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2022.11.16
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テーマ:読書(8504)
カテゴリ:読書

4167919370.jpg (682×1000) (kinokuniya.co.jp)
女たちのシベリア抑留 / 小柳 ちひろ【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア (kinokuniya.co.jp)

”シベリア抑留”、それは男たちのものではなかったのか。
終戦間際、日ソ不可侵条約が破棄され、怒涛の如く侵攻され、多くの兵士が捕獲された。
本来なら、捕虜となって収容所から本国へ帰国するはずなのだが、ソ連においてはシベリア各地に送り込まれ労働力とされた。
シベリアは人の住まぬ極寒である。暖をとる衣服はなく、食事もわずかで、寒さとひもじさで病に倒れ死んでいく日本人の捕虜が数多くいた。生きていたとしても凍傷で指をなくす人も多かったようだ。演歌歌手の三波春夫がシベリアに抑留され、その歌声で捕虜仲間を慰安したということを聞いた。それぐらいしか楽しみがない、凍てつく寒さのシベリア。その中に抑留された女子がいたとは、私は知らなかった。
この本の存在。文庫本が発売されたことでシベリアに抑留された女子がいることを初めて知った。NHKの番組でも取り上げられたようであるが、そのことも私は知らなかった。もっと喧伝すべきではないか。日本人の多くが知らないことが良くないと思えた。
この本を読んで気づく。女子のシベリア抑留は公にはされなかったのだと。なぜなら女子たちは軍属であり軍人ではなかったから。それゆえ戦後の保証もなく、戦争における年金もない。(後年、ごく一部の女子には年金(恩給か?)が支払われたようである。このことも、この本で知る)また、抑留された彼女たちもそのことをしゃべらなかった。それは、第一にまだ抑留されて解放帰国を待つ同胞たちに何らかの危害や危険や影響を与えてはならないと恐れてのこと。また、抑留されてソ連兵に”悪いこと”をされたのだと思われることを避けるためでもあったのか。戦後長らく秘密とされた女子抑留者たちの存在が明らかになった時があったけれど、その時にも彼女たちは口を閉ざし語らなかった。彼女たちが口を開くのは残り僅かな命、抑留の事実を語っておかなければという思いからなのかもしれない。それでも口を閉ざし語られなかったことはあるようだ。

このシベリア抑留のなかに電話交換士や女子事務員もいたけれど多くを占めたのは150名に及ぶ看護婦である。日本赤十字の看護婦と彼女たちを手助けする民間の看護婦たちである。彼女たちはソ連による侵攻の時に自決用の毒薬を配布され、自決するよりは捕虜となる日本兵についていく道を選んだ。結果、ほぼ全員が抑留後に帰国することが出来た。ただ、その帰国へ至るまでの道のりはあまりに過酷で悲惨であったと思われる。
この物語は全八章からなる。
シベリア抑留の顛末を全体的とらえたもので始まり、後半は個別の女性について章を立てて語られる。
途中、あまりの辛さに、また得も言われぬ情景に感情が揺さぶられ涙をにじませた。
シベリアに抑留された婦女子がいたことを日本人が知らなくて良いのか、という思いに駆られた。抑留された看護婦のほとんどは16歳から20代前半の女子である。今の時代、高校生である年齢の女子が戦場の中で医療補助と看護を行うことはあまりに酷であろう。そして、国が敗れての捕虜であり、シベリア抑留である。生きた心地がせず、何度も死と隣り合わせであり、寒さと飢えがその身を襲ったのである。私は涙を禁じ得なかった。そして、思った。ぜひこの物語を同世代である日本の若者に読んでほしいと、知ってほしいと。高校1年生の夏の課題図書、推薦図書として、ぜひ読んでほしい、読ませてほしい。どんな道徳の授業よりも意味があると思える。

この本はノンフィクションである。
この本は事実である。

文庫本あとがきに筆者が書いているけれど、この2022年、戦禍が引き起こされた。78年前の悲劇が繰り返されている。この本にも出てくるがシベリアの奥地にいるソ連人は実はウクライナ人であった。スターリンの時代に政治犯として捕らえられた無実の人たちが囚人として送り込まれ、釈放されても帰るところを持たず、その地に残ったようである。今また、この2022年、ロシアによりウクライナ東部の住民は捕縛され尋問され、家族をバラバラにされて多くは極東、シベリアの地に送り込まれている。


女たちのシベリア抑留 (文春文庫) [ 小柳 ちひろ ]





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最終更新日  2022.11.16 22:15:39
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