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テーマ:映画館で観た映画(8533)
カテゴリ:映画館で見た映画
この作品を見て、冒頭いきなり歌とダンスのミュージカルシーン、ハイウェイでの群舞。「ラ・ラ・ランド」のタイトル表示前に繰り広げられた。ミュージカル好きでない人はこの冒頭シーンに拒絶反応を起こさないだろうか。 物語は進んでいき、途中、つまらない内容になっていった(と感じた)。不覚にも1分くらい目を閉じた(寝た?かも)。終盤も残念な方向へ向かっていき、このままだとつまらない映画で終わる・・・と思いきや、大展開クライマックス、めくるめくロマンチックシーン。大感激だなぁ。隣の女性客は号泣して、嗚咽していた。(こっちが興醒めする!)と、かくいう私は感動しさめざめと泣いていた。アカデミー賞作品賞に一歩及ばなかったのはむべなるかなと思えたりもするが、いい作品である。 <ネタバレ> ネタバレを気にしないで書くので、ご注意あれ! ヒロイン、ミア(エマ・ストーン)の1人称で始まる。そのまま進行するのかと思いきや、主役セバスチャン(ライアン・ゴズリング)との出会いで、セブ(ゴズリング)の1人称でハイウェイからシーンが繰り返される。この二人の出会いからは、主役どちらかの目線ではなく、一般的な観客の目線で描かれていくことになる。オープニングの衣裳は良く計算されていると思えた。モブ(群衆ダンス)シーンではダンサーの服の色合いが赤・青・黄色などはっきりと区別されていて、カラフルであった。それは、あとの夜会パーティへ出かけるミアを含む女性4人組の横一列ウォーキングシーンでも、ドレスが赤・黄・青・薄緑とはっきりと色分けされていた。ダンスで闊歩するこのシーンは「セックス・アンド・ザ・シティ」を想起させた。(女性4人組だからね) オーディションでのミア(エマ・ストーン)の表情が絶妙。感情を移入し絶妙な演技を披露しているところへ、いらぬメッセンジャー(秘書?)が入ってきて、演技が中断し、感情が断ち切られ、このあと演技を再開しなければならないのかとモチベーションを上げなおそうとしたところ、オーディション終了と言われ、落胆する。このわずかな時間での感情の起伏、表情の表出は素晴らしかった。なかなかここまでやれる女優は少ないであろう。このシーンを見ただけでも彼女がアカデミー主演女優賞を受賞したことがうなずける。ミアとセブがお互いを思いやるが、仕事に追われ、すれ違うジレンマ、このあたりが中だるみというか、つまらなくなってしまったあたりである。このままつまらなく終わってしまうのであれば、残念な作品だなと思った矢先、もし、あの時こうだったならばという空想の世界へ飛んでいき、ダイジェストで送るハッピー・アワー、クライマックスとなる。(ここで隣席の女性はグスグス、ズルーと嗚咽、号泣)とってもとっても感動し、さめざめと泣いてしまった。現実世界へと戻り、映画は終わるが、拍手喝采したい気持ちになる。 評判で注目の丘の上夕暮れダンスシーンだが、ミアはハイヒールからタップシューズへ履き替えている。なぜ?と思えるが、何事もないようにセブとシンクロしてダンスする。なんということか。ここに理由はない。この突拍子さを認めるか否か、どうなんでしょうねぇ。 映画「理由なき反抗」を見に行って、フィルムが焼け溶けて、上映中断になるシーンがある。デジタル全盛の今、映画がフィルムであることを知る若者はいるのだろうか。フィルムが焼け溶けるところを現実に見たことはない。雨が降ったり(映写機の熱で、フィルムに細かい穴が開き、雨が降ったように見える)することは名画座などではよくあった。我が人生で一度きりだが、フィルムが切れて上映が30分中断したのち再開した体験がある。この映画の中であったようにフィルムが溶けてしまうというのは、ありえないと思えるが、そこは監督が表現したかったのではと思うしかない。 ミアは首尾一貫、演奏に惚れて、セブに恋するのはわかるけれど、ミアを無視していたセブが、どうしてミアに恋するのか、自身の主義を曲げるのか、心情がつながっていないので感情移入がしづらい。この辺がゴズリングがアカデミー賞を取れなかった理由かもしれない。演技に光るものもなかった、かもしれない。 ジャズに関してのウンチク、というか説明がある。説明されればジャズの良さがわかるけれど、反面、行き過ぎたジャズは鼻つまみもの。長すぎる演奏、強調しすぎるソロパートなど、生演奏をきくと辟易することが多い。それゆえミアがいう「ジャズは嫌い”I hate jazz.”」というセリフは共感を呼ぶと思う。 夢をあきらめない、自分を貫き通したミアと主義を曲げてジャズにこだわらず、店名もかえたセバスチャン。どちらもスター女優と自分の店を持つという夢を叶えたが、セバスチャンが幸せそうにみえないのはなぜだろうか。 2016年/アメリカ/128分/G 監督:デイミアン・チャゼル 出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、キャリー・ヘルナンデス、ジェシカ・ローゼンバーグ、ソノヤ・ミズノ、 ローズマリー・デウィット、J.K.シモンズ、フィン・ウィットロック、ジョシュ・ペンス、ジョン・レジェンド 原題:La La Land お薦め度 「ラ・ラ・ランド」★★★★☆(90%) 字幕翻訳:石田泰子 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.03.04 00:20:45
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