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テーマ:読書(8503)
カテゴリ:読書
本屋大賞にノミネートされた朝井リョウ「正欲」。 題名から下ネタ、淫靡な印象を持つとともに何か真っ当なというか清潔感を感じさせる。 はたして、その内容は……。 朝井リョウの本をまともに読んだことがない。 一度、綿矢りさの本とともに読み始めたことがあったけれど、どちらも若くて受け付けず投げ出した、と思う。つまり、読んでいない。 この「正欲」は本屋大賞にノミネートされた時から注目していて、というか2022年のノミネート本をすべて読んで見ようと思い立ったことがあった。しかし、時間も本を買い求めるお金も(余裕が)なく諦めてしまった。その結果、遅ればせながら図書館で借りようという予約待ちをしたのだが、これまたなかなか順番が回ってこない。買い求めた2位の『赤と青とエスキース』青山美智子(著)PHP研究所は二度読みしたのだが……。 本屋大賞である『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬(著)早川書房も先日ようやく読んだ。このような第二次世界大戦下のソ連で狙撃者として養成される少女を主人公として書いた戦記物が大賞受賞であったことに読んで見て大いに驚いた。なぜなら感動よりも驚きが多く、また大きかったからである。書店員の皆様の感性がこれを推したかったと思うと戸惑いを感じたのかもしれない。 そして、この本「正欲」である。 読んで見て、やはりとっつきにくく感じた。朝井リョウの文体がそうなのか、内容がそうなのか。はたまた構成のせいなのか。構成が同じなのが住野よるの『腹を割ったら血が出るだけさ』双葉社である。幾人かの登場人物がその時の行動や考えを数ページにわたって書いていて、その登場人物が入れ代わり立ち代わり展開していく。そして、クライマックス、結末に集約していく。登場人物たちも出会い、集まってくる。『腹を割ったら血が出るだけさ』では結末が存在していたが、「正欲」には結末がない。または、結末がないように思える。著者・朝井リョウとしては結末を書いたつもりであるかもしれない。しかし、読者には、いや私には汲み取れない。明確な結論や結果が提示されず、暗示されていた欲の正当性を……。 んぐぐ!書けぬ。終盤の内容を提示してしまうことになるため、書けない。 というわけで、いろいろな現代的思いが詰まった作品であるが、結論がないことに不満を覚えた。 正欲 [ 朝井 リョウ ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.12.29 19:46:36
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