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テーマ:訃報(134)
カテゴリ:注目の人
津川雅彦さんが亡くなった。
私が敬愛すべき役者であった。 初めてスクリーンで見たのは、「昭和残侠伝」シリーズであるのだが、作品がなんだったのか数本見ているのでわからない。大阪・朝日座での特別興行で昔の作品の三本立てのうちの一本。見た順番でキャスティングをネットで探してみると、どうも「昭和残侠伝・血染の唐獅子」だと思われる。ただ、山城新伍や梅宮辰夫と絡みがあった気がするのだが、この作品に梅宮辰夫の名はない。違う作品なのか? 兄弟である兄の長門裕之と人気を争ったようだが、兄よりも評判をよんで持ち上げられることを避け、一時出演をひかえたと映画歴史本に書かれていたが、実際そのようなことがあったのだろう。兄の長門がひがんだり、ジェラシーを感じたのは事実のようである。誰に言われたわけでもなく、兄を敬い津川自らそのように処したと思われる。とはいえ、兄も人気が出て主役級になると津川も臆することなく活躍するようになったと思われる。 さて、私が初めてスクリーンで見た津川は奇才を放っていた。主演の高倉健を凌駕するほどに光り輝く芝居を見せ、見る者(私)の目をとらえて離さなかった。 それからは天性の役者ぶりを感じながらあらゆる作品を見た。 映画作品としては「時代屋の女房」「お葬式」「ひとひらの雪」「たんぽぽ」「マルサの女」「別れぬ理由」「永遠の1/2」「マルサの女2」「あげまん」「天と地と」「幕末純情伝」「ミンボーの女」「墨東奇譚」「大病人」「午後の遺言状」「必殺!主水死す」「スーパーの女」「私たちが好きだったこと」「マルタイの女」「おもちゃ」「愛の流刑地」といったかんじ。2000年以降は私自身の映画鑑賞数が減ってほとんど邦画は見ていない。とはいえ、監督作である「寝ずの番」は見ている。意欲作ではあるが、太鼓判を押せるほどの作品ではない。でも、おもしろかった。 兄、長門に子はなく、娘、真由子が独身であるので、映画に貢献してきた奇才・天才の家系が途絶えてしまうのは悲しい気がする。 日本映画界にその名を残した映画監督マキノ雅弘の父マキノ省三(日本映画の父)から代々活躍してきた家系。沢村貞子や加藤大介という名優を輩出し長門裕之、津川雅彦という兄弟に伝わった芸達者の血。配偶者を入れれば、南田洋子、朝丘雪路はもちろん、藤原釜足(沢村貞子・夫)、轟夕起子(マキノ雅弘・妻)たちや、兄弟の父、澤村國太郎(4代目)という大スターもいる。華々しいかぎりである。それだけに後継者がいないことが残念だ。 私が心酔した奇才、津川雅彦さんの死に驚きつつも、お悔やみを申し上げます。 合掌。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.08.11 13:37:20
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