子供ゾルダ 「おっちゃん、なんで一人で行動してんの?」 外人部隊傭兵 「俺の所属する先遣偵察隊がみんな遣られちまって な、今は俺一人なんだ。 でも任務継続でよ・・・。ったく人使い荒いぜ。」 子供ザウバー 「一人で・・・か?」 外人部隊傭兵 「あぁ、 偵察ってよ、先頭に立ってドンパチするんじゃな くて、相手の駐留部隊、潜んでいる場所や人数、 所持している兵器なんかを味方に知らせる役割な んだ。担いでるのも双眼鏡や赤外線暗視カメラ、 通信機ってな具合だ。 人数居ても見つかり易いからまぁ一人でもできな くはない。」 子供ゾルダ 「おっちゃん、こっち。」 外人部隊傭兵 「おぃおぃ、すげー道知ってんだな・・・。 ってこれ道か?」 子供ザウバー 「偵察なんだろ? 普通の道は見張り居んだろに。この道はまだ誰と も出くわした事がないよ。」 外人部隊傭兵 「大したもんだ、さっすが地元の子だ。助かる。」 子供ザウバー 「この先に敵がいるんだ・・・。知らなかった。」 子供ゾルダ 「ぼくら普通に通ってただけだったなぁ・・・。」 外人部隊傭兵 「敵さんも人知れずに砲や戦車を茂みに隠したりし てるからな。見つかったら一大事だ、一生懸命に カモフラージュしているもんさ。」 『ふぅーん』 子供ゾルダ 「おっちゃん、 一人で怖くねぇーんか?」 外人部隊傭兵 「そりゃ怖いさ。 誰も助けてくれない、見つかりゃ標的は俺だけ。 だがな、 俺も両親殺されてっからよ、仕返ししてーじゃん 。だから味方に情報伝えて少しでも相手が困る事 をやりてーんだ。 だから怖さも後回しで頑張れるのよ。」 子供ザウバー 「おっちゃん、つえーんか?」 外人部隊傭兵 「そぅだなぁ、 たぶんつえぇぞ。身体鍛えてっからな。 それに心もつえぇよ。こうして一人で頑張ってん だろうが。小心者には務まらねえさ。」 『ふぅーん』 開けた場所に出た。 外人部隊傭兵 「さてっと、ここからは俺一人で行く。 おめーらは自分家の後片付け、両親の埋葬。 やる事あんだろ、もう戻りな。 ありがとな。」 そう言い残し、物陰になる所を駆使して前進を始 めた。 子供ザウバー 「あぁしてオレらを守ったりしてくれてる人がいる んだな。」 子供ゾルダ 「うん。 ぼくらもなんか役に立ちたいね。」 子供ザウバー 「オレはそうは思わない。人の役に立ちたいとは。 やるのは親の仇の敵兵士への仕返しだ。 人の為とかじゃなくてよ、自分のケジメとしてと っちめたいよ。」 子供ゾルダ 「そぅ、それだよにぃちゃん! モヤっとしてたけど、ぼくもそれだよ言いたかっ たのは!」 子供ザウバー 「全然ちげーだろ・・・。」 見届けながら、 子供ザウバー 「やる事済ませに行くか。 戻ろう。」 子供ゾルダ 「あいよ。」 ~~ ~~ それから5日が経過した。 報道関係者も見守る中、両親の埋葬を終え大勢で 家の瓦礫を片付けている時だった。 子供ゾルダ 「にぃちゃん、あれ・・・。」 手を休め、遠い目で見つめて指差すゾルダ。 子供ザウバー 「あ、あいつは! ゾルダ、水もってこい!」 子供ゾルダ 「あいよ。」 スコップを放り投げ、地元の報道が構えるカメラ の脇をスリ抜け猛然と駆けだしたザウバー! 外人部隊傭兵 「うぅ・・・。」 片足をびっこ引きながらこちらにゆっくりと歩い てきていた。そこへ、 子供ザウバー 「おっちゃん、大丈夫か!」 外人部隊傭兵 「おぉ坊主か、そんな所まで戻れたのか・・・。 大丈夫だ、ちと挫いただけだ。」 子供ザウバー 「大丈夫なもんか、肩からと腕も血が出てる。」 外人部隊傭兵 「命取られる個所じゃなきゃ大丈夫なんだよ。 そのうち治る。」 子供ゾルダ 「おっちゃーん! はぁ、はぁ、水持ってきたよ。」 外人部隊傭兵 「おぉこっちの坊主もか、気が利くな。」 ビンに入った水を受け取り、ぐびぐびと飲み干し た。 子供ゾルダ 「坊主じゃないよ、ゾルダって名がある。」 外人部隊傭兵 「ぷはぁ~、生き返るぜ。 そりゃ悪かったなゾルダ。ありがとよ。 でこっちは?」 子供ザウバー 「ザウバーだ。」 外人部隊傭兵 「ザウバーか、二人いい名だ。 にしてもそっくりだな、 ただの兄弟というより・・・。」 子供ザウバー 「一卵性の双生児だ。」 外人部隊傭兵 「だなぁ。双子か、 服装と髪型が同じだったら見分けつかねぇかも。 仲のいい素敵な兄弟だ。」 子供ザウバー 「考えた事もない。」 子供ゾルダ 「喧嘩もないよ。ぼくはにぃちゃんに従うだけ。 大したにぃちゃんなんだぜ。ぼくの自慢のにぃち ゃんさ。」 外人部隊傭兵 「偉いぞ、しっかり者だな二人は。」 子供ザウバー 「そうでもない。 それより日陰で休ませよう。 ゾルダ。」 子供ゾルダ 「あいよ。」 二人で肩を両側から貸し、日陰に移動する。 外人部隊傭兵 「すまんな、大した怪我じゃない。大丈夫だ。」 子供ゾルダ 「任務は成功したのか?」 外人部隊傭兵 「あぁ、いちをな。 その後だ、見つかっちまってよ。 逃げるのに必死だったよ。」 子供ザウバー 「助けが来ないのに逃げるのは大変だろう。」 外人部隊傭兵 「まっ、そこは自分を鍛えてあるから銃弾さえスリ 抜ければ問題ないぜ。」 子供ゾルダ 「おっちゃんはつえぇんだもんな。」 子供ザウバー 「銃弾相手に強ぇもなにもないだろ。生身なんだか ら。 それに足、挫いた? 嘘言うな、折れてんじゃねぇか。 これじゃしばらく任務は無理だぜ。」 外人部隊傭兵 「ほぉ~見てわかるのか、大したもんだな。」 子供ザウバー 「なぁおっちゃん、任務に復帰するまでよ、俺たち を鍛えてくれないか。」 外人部隊傭兵 「なんだ藪から棒に・・・。」 子供ザウバー 「俺たちも強くなって あいつらに仕返ししたいんだ!」 外人部隊傭兵 「子供には無理だ。」 子供ザウバー 「3年でも5年でも10年掛かってもいい。時間はた くさんある!」 外人部隊傭兵 「こんな商売、いいことなんもねーぞ。」 子供ゾルダ 「うん、そーだよにぃちゃん、時間はある。 おっちゃん、商売じゃないよ。ぼくらは仇を取れ ればいいだけだ。」 子供ザウバー 「こんなガキのおれらが、これから力強く生きてい くにも必要な事だろうし。 どうだ?」 外人部隊傭兵 「ちっ、因果な関係だな。 味方も一端撤収しちまって俺は置いてきぼり。 まぁ一人で抜け出せると返答をしたからな。 どぅすっかな・・・。」 子供ザウバー 「頼むよ。」 子供ゾルダ 「強くなりたい!」 外人部隊傭兵 「俺の訓練は厳しいぞ~。生半端はやらん、トコト ンだぜ。」 子供ザウバー 「頼む。」 子供ゾルダ 「頼む!」 外人部隊傭兵 「お前ら、後で泣き入れても容赦せん。 やめるなら今のうちだ。」 子供ザウバー 「泣きは入れない、約束する。頼む。」 子供ゾルダ 「頼む!」 二人の目をじっと見ながら、 外人部隊傭兵 「良く言ったお前ら。 よし分かった。傭兵として身に着けたモノ、お前 らに伝授しよう。 全部キッチリと覚えろよ。」 子供ザウバー 「約束した。」 子供ゾルダ 「した。」 外人部隊傭兵 「よっしゃ、 じゃまず最初に場所を移動だ。 確か南の方角に修行と居場所によさげな所があっ た。そこがこれから俺らの生活の拠点だ。 子供ゾルダ 「アイサー!」 外人部隊傭兵 「ゾルダ、その返事 お前どこで覚えた?」 子供ゾルダ 「近くをチョロチョロしてる軍人が良く口にしてた んだ。」 外人部隊傭兵 「なるぼどな。。」 ~~ ~~ (木と喧嘩なんだよ)へ 登場する内容は実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 ● 第一章 1 話 へ ● 第二章 TOP へ ● 第三章 TOP へ ● 第四章 TOP へ ● Episode 03 Z へ . お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年06月14日 14時57分36秒
コメント(0) | コメントを書く
[EPISODE(エピソード)-03 その男ザウバー] カテゴリの最新記事
|
|