|
カテゴリ:読書
恋物語を読みたくて、手に取った。
ところが、時代小説でお転婆の若娘が水戸藩の若侍に恋焦がれる話から、幕末の水戸藩内乱、天狗党と諸生党の戦いの余波を受け苦しむ主人公がいた。樋口一葉の師・中島歌子を題にとった物語は読みごたえ十分であった。 小説の構造として、入れ子のように過去回想のような態をとっているのが気にかかる。その半生、その一生を時代経過とともに語るほうが、読者には良かった気がしないでもない。才に走り技巧を見せた感が否めない。 とはいえ、大いに感じ入り、内乱では胸が押しつぶされるほどの驚きと屈辱を味わい、恋愛小説ではない義の物語を感じ取った。恋物語としては、なにゆえにその一文を書くのかと疑問を持つ文があったけれど、全体的に良く出来た作品として推挙すべきものであると思われる。 有志の武士が無残にも散っていった水戸藩を残念に思う。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】恋歌 [ 朝井まかて ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.11.28 09:11:14
コメント(0) | コメントを書く
[読書] カテゴリの最新記事
|
|