ザウバー
「・・・ いつぶつかったよ。
 なんなんだお前ら、随分とちぃせぇなぁおぃ。
 何を言い出すかと思えば・・・。

   がぁはははははは。

 そんなことでオレを呼び出したのかお前ら。」

院生-256番(四号棟頭)
「院の決まりは絶対だ。そして各棟の頭が決めるそ
 れぞれの決まりも。
 守れないやつはシメる。それだけよ。」

ザウバー
「お前らがシメる?
       このオレを?
             この人数でか?
 おぃおぃ笑わせてくれるねぇ、
 各棟の全員連れて出直してきなっ!」

院生-99番(二号棟頭)
「おまえ、よほど死にたいらしいな・・・。」

ザウバー
「良く言われててよ、耳にタコってやつだぜ~。」

院生-81番(三号棟頭)
「1っの棟の説教じゃねぇ、3棟同時ってな初めて
 だ。覚悟しやがれ!」

ザウバー
「おぉ、ちょっと待て待て。。」

院生-256番(四号棟頭)
「今更泣き入れても遅せぇぜ。」
ザウバー
「泣きなんて入れるか。おまえらに警告だ。
 この人数で本当にいいのかってな。」
院生-99番(二号棟頭)
「多すぎる位だ、心配すんな。」

ザウバー
「そうかい、(目付きが変わり、)
 じゃ決まりだな。いいぜ。」

院生-256番(四号棟頭)
「いわれるまでもねぇ! やれっ!」
院生-99番(二号棟頭)
「やっちまえっ!」
院生-81番(三号棟頭)
「説教開始だっ!」

 頭の号令と共に各棟のメンバーが一斉に飛び掛か
 った!


~~ 時計( たったの15秒後・・・ )


ザウバー
「おぃおぃ、もぅ終わりかぁ~?
 心がちぃせぇやつは体も丸まってちぃせぇなぁ。」

 そこには地べたにうずくまったりはいずるように
 もがいていた先ほどの院生と各頭たち。

ザウバー
「次は全員連れてきな。
 それでも"0"が足らないと思うぜ。

 がははははは。」

 寝転がる男達を後にするザウバーであった。


~~


 翌日、
 配膳所で食べ物をおぼんに乗せ、席に着いたザウ
 バー。

 そこへ、ぞろぞろと集団が歩み寄ってきた。
 近くに座る者はその場から回避を始めた。

院生-323
「お前、締めさせてもらうわ。」

 すると左右と後ろから一斉にザウバーに襲い掛か
 ったのであった。

  バシ ドスドス   ゴス
    ゴン   バキバキバキ  バシバシ

 だが、

ザウバー
「おぉーい、事前に話したのかぁ?看守さんに。」

院生-323
「関係ない!」

  バキバキバキ  バシバシ
    ゴン ゴス バシ ドスドス

 両手を上に挙げて手出しをせず打たせているザウ
 バー。

院生-323
「な、なんだこいつ・・・。」

ザウバー
「あとにしようぜ。
 オレから看守に話しとくからよ。食ったら裏庭に
 来いや。 今は飯だ、な。」

 手が止まり院生-323に注目する。

院生-323
「仕方ない、引き上げるぞ。
 あとでな。」


 それを見ていた看守、

看守-5
「なんだぁ~? あいつ・・・」


~~ 時計


 その後裏庭で続きが行われたようだが、

ザウバー
「食事の時はダメだ。
 食べ物を粗末にするのはもっとダメだ。

 楽しみたいならいつでもいいぜ、相手してやる。
 こういうのは嫌いじゃねぇんだ。

 そぅそぅ、あとオレは縛られるのが嫌いでね。
 自由にやろうや、な。」

 話す足元には寝転がり苦しそうにもがく院生たち
 がごろごろと・・・。


 ~~~~~~~ ~~~~~~~


看守-3
「そんな事があってな。
 院生全員がなんと寝床で数日から2週間の療養に
 なってしまった・・・。

 それからというものザウバーは全ての院生とそし
 て我々看守からも一目置かれるようになり、毎度
 院に入ると回りもトラブルを起こさない、起きて
 も丸く収めてしまうのだよ、彼は。」

若い看守
「なんか有難い存在なんですね。」

看守-3
「統率しているにも関わらずこちらには一切悪さを
 しない。不思議な男だ。」

 その時、

看守-6
「1139号、1139号は居るか?」
ザウバー
「あ、確かオレだ。」 (手を挙げて応えた)

看守-6
「面会者だ。すぐに仕度しなさい。」

 うなづくザウバー。

ザウバー
 ( オレに面会だと・・・? )





-つづく-



z007話 少年院 02
(ちっ、褒められたことはなんもやっちゃいねぇ)



  ※ このドラマはフィクションです。
登場する内容は実在する人物、団体等とは一切関係がありません。

    また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。




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最終更新日  2023年09月05日 02時52分31秒
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