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テーマ:読書(8508)
カテゴリ:読書
文庫本の表紙が写っているけれど、読んだのは単行本。 作家・木皿泉という名からして女性だと思って読み始めた。 楚々とした印象の文体はさすがに女性だと思われ、最近、女流作家の本を読むことが多いので、さもありなん、と考えた。一章、二章と読み進み、三章を読み進めると、それまではたおやかな文だった作品が男の匂いをぷんぷんと放つ力強いものに感じられた。これは、女性と見せかけて男性が書いた本だったのか、あるいはジェンダーで中性か男性女性か女性男性が書いたものなのかといぶかしんだ。そこで思わず奥付を見た。 …! なんとドラマ「すいか」で向田邦子賞を受賞した夫婦脚本家。とあった。 文体が女にも男にも感じられたことに納得し、しっかりとした文体にも納得がいった。 物語は、一人息子の一樹が亡くなって7年。その嫁、テツコとその父のふたり暮らしの日々。二人に、一樹を含めると、この家族三人にまつわる人々の話を綴った小話の連作。 淡々と生活をしているテツコとギフ(義父)の暮らしのつましさ。連綿と続く揺るぎない生活のようでいて、たゆとう暮らしが読んでいて心に染み入る感じがする。 昨夜のカレー、明日のパン [ 木皿 泉 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.05.12 23:15:41
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