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2021.10.23
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カテゴリ:映画館で見た映画


スーザン・サランドン。
「ロッキー・ホラー・ショー」「テルマ&ルイーズ」「僕の美しい人だから」で知る素敵な女優だ。久々に見る。

【ネタバレあり】
この作品を表するにネタを書かないでというのは隔靴掻痒になりすぎるので、ネタバレ覚悟で書く。
この作品を見て感動したし、とても印象的な感傷的なシーンもあった。またエモーショナルなところもあった。多分に感情的な作品だと思う、全体的には粛々と進むのだけれど。
最晩年、終末期を描いた作品はこれまでもいくつもあった。生きたいと願いながらも病に侵され娘に撮られながら死に往く父をとらえた「エンディングノート」はドキュメンタリーであり、逃れられない近々の死に直面し段取りをする男の矜持を見せてくれた。「92歳のパリジェンヌ」は齢90歳を過ぎ、人生でやり残したことはほぼなく、旧知の友は故人となり、活動できなくなる前に人生を終えたいと考えた女性の実話を映画化した作品だった。まだ生きているかつての恋人に再会し、思い残すことがなくなった彼女は家族の承認を得て旅立っていく。人生の終焉を考える上で、尊厳死を考える一助となる作品だ。これもとても感動した。「世界一キライなあなたに」は正しく尊厳死を題材に扱った作品で、やりたいことをやり終えた後で死をむかえる。物議をかもした作品だが、これも感動の作品であった。これら感動の作品と同じ終末期、最晩年。自ら死を選ぶという本作は悲喜こもごも、感動するところはあれど、しっくりこない、すっきりとしない認めたくはない作品に思えた。それはなぜか?
それは主人公と親友との関係にあるのではないだろうか。娘二人は自立し、それぞれの家庭を持ち、一人残る夫に家族同然に接してきた友人との関係を託す。そして、それは主人公の死後ではなく、もう既に関係は始まっていた。左手が使えないながらも自分自身でなにもかもしなければ気が済まない主人公が選択した様々なこと。マリファナをやったり、未成年に飲酒させるなど違法行為をだらだら続けるところが気に食わないのかもしれない。何事も法を守るが、自死に関しては自らの考えを選択するというのなら心情的に寄り添えたのかもしれないが、あらゆることを好き勝手にやって、なりゆきでダダもれのような感じで流れるのが好きじゃないのかもしれない。そして、友と夫に関係を望む。二人は元恋人同士だったという。
スーザン・サランドンという素敵な女優に、ケイト・ウィンスレットというスターよりは女優として活動する有名女優と「ジュラシック・パーク」でその名を覚えたサム・ニールと看板俳優が出演している家族劇は舞台演劇のように秘密を明かされることにより七転八倒するコメディ(?)となっている。
終幕、主人公の亡骸も葬儀もなく、それぞれが車で去っていく。

「ペンギンが教えてくれたこと」も家族劇である。自暴自棄な主人公に気持ちがより添えず、鬱屈しながら見たけれど、鳥を見ながら、不自由な身体ながらカヌーというスポーツに目覚めていく、生きがいを見出していく作品にとても感動した。この「ペンギンが教えてくれたこと」と本作「ブラックバード 家族が家族であるうちに」は対極にある作品なのかもしれない。
きしくもペンギン(鳥)とバード(鳥)だなぁ。
 
ちなみに、Blackbirdは”クロウタドリ”という鳥であるけれど、黒人の蔑称としても使われるようで、ビートルズのマッカートニーが黒人女性の人権擁護や解放を意図して歌った”Blackbird”という楽曲がある。

飯田橋ギンレイホールにて
(同時上映の「​ノマドランド​」はロードショーで鑑賞済)


2019年/アメリカ・イギリス/97分/PG12
​​監督:ロジャー・ミッシェル
原作:クリスチャン・トープ
脚本:クリスチャン・トープ
出演:スーザン・サランドン、ケイト・ウィンスレット、ミア・ワシコウスカ、リンゼイ・ダンカン、サム・ニール、レイン・ウィルソン、ベックス・テイラー=クラウス、アンソン・ブーン

​​​原題:Blackbird(「クロウタドリ」)​​​
 
お薦め度
「​​ブラックバード 家族が家族であるうちに​」★★★☆(70%)​​
 字幕翻訳:斎藤敦子





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最終更新日  2021.10.24 09:41:03
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