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テーマ:最近観た映画。(39940)
カテゴリ:映画館で見た映画
公開と同時に見に行こうと決めていたのに、見そびれてしまって、ロードショー終了かという間際、飯田橋ギンレイホールで上映することを知った。それなら、物語の舞台というか、モデルであるギンレイホールで見たほうがより感慨深くなるのではと思い見に行った。 思いのほか観客は少なく、午後の回、満席ではなかった。 原作にはほど遠いというか、まったく別の物語として映画化されていて、号泣したあの本の映画化を望んだ私は落胆した。主演予定だった志村けんさんが亡くなり、代役で沢田研二さん。コンサートで物議をかもしたかつてのスーパースターは白ひげを蓄えたギャブル狂、アルコール依存症の役だった、原作の内容ほほぼ忘れてしまっていたので、何が違うとは言えないけれど、現代のシーンではコロナ禍も取り上げていて、異様に今日的である。しかるに舞台となった名画座は今日的とは言えないような気がした。というのもシネコンにとってかわられた映画館はスクリーンではあるが配信上映されているようだし、16ミリのリールしか知らない私には35ミリのリールはあまりに大きすぎるような気がした。映画「ニュー・シネマ・パラダイス」で見たリールもそれほど大きくなかった気がする。また、若者世代のシーンでラッシュ・フィルムがリール缶に入って登場するが、こちらは小さすぎる気がした。山田監督なのでリアリティに間違いはないだろうけれど、どうなのかな。そして、ギンレイホールでの鑑賞マナーからすると上映途中からの入場はあり得ないし、もし、上映開始後であれば立ち見である。日がな一日、一度入ってしまえば何度でも繰り返し見られて、途中から見て途中で帰るということが当たり前だった昔とは今の鑑賞状況はずいぶんと違う、にもかかわらず、上映後に平気で入場する主人公たち。その無遠慮な行動に違和感を感じてしまった。また、後年の淑子(宮本信子)が語る好きな監督にフランク・キャプラをあげたり、創作のもとになったものにバスター・キートンを出したりしているけれど、これらは齢90歳の山田監督のものであり、とても70歳代の主人公たちが語るものではないような気がした。70歳代であればビリー・ワイルダーくらいがいいのではと思った。(作風かなぁ、フランク・キャプラ監督は「或る夜の出来事」という名作傑作をつくり「オペラハット」「我が家の楽園」「スミス都へ行く」「素晴らしき哉、人生」など珠玉の作品がある) 過去の若者のシーンと現代の老人のシーンがあるけれど、圧倒的に過去の若者のシーンが好きだ。あんな風に映画作りをしていたと思うし、あんな風に青春していたと思うから。若い役者、菅田将暉、永野芽衣、北川景子は素晴らしかったし、リリー・フランキーも良かったなぁ。淑子の母、広岡由里子も昔のお母さんらしくて良かった。 現代のシーンでも時たまわかる程度にしか映らない志尊淳はかわいいし、チョイ役(?)の片桐はいりは存在感あるし、ネクラな感じの前田旺志郎も娘の寺島しのぶの芸達者ぶりも良かった。若き日のテラシン(野田洋次郎)の年老いた役を演ずる小林稔侍も良かった。 感動作というには物足りなさを感じるけれど、そこは90歳の監督の感性・経験値。若輩はその齢にならないと理解できないかもしれないし、たとえその齢になったとしても理解できないかもしれない。 映画に関しての対談に感銘を受けました。 映画化記念対談 山田洋次×浜田マハ『キネマの神様』がくれた奇跡 飯田橋ギンレイホールにて 2021年/日本/125分/G 監督:山田洋次 原作:原田マハ 脚本:山田洋次、朝原雄三 出演:沢田研二、菅田将暉、永野芽衣、野田洋次郎、北川景子、寺島しのぶ、小林稔侍、宮本信子、リリー・フランキー、前田旺志郎、志尊淳、松尾貴史、広岡由里子、北山雅康、原田泰造、片桐はいり、迫田孝也、近藤公園、豊原江理佳、渋谷天笑、渋川清彦、松野太紀、曾我廼家寛太郎、前田航基 お薦め度 「キネマの神様」★★★★(80%) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.09.22 22:03:00
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