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■ ドラマ 永久の彼方へ

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2021年03月01日
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ザウバー

 ( オレに面会だと・・・? )

 扉無しロッカーに戻り作業着から院内着に着替え
 た。

 すると廊下が騒がしくなっていた。

  『ざわざわ』
      『ざわざわ』

ザウバー
「おぃおめーら、ここは学校じゃねーぞ!
 静かにしねぇか!」

 廊下に出て騒がしい方を向いて叫んだ。

ゾルダ
「固てぇこと言うな兄貴。。」

 そこには院生たちに囲まれ笑顔で話しかけるゾル
 ダがいた。

ザウバー
「何やってんだおまえ・・・。」
ゾルダ
「面会に来たんだがよ、看守に『中の連中に顔出し
 てやれ。』って言われてよ。」

院生-1023番(現四号棟頭)
「急にゾルダさんの姿が見えてうちの棟の連中連れ
 て御あいさつに。
 遅くなりました、ご無沙汰してます。
 引き続き四号棟頭張ってる1023番です。」
ザウバー
「お前もまだ居るんかよ・・・。」

院センター長
「久しぶりに二人が居るんだ、この位やらんと院
 生の楽しみが他には中々無いからな。」

 廊下の奥から初老手前頃でパリっと制服を着こな
 し、体つきがしっかりとしている男性が歩いてき
 た。

ゾルダ
「センター長、ゆる過ぎなんじゃねぇの?」

院センター長
「キミらの行いだよ、ここでのな。
 それにゾルダ君は面会、ただその場所が異なるだ
 けだがね。」

ザウバー
「ありがてぇよセンター長。」
院センター長
「こんな優等生がなんでまたここに帰ってくるのか
 が問題だがな。」
ゾルダ
「巻き添え食らって、その場を納めるために兄貴は
 マッポに投降してんだ。
 今回は独りで捕まりやがってよ。」

ザウバー
「二人顔首揃えてだとこんな楽しみが無くなるから
 な。」

院センター長
「ここを楽しみされても困るよ、変わったヤツだな
 本当に。
 立ち話もなんだ、場所を変えよう。」

 ぞろぞろと中庭に移動を始めた。

院センター長
「そうそう、今工場に居る連中も呼んであげなさい
 。年齢からしてこの二人が揃うのも最後かもしれ
 んからな。」
看守-7
「はい。」


~~


 中庭のベンチに腰掛けた3人、
 その前に棟ごとに整列してあぐらを組んで座って
 いた院生達。

院センター長
「ここに居るのが不思議なくらい、皆良い子達だ。
 外で悪さするからここへ入れられる。心の反省と
 リハビリのために。
 ところが皆も知っての通り、この二人は異次元の
 強さを持っているにも関わらずそれを表にかざし
 て振り回す事をせん。
 今日は折角のチャンスだ、二人の生い立ちをこの
 者たちに聞かせてやって欲しいのだ。」

ザウバー
「あまり人にベラベラとしゃべる事じゃないんだけ
 どな・・・。」

ゾルダ
「このセンター長さんの頼みだぜ兄貴。

院センター長
「心の教育だよ。大切な授業のひとつだ。」

 院生たちは黙って三人を見つめている。
 看守たちも周りにゆるく集まり、聞く耳を立てて
 いた。

ザウバー
「ちっ、褒められたことはなんもやっちゃいねぇ。

 まぁオレの生まれた国、
 いつも戦火に包まれていたんだ・・・。
 10歳くらいの頃だったかな、人生の志ってぇのを
 考えさせられる場面に直面したのは。



~~
  ~~
    ~~​​


   ヒュ~~~~ \ドカァーーン/
 遠くで爆弾の破裂音が鳴り響く。

子供ゾルダ
「にいちゃん持ちきれないよ。」
子供ザウバー
「一回で終わらせなきゃよ、また取りに戻ることに
 なるぞ。」

 二人は林の中に居た。
 一人は大きいポリ容器に汲んだ水を複数背負い、
 今もう一人は束ねた薪を担ごうとしていた。

    ヒュ~~~~ \ドカァーーン/

子供ザウバー
「代わるか?」
子供ゾルダ
「くそぉ、にいちゃんの水の方が重いし。
 このくらい担げなきゃ!
                 フン!」

 よろけながらも背負った。
 家の近くに水場が無く、子供の足で片道一時間半
 を掛けて調達に来ていた。

子供ザウバー
「さすがゾルダだ。」
子供ゾルダ
「う~ん、早く行こうよにいちゃん。」
子供ザウバー
「よし。」

 定期的にやっているのであろう、大きくふらつく
 こともなくゆっくりだがしっかりと一歩ずつ歩を
 進める二人。

 進行方向右手側には黒い煙が天高くまで登ってい
 る。いつもの光景と見え二人は気にせずに黙々と
 歩き続けていた。


 途中瓦礫の中にコンクリートが平たく顔を出して
 いるところに到着すると、

子供ザウバー
「ここで一休みしようぜ。」
子供ゾルダ
「うんしょ。」
        ドサ彡

 それぞれ担いでいた物を路上に置いた。
 腰掛ける二人。

子供ザウバー
「いつもいつもどこかで黒煙。
 何の得があるんか知らないが飽きずに良くやるな
 ぁ。」

 首に掛けたタオルで汗をぬぐう。

子供ゾルダ
「壊すのが好きなんじゃない?」
子供ザウバー
「その後どうすんだ?」
子供ゾルダ
「知らなーい。僕は壊してないもん。
 そいつらに聞かないと・・・。」
子供ザウバー
「だな、何が面白いんだか・・・。」

  ヒュ~~~~
    \ドカァーーン/


子供ゾルダ
「あ、今の・・・。」
子供ザウバー
「あぁオレらの家の方だ・・・。
 いくぞ!」
子供ゾルダ
「なんであそこに落ちるんだよ。
 あいよ。」

 二人は再び背負い直し、早歩きで帰路を急いだ。

 20分くらい経つだろうか、まだ遠いが家が見える
 位置に達した時、

子供ザウバー
「ゾルダ・・・。」
子供ゾルダ
「う、嘘だろ・・・。」

 二人は立ち止まり、呆然と煙の沸き立つ地点を見
 つめていた。

子供ザウバー
「とうちゃん! かぁちゃん!」

 背負い物を放り投げ、一目散に走り出す!

子供ゾルダ
「待ってにいちゃん!」

 ゾルダも慌てて背負う薪を路面に落とし、兄ザウ
 バーの後を追った!


 『はぁ、はぁ、はぁ・・・』

 肩で息をするザウバー。
 見つめるその先は・・・・、
 クレーターの様に大きく陥没した丸い地域、その
 横に二階建てコンクリートの片側だけ砕け散り、
 屋外にさらけ出した一階部分が。その横の木製の
 倉庫から黒い煙がモクモクと沸き立っていた。

 『にぃちゃん・・・ はぁ、はぁ、はぁ・・・』

 ゾルダも到着する。

子供ザウバー
「ヤラれた・・・。」
子供ゾルダ
「うぅ・・・。」

 涙をこらえるゾルダ。

 涙でぼやける視界には、人の手足が引きちぎれて
 辺りに散乱している光景も目に出来た・・・。

子供ザウバー
「くっそぉー、くっそぉー!」

 しゃがみ込み地面を叩くザウバー。
 隣では膝から崩れ落ちたゾルダだった。

子供ザウバー
「ふざけやがって・・・
 ふざけやがってこのやろぉぉ! 爆弾落としたや
 つ、片っ端から皆殺しにしてやる・・・。」

 目から涙を溢れさせながら叫ぶ。

子供ゾルダ
「とうちゃん・・・ かぁちゃん・・・
             オレだって・・・、
 オレだって一緒だ!
 にぃちゃんと、にぃちゃんと一緒にあいつらぶっ
 飛ばしてやる・・・。」

 こらえていた涙が一気に溢れ出したのであった。


 その時、

外人部隊傭兵
「おーぃ、お前らー!
 そこに居るとまたいつ爆弾落ちるかもしんねーか
 ら、早く非難しろ!」

 立ちすくんで涙を流す二人。

外人部隊傭兵
「こら坊主ども、聞こえねーのかー?
 早くこっちに来い!」


子供ゾルダ
「うるせーよ・・・。」

 駆け寄ってきた外人部隊傭兵、

外人部隊傭兵
「気持ちは分かるが、まずは自分の身の安全を考え
 ろってんだ。」

 二人の頭をポンポンと叩く。
 そして二人の腕を掴み、

外人部隊傭兵
「いいからここから離れろって。」

 重い足取りだが外人部隊傭兵に連れられてそこを
 後にした。


 その後再び、
  ヒュ~~~~
  \ドカァーーン/


子供ゾルダ
「うっ・・・」

 残り建っていた部分も見事に吹き飛ばされた!
 破壊されたコンクリートの細かい残骸が3人に降
 り注ぐ。

外人部隊傭兵
「お前らんちの建物で人が集まってた。そこを敵に
 見つかったんだろ、頑丈な建物だけに武器仕込ん
 であるか兵隊の居る場所と勘違いされて狙われた
 んだ。

 ここまでくりゃ大丈夫だろ。
 怪我はないか?」

 『 ・・・・ 』

 まだ心の整理がついてない二人。

外人部隊傭兵
「俺もな、
 子供の時に目の前で両親が銃撃食らっちまったん
 だ。身体中から血が飛び散り・・・倒れてからピク
 リとも動かなかった。俺は泣き叫ぶ事しか出来な
 かった・・・。
 戦地ではな、良く見る光景。まさか自分の肉親が
 ってな・・・。
 だからおまえらの気持ちはわかる。

 だがよ、
 それはそれ、今は自分たちがどう生きるかって事
 を考えるのが先だ。泣くのは後回し。
 な。」

子供ザウバー
「 ・・・・、
    おっさんもなんだ・・・。」

          ポカ☆

外人部隊傭兵
「俺はまだ29だ、おっさん言うな。」

子供ゾルダ
「そのヒゲがおっさんだ。」

        ポカ☆

外人部隊傭兵
「剃るほど暇が無くてね、悪かったな。

 さて俺は任務に戻る。この先しっかり生きろよ。
 じゃーな。」

 そう言うと西に走り出した外人部隊傭兵。

子供ザウバー
「おっさん待って!」

 呼び止めたザウバー。

外人部隊傭兵
「ん・・・なんだ?」

 足を止めて振り返る外人部隊傭兵。

子供ザウバー
「そっち、地雷ってのが埋まってる。」
子供ゾルダ
「穴掘って何かを埋めてるの見たことあるよ。」

外人部隊傭兵
「なんだと。
 あ、ありがとう。そりゃ助かった。」
子供ザウバー
「そっちに行くなら道知ってるよ。少し遠回りだけ
 ど。」
外人部隊傭兵
「わりーな坊主、逆に命救われちまったかな。
 っておっさん言うな!」
子供ゾルダ
「だっておっさんじゃん。」
外人部隊傭兵
「ち、
 年の差考えたらしゃーねーのかな、まったく。
 せめて『おっちゃん』くらいにしてくれ。」


 その後二人は外人部隊傭兵を案内始めた。
​​






-つづく-



z008話 志 01
(ゾルダ、水もってこい!)



  ※ このドラマはフィクションです。
登場する内容は実在する人物、団体等とは一切関係がありません。

    また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。




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最終更新日  2021年06月11日 15時21分46秒
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