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テーマ:ドラマ大好き(3792)
カテゴリ:テレビ
ようやく終わった。コロナ禍にあって、放送開始がずれたために、終了もずれ、5月中旬(5月14日)に最終回となった。 杉咲花主演の女優・浪花千栄子をモデルにした話である。 浪花千栄子は私より上の世代の人にはなじみがあると思う。テレビドラマ「細うで繁盛記」の主人公・加代さん(新球三千代)の祖母役で出演。年季の入った物言いに年長者の気風を感じ、感心しながら見ていた記憶がある。オロナイン軟膏のCMでも大人気であった。そんな浪花千栄子の生い立ちが見られるのかと期待したけれど、見知った晩年まで描かずに中年の年頃で終了した。まったく知らない若年時代を描いていたけれど、どこまでが本当のことなのか、モデルとしただけでフィクションとして作っているので鵜吞みにはできず、残念な気もする。 NHKの朝ドラはいつからこれほどドラマというか芝居(演技)に固執するようになったのだろうか。演技経験のないタレントはほぼ登場せず、一人芝居とでもいえそうな杉咲花の独壇場が続いた。何かあれば悔し涙、何かあれば悲し涙。涙を流せば共感を同情を得られるかと思えるほど、彼女の涙のシーンは多かった(と思える)。視聴者が感情移入していれば画面の役者が泣こうが泣くまいが一喜一憂同調するものなのに、と杉咲花が泣くシーンとなると涙もろい涙腺のゆるい私は興ざめしつつ見ていた気がする。とはいえ、テレビの場合は演出家がOKを出すので、彼女がさめざめと泣く、号泣する、悔しくなく、などすべて演出があってのことであろう。役柄が女優であるから、多少、いや大いに芝居臭くてもそこはそれ、自然な演技でなくても身一つで生きていく天涯孤独な人物であれば、納得できるものなのかもしれない。やや芝居がかった杉咲花であったが終盤、元夫とその妻と再会のシーンで約20秒の沈黙のシーンがあった。言葉は出なかったが、わずかにかわる表情からおちょやん(杉咲花)の苦悩がにじみ出て秀逸な場面となった。このとき、彼女は泣いていなかったと思う。全編を通して一番のシーンだと思う。 さて、芝居ができる役者ばかりを揃えたように思うけれど、異質だったのはおちょやんの父親のテルヲ役のトータス松本であろう。バンド・ウルフルズのヴォーカルで有名であるだけに歌手であるので、強烈なダメ親父を演じた彼は小汚く豪快であった。その彼と同様に強烈な印象を残し名演技を見せたのはお笑いの面々であった。まずはほっしゃん。でなく、今は星田英利。喜劇役者としてシリアスな芝居を存分に見せてくれた吉本の芸人である。続いて、終盤に笑いと人気をかっさらった花車当郎役の塚地武雅。人力舎の芸人であるが、映画「間宮兄弟」を見たときにそのたぐいまれなるセンスに驚き、いい役者になると思った。NHKバラエティ「LIFE!」でのコントもいい!(笑) おかみ役の篠原涼子はいうまでもなく、彼女に対峙する本家のおかみ役いしのようこがよかった。スター女優として気品と貫録を見せた井川遥もよかった。カフェー「キネマ」の同僚役の吉川愛は注目している女優なので出演が嬉しかったし、女性一座の若村麻由美と映美くららは美しく、凛とした芝居でよかった。灯子役の小西はるもよかったですね。 相手役の成田凌は初めて見たドラマが「人は見た目が100パーセント」だったので、当時の人気ぶりと役柄がマッチしている気がして、いけ好かない俳優とみなしていた。なので、彼の作品はほぼ見ることもなく、彼の人気もあったりなかったりで、なかなか主役級でありながら注目はされながらも一般受けしない気がしていた。まぁ、端的に言っていやな俳優だったのだけれど、同じ事務所の俳優の突然の病気による降板の後釜、ピンチヒッターとして「アンサング・シンデレラ病院薬剤医師の処方箋」に出たのを見て、がぜん応援する気になった。それゆえこの「おちょやん」でも相手役ということで期待をし、応援した。嫌悪感を持つ役者なのに父の後をついでの喜劇役者になるという難しい役どころ、また難しい舞台演技、しかもじいさん役などを演じるという、また、妻がいながら若手女優に手を出すというダメ男ぶり、散々な役柄であったがうまくいったかどうか見ていてもよくわからなかった。少なくともひどい演技ではなかったので健闘したといえよう。有名でありながら一部を除き、いまひとつブレイクしないと思える成田凌であるが、今後も期待したい。 このドラマではとりわけ人気になるような男優は生まれなかったなぁ…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.05.22 22:57:43
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