それから6年。 少年ザウバー 「ここだ。」 少年ゾルダ 「あぁ。」 二人は迷彩色にカモフラージュされた軍人の秘密 基地のすぐ近くに潜んでいた。 少年ザウバー 「まずはこいつをあの水瓶(ポリ容器の化け物)の 中へだ。 いくぞ。」 少年ゾルダ 「あいよ。」 身を低くして敵の見張りの目から逃れながら少し ずつ近づく二人。 見ると体が二回り以上大きくなっており筋肉質で ゴツくなっていた。顔や身体に水で溶かした泥で 迷彩風にペイントして。 見張りからの目を完全に逃れた二人は、用意して いたビンを傾け水瓶の中に液体を流し込んだ。 そして再び離れたところに待機する。 少年ザウバー 「さて、ひと眠りするか。」 少年ゾルダ 「あいよ。」 ~~ 日が陰り始めた頃、 『うぐぐ・・・』 『くぅ・・・』 『げほっ』 基地の中からうめき声が聞こえ始めた。 少年ザウバー 「起きろゾルダ、始まったぞ。」 少年ゾルダ 「ん・・・。」 眠そうな目をこすり顔を基地の方に向けた。 少年ゾルダ 「来たか。」 二人の見つめる中、屋上にいた見張りも苦しそう にしゃがんで嘔吐を始めた。 少年ザウバー 「ようやくこの時を迎えたな。 いくぜゾルダ! 容赦しねぇ皆殺しだぁぁ!」 少年ゾルダ 「アイサーっ!」 一直線に駆け出すザウバーとゾルダ! 入口横に立つ見張りを一蹴! 扉を開けて中にカ チ込むのだった。 ~~ 傭兵の残していったメモを見つめる二人。 そこには大日本国の住所と名前が書いてあり、 『この人を訪ねるといい。 そこで空手を教われ。俺の教えた傭兵用の護身 術とは異なり手足の打撃に特化した技を身に着 けられる。 体力と力を手に入れたお前たちがそこで学べば 鬼に金棒だ。』 との言葉も思い出していた。 少年ザウバー 「やつらからかっ浚(さら)った武器を売ってよ金作 って行ってみるか。」 少年ゾルダ 「そうだな。 オレらって[鬼]か・・・?」 ~~ ~~ ザウバー 「オレたちは生き抜くために強くなる決心をした。 仇を取るために。 落下速度に自分の体重が乗っかって太い枝で叩か れる・・・血反吐吐くほどの痛み・・・・。 努力ってやつは嫌いだ。だがオレらは生き抜く、 仇をとるその[志]に向かってっただけだ。 だから良くある人の上だの下だのは関係ねぇ。 領土争いなんかクソくらいだ。 ただ仇を取った後は・・・ なんか強いやつを求めさまよっていたな。 話せるのはこのくらいだ。」 皆シーンとして聞いていた。 ゾルダ 「その後はよ、他の拠点を探し回りとっちめたぜ。 もう毒は使わずにな。」 ザウバー 「ゲリラってやつだ。 個々でいる時に撃破。人数減ったらアジトに突撃 ってな。味方が近くに居るとやつらは撃ってこな かった。」 院生-756号 二号棟頭(かしら) 「ぐ、軍人をもやっちまうんですか・・・。」 ゾルダ 「白兵戦ってやつだ。 ブッとい大木の方が手ごたえがあったな。蹴りも パンチも屁でもねぇやな、効かなかったぜ。 『 ・・・・ 』 『それだけハードなトレーニング だったんだ・・・』 ザウバー 「確かに自分たちの身に着けた力も実証出来たし な。自信にも繋がった。」 『 ・・・・ 』 ゾルダ 「ガキの頃の細っちい木はよ、立って叩くと揺れて 中々凹んで締まってってくれないんだ。 だから膝付いて下の方ぶっ叩くと早いのよ。」 ザウバー 「太いのやり出した時もガキだったぜ。」 ゾルダ 「ま、まぁ今よりはガキってことでいいじゃねぇか よ・・・。」 『あはははは』 院生-708号 一号棟頭(かしら) 「一番太いのってどのくらいのを?」 ゾルダ 「50~60cm、こんくらいの太さかなぁ。 手の皮が厚くなるとよ、素手でいけるようになっ てた。」 院生-1023番(四号棟頭) 「そんな太てぇのを素手で・・・。」 『 ・・・・ 』 院センター長 「すさまじい特訓だったんだね。」 ザウバー 「あぁ、オレらじゃ考えもしなかった。」 ゾルダ 「お前らも真似すんなら枝の有るとこに飛び降りろ よ。無きゃペシャンコでお陀仏だからな。」 院生-814号 三号棟頭(かしら) 「や、やんねぇっすよおれらは・・・」 『頭ならここ出たらこっそりとやってたりして』 『ちげーね。』 『あははは』 院生-1023番(四号棟頭) 「その・・・、水瓶に入れったってのは?」 ザウバー 「父親と山菜積みに行ったときによ、 『これは毒キノコだから食べちゃダメだ。』 『この葉は干して煎じると人を殺せる。』 とか聞いてたから、逆にそれらをみんな混ぜて作 った特製汁だ。」 『くわばらくわばら・・・』 『今でも作れますか?』 ザウバー 「無理だな。 同じのをこっちで見ないしそれに・・・ もぅ忘れた。」 『で、どうしてこちらに・・・?』 ゾルダ 「行った先の道場は傭兵のおっちゃんも習った場所 でな。ただ型と礼儀を教わって実践形式の練習始 めたら破門になっちまって・・・。」 ザウバー 「加減はしてたが生徒さん、みんな潰しちまってな ・・・」 『ゴクリ・・・』 ゾルダ 「兄貴はそこの師範代までやっちまったじゃねぇ か。」 ザウバー 「で最初のここに到着って訳だ。 練習なのに・・・だ。」 院センター長 「それ、道場だったか? じゃなきゃここには送られてこないよ。」 ゾルダ 「そぅいえば兄貴、ラーメン食った後の公園で・・・ じゃなかったか・・・? 腹ごしらえしたから二人で汗流すかとか・・・。」 院生-708号 一号棟頭(かしら) 「それっすよきっと。」 ザウバー 「忘れた・・・。」 院センター長 「そぅそぅ、 先ほどザウバー君を捕まえた警察官が訪ねて来て 『発端の族とチームの頭達が、こんなちぃせぇ事 に拳振り回すなとザウバーにいい聞かせられた』 と言っていたよ。そして『発端の自分らをさて置 き 彼一人で警察に自首した』とも。 ザウバー 「やつらは言い合い、オレはブン殴ってるからな。 別に。」 院生-1023番(四号棟頭) 「軽くなったらまたすぐに出てしまうじゃないです か・・・。」 『そりゃ困る』 『ざわざわ・・・』 ザウバー 「バカ言え、 ここは刑務所じゃねぇんだ。関係ねぇよ。」 ゾルダ 「出たら困るってなんだよそれ。 まっ、それがオレの兄貴だ。」 『ちげーねぇ』 『だな』 院センター長 「さて諸君、 彼らの生きざま、少しは考えさせられる所はあっ たかな? 自分の身と照らし合わせて何か心に沁 みてくれたならこの場を設けて正解となる訳だ。 彼らが居る時じゃないとこんな授業は開催出来ん からな。」 ザウバー 「あまりえばれる人生歩んでないからこの話はこれ で最後にするぜ。」 院センター長 「悪かったね、ありがとう。」 ゾルダ 「何だお前ら、 オレら居ねぇと悪さしてんのか! やるなら外出てからにしろ!」 院センター長 「それだと再びここへだ。」 ゾルダ 「んぢゃ中でやれ!」 院センター長 「だからそれが困る。」 ザウバー 「ふっ、漫才だな。 身体なまってるやつ居たらオレがもんでやる。 喧嘩じゃねぇぞ。いつでも来な。 但し看守に言ってからだぞ。」 『あはははは』 そこへ独りの看守が歩いてきた。 看守-8 「1139号、面会者だ。」 全員がザウバーを見た。 ザウバー 「あ、オレか・・・。」 『はははは』 院センター長 「行ってこい。 よしここは散解する。今のタイムスケジュール通 りに戻ってくれ。」 ザウバー 「来た日になんか忙しいな。 ゾルダ、ありがとな。」 ゾルダは片手を挙げて答えた。 看守-8はザウバーを引き連れて戻っていった。 (趣味で、の方が通りがいい気がするけどよ)へ 登場する内容は実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 ● 第一章 1 話 へ ● 第二章 TOP へ ● 第三章 TOP へ ● 第四章 TOP へ ● Episode 03 Z へ . お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年11月12日 12時10分08秒
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