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テーマ:テレビドラマ(813)
カテゴリ:テレビ
フジテレビ開局60周年特別企画「大奥 最終章」を録画で昨日見た。 なかなか、良い出来であった。 ラストに”この作品はフィクションです”といったような但し書きが画面右下に映し出されたけれど、史実を基に創作されていることはわかっているのでわざわざ書かなくても、と思ったけれど、最近公開される映画作品も実話であることとフィクションであったり、インスパイアされた作品であると但し書きされている。今は、そういう時代なのかも。 この作品、主役は木村文乃か。おてもやんのようなまるい顔立ちはとても大奥の女人の巣窟は似合いそうもない。はたして、大奥が似合わない紀州の田舎者らしく、庶民感覚が存分に感じられた。かたや敵(かたき)となる第6代将軍正室の天英院を演じた鈴木保奈美は品格あふれ公家出身の気品が感じられる配役であった。 思えば、天下一の売れっ子女優となりテレビ業界がひれ伏した経験を持つ鈴木保奈美が品格ある役柄を演じることに異論はあるまい。私生活で紆余曲折があり、再婚してからは引退休憩のような状態であったけれど子育てが一段落して復帰をはたしNHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」で、美女であるお市の方を演じて気高く素晴らしく、月9の「SUITS/スーツ」での法律事務所代表の役どころも気品と気迫とスタイリッシュな着こなしは見事であった。同様に今作でも公家出身の高貴なお方を演じて、良かったと思う。木村の丸顔に対し、細面の鈴木は対比としても絶妙である。また、天英院のライバルである、月光院演じる小池栄子も猫のように鋭い眼光ながら丸顔であることを思えば、絵面(えずら)で役どころを描き分けているといえるかもしれない。高瀬を演じた南野陽子の眉をつぶした面相も良かった。惜しむらくは竹姫を演じた浜辺美波の美しさである。このドラマを見る前にネットでその美しさが評判になっていて期待しすぎたのか、彼女の美しさはただ若いだけの美しさで息を飲むほどものを私は感じなかった。また、彼女の琴の演奏は音と指が合ってなかったような感じがした。多喜を演じた岸井ゆきのも惜しい。器量良しでないところはよいけれど湯殿で吉宗が誤って(?)手を出して孕ませてしまうならば、妖艶さやえも言われぬ魅力がほしかった。ただ素足を見せただけでは物足りない。その後の悪事を行えなかった心情を演じるには適役ではあったけれど。松坂慶子は素晴らしい。朝ドラ「まんぷく」を見ていて、つくづく芸達者になって好き勝手に演じている奮闘ぶりには敬服していたが、同様の活躍をこの作品でも見せてくれる。太河ドラマ「篤姫」あたりからの変化であろうか。 主役・木村文乃は可もなし不可もなしの演技と展開であった。しかし、クライマックスに芝居のしどころはあった。天英院(鈴木保奈美)の悪事は不首尾となり、毒薬で命を絶たんとする刹那、お久免の方(木村文乃)は毒薬をもぎ取り、諭す。その語りが見事であった。見ている者の心を打つものであった。そして、この時の演出も秀逸であった。前面に鈴木、後方に木村。焦点は木村にあり、鈴木はぼやけている。木村の諭すセリフが続く中、焦点は鈴木に移り、木村はぼやける。演出が意図した技である。芝居は仕掛ける、セリフをいう人に注目しがちであるが、受けの芝居をとらえるということは演出の意図するところであり。パンして(カメラが移動して)受け芝居をしている人物だけを映すということはあったりするけれど、前後ツーショットで焦点をずらすという演出は今まで見た記憶がない。この演出の妙技に舌を巻いた。 なかなか、いいドラマだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.03.30 20:22:59
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