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テーマ:最近観た映画。(39984)
カテゴリ:家で見た映画
この作品は理解困難だ。 というのもアイルランドを描いているから。 日本人にアイルランドは馴染みがない。アイルランドとイングランドは犬猿の仲と思っていたが、どうもそんな生易しいものではないものらしい。ちょっとググって見ただけだが、アイルランドはイングランドより一方的に蹂躙されていたようだ。アイルランド征服を狙ったイングランドにより800万人いたアイルランド人は半減の400万人となり、イングランド人の入植もあいまってアイルランド語を話す人は少なくなってしまったようである。日本における沖縄(琉球)の立場よりもひどく、ほぼ絶滅させてしまったアイヌ民族のようにアイルランドはイングランドの被害者なのだろう。このアイルランドとイングランドの関係、イングランドに対するアイルランド人の憎悪がわからないとこの作品はまったく理解されないのではないだろうか。原作はアイルランド人作家セバスジャン・バリーである。 とても魅力的な女性が田舎町へやってくると閉鎖的な田舎町であればあるほど、耳目を集めることとなる。そこにアイルランドとイングランドの、カトリックとプロテスタントの反目があり、アイルランド人から嫌悪されているイングランドよりの人物であった彼女の恋人は過激的な一派から命を狙われてしまうことにもなるのである。その感情、情勢は、アイルランドに感心のない私に到底理解不能である。その中でカトリック神父の横恋慕と横暴と真実の秘匿が行われ、彼女は薬漬けによって精神に異常をきたしてしまう。そして、混濁した記憶の中で、思いだけで生きている。 このような作品の結末は映画的・小説的でさもありなんと思える内容であったが、今を生きるアイルランド人はどのような思いでこの作品を見ればいいのだろうかと沈黙してしまう。 とても悲痛な、とてもとても悲痛な作品である。 2016年/アイルランド/108分/G 監督:ジム・シェリダン 出演:ルーニー・マーラ、バネッサ・レッドグレーヴ、エリック・バナ、ジャック・レイナー、テオ・ジェームズ 原題:The Secret Scripture お薦め度 「ローズの秘密の頁」★★★★(80%) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.10.28 12:22:55
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