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カテゴリ:家で見た映画
「英国総督 最後の家」 このような作品があることを全く知らなかった。 インドのことはよく知らないが、パキスタンのことはなおさら知らない。もとは大英帝国の植民地として300年の長きにわたって統治されていた地域。第二次世界大戦の影響もあり、英国から独立することになる。そして、その独立に際し、宗教的分裂からの分離独立か統一インド建国かの二者択一にゆれて宗教間の大虐殺と人民の大移動を引き起こす。その時に統治権譲渡の大役を行うべく赴任した総督一家。その新任の総督に仕えることになったヒンズー教の若者。彼にはこの総督の宮殿で働くイスラム教の想い人がいた。 ヒンズー教、イスラム教のそれぞれの人間が尊厳を重んじるがゆえに暴力に走り、虐殺を行うことは狂気だ。しかし、この作品ではその殺戮が映されることはない。布に包まれた死体がいくつも並んでいる映像はあっても。 総督としての威厳と矜持でインドの人への手厚い対応を続ける総督一家。イスラム教の彼女を恋慕するヒンズー教のインド人。その他登場する人々の思いの強さに感じ入る。壮絶な辛苦の中で建国したインドとパキスタン。その世界を映画化したPunjabi(パンジャーブ語:インドとパキスタンにまたがるパンジャーブ地方の言語)のグリンダ・チャーダ監督は祖父母がこの独立でパキスタンからインドへ難民として移動したと終幕にあった。彼女が「ベッカムに恋して」の監督であることに驚いた。 出演者たちは素晴らしく、この総督役にぴったりなヒュー・ボネビルとその妻役のジリアン・アンダーソン。ジリアンはあの「X-ファイル」のスカリー捜査官だとは気づかなかった。慈愛と気骨にあふれる総督夫人であった。 2017年/イギリス/106分/G 監督:グリンダ・チャーダ 原作:ラリー・コリンズ、ドミニク・ラピエール、ナレンドラ・シン・サリラ 脚本:ポール・マエダ・バージェス、グリンダ・チャーダ、モイラ・バフィーニ 出演:ヒュー・ボネビル、ジリアン・アンダーソン、マニシュ・ダヤル、フマー・クレイシー、マイケル・ガンボン、ダンビール・ガニー、オム・プリ、ニーラジ・カビ、サイモン・キャロウ、デビット・ヘイマン、デンジル・スミス、リリー・トラバース、ジャズ・ディオール 原題:Viceroy's House(「副王(植民地統治者)の家」) お薦め度 「英国総督 最後の家」★★★★☆(90%) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.05.03 19:32:28
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