|
テーマ:読書(8504)
カテゴリ:読書
初めて読んだ時から、とても惹かれる青山美智子の本。 短編の連作をつなげて、一つの物語をつくるというのが、ある種、彼女の方法だ。 「鎌倉うずまき案内所」という、ちょっと不可思議な空間を通過して経験する思考の変換、見る目の変化。心持ちの持ち方。平成の終わりから始まるこの物語は時代を逆走していく。平成という時代を30年代から20年代10年代そして平成元年=昭和64年へと。 総てを読んでみて初めて時代を逆走していることを知る。 この文庫本では巻末に丁寧に年表がついている。そしてそれぞれの短編の時代を明示してある。 逆走する物語を読み終えてみると、順列通りに時代の流れに沿って読み直してみたいと思う。 不思議だ。 とても感動し、心揺さぶられながら、夢見たように、目覚めるとともにその夢の記憶が薄れるように、青山美智子の物語の記憶は薄れていく。それゆえか、その感情をもう一度味わいたいのか、記憶を取り戻したいのか、もう一度読みたい、読む直したいという衝動に駆られる。 不思議な作家である。 そして私のお気に入りの作家である。 鎌倉うずまき案内所 (宝島社文庫) [ 青山 美智子 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.12.24 18:32:41
コメント(0) | コメントを書く
[読書] カテゴリの最新記事
|
|