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テーマ:最近観た映画。(39932)
カテゴリ:家で見た映画
尊厳死、安楽死ではない尊厳死の話。 この「92歳のパリジェンヌ」という題名からは、その内容をうかがい知れず、歳老いてなお血気盛んなフランス女性を思い描いてしまう。でもこれは、自己の体が思うに任せず、一人生活が困難になってしまった老婆が自死を求める内容だった。 原作は『最期の教え』として刊行されたノエル・シャトレの世界的ベストセラー。彼女の母、ミレイユ・ジョスパンが92歳の誕生日に三か月後の尊厳死宣言をして、実行した実話である。映画化された時に『最期の教え-92歳のパリジェンヌ』として新装版刊行された。 ネタバレをしてしまったけれど、実話だから書いた。 病気もケガも戦争もなく、長生きしてしまった健康体が肉体と神経が勤続疲労をおこし、一人生活が困難になったときにたどり着いたひとつの結論である。 挿入歌は「そして今は」(Et Maintenant) 学生時代に教授のお薦めで授業中に拝聴した曲だ。とても懐かしかった。 監督パスカル・プザドゥーはインタビューに答えて”フランスのポピュラーソングを使いたかった。世代を超えた象徴的な歌を使いたく、フランスを代表する歌手をピックアップ。人生や老いを語った曲の中で「そして今は」が一番シーンに合っていた。”と語っています。 主人公は尊厳死を求める老婆の娘。 自主独立、個人を本当の意味で尊重するフランスは自我が強く、尊厳死を認めない(主人公の)兄や海外渡航を取りやめない(主人公の)息子や尊厳死を求め続ける母。折り合わない家族がいがみ合う姿や理解しあおうとする姿。母娘で母のおもいでの人に出会う旅は印象的であった。 親の人生を認め、完結させること。この作品を知らなかったことが残念だ。けれど、今日見ることができてよかった。人生を考える一助になれば。 感涙。 落涙。 主人公・娘を演じるのはサンドリーヌ・ボネール。彼女の作品は「仕立て屋の恋」「灯台守の恋」を見ている。作品に似つかわしいキャスティングがいい。老婆を演じるマルト・ヴィラロンガは1932年3月生まれなので撮影当時82歳。1964年から数々の映画(「甘くない砂糖」「愛と哀しみのボレロ」「赤ちゃん委乾杯!」など)に出演する超ベテラン女優のようです。主人公の兄のアントワーヌ・デュレリも1981年から(「男と女、嘘つきな関係」「メトロで恋して」など)活躍するベテラン俳優のようです。 2015年/フランス/105分/G 監督:パスカル・プザドゥー 脚本:パスカル・プザドゥー、ロラン・ドゥ・バルティーヤ 出演:サンドリーヌ・ボネール、マルト・ビラロンガ、アントワーヌ・デュレリ、グレゴール・モンタナ、ジル・コーエン、ザビーネ・パコラ 原題:La derniere lecon(「最期の教え」) お薦め度 「92歳のパリジェンヌ」★★★★☆(90%) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.05.24 12:37:24
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